第一話~異世界~
処女作ではありませんが作者の文章力はたかが知れていますので過度な期待はお控え願います。
「ん? ここは……?」
俺が目を覚ましたときに目に飛び込んできたのは知らない天井だった……。
「なんでこんなところで寝てるんだ……? いやそんなことよりもここは俺の部屋じゃないよな……」
落ち着け状況を確認してみよう。昨日俺は何をしていた?……昨日は確か休みだったはずだ。ということは眠ってしまったらこんなところにいたということになるな……。
「よくわからないがまずはここがどこか確かめる必要があるな……」
気が動転しつつも、周りを確かめてみるとそこには手のひらに乗っかるぐらいの黒い球体の物があった。
「なんだこれは? いや触れるのは不味いか」
うっかり触れそうになってしまうのをなんとかやめる。どう考えても触れないほうがいいよな?
「そうだ。出口はどこなんだろう?」
突然の出来事にビックリして頭が混乱していたが、出口が無いか辺りをよくよく見ると部屋は正方形になっており、黒い球体の先に扉があった……。扉は錆付いていて雰囲気が出ているがこれは開くんだろうか?
「まあ、試してみますか」
とりあえず押し開けてみる。重く鈍い音を立てながら開いた扉の外には……森があった。
「富士の樹海、って程でもないが何処かの森に迷い込んだか?」
まさかなと思いながらも外に出る。当然のことながら森の中なので空気が美味しい。
「思ったよりも深い森じゃないみたいだな」
周りを見渡すと木がそれなりに生い茂っている。でも太陽の日が射せないほどではないようだ。森の中と言う事で迂闊に歩くのも不味いかと思いながらもこれからどうしようかと思う。
「あ! そういえば携帯で助けを呼べばいいんだな!」
ポケットから携帯を取り出し、中を見てみると圏外となっていて時間表示も88:88と狂ってしまっている。
「おいおい、冗談だろ……いや冗談じゃないんだけどさ」
携帯で救助を呼ぶのを諦め、とりあえずあの部屋でいい方法が無いか考えるためにうろうろ歩き回ってみる。正直何にも考えてないけどなんとかなるだろう。そしてうろうろしていると足元に落ちている本に気づく。
「あれ、なにか落ちてる? ……これは本だな」
そんなのは見ればわかるがこんなところに落ちているので思わず声に出してしまった。とりあえず何の本なのか表紙には書いてないのでめくってみる。
正直めくってから思ったが、こんなところにある怪しい本の中身を安易に見てしまうというのはどうなのだろうか?そしてその肝心の中身は……ダンジョンマニュアルと日本語で書いてあった。
「うーん、これはどういうことなんだ……?」
何ページか読んでみると段々現状が明らかになってくる。信じられないがつまり俺はこのダンジョンマスターとかいうのになったらしい。
「えーと何々、ダンジョンコアの破壊又はダンジョンマスターが死亡するとダンジョンが崩壊する?」
ダンジョンはこの洞窟のことかと思いつつも読み進めていくと……。
「ダンジョンコアが破壊されるとダンジョンマスターは死亡するって、えぇぇぇ!」
なんてこったいらない弱点が出来てしまった!しかも破壊されると即死のおまけつきで……。
「お、落ち着け。よくよく考えたら襲われでもしなければ大丈夫じゃないか」
ってここ森の中じゃないか!夜になったら狼やらなにやらいるんじゃないのかこれは……?
「まあ焦ってもしょうがない。まずは落ち着くためにこの本を読んでしまおう」
と言っても本を読むのにそんなに時間はかからなかった。もしかしたら長いと誰も読まないから簡潔にしたのかもしれないが、俺はこう見えてもゲームの説明書は全部読むタイプだ。
その本の中にステータスと考えれば自分のステータスが見れると書いてあった。正直言って冗談だよなと思いつつも実行してみることにした。
名前: ????
種族: ダンジョンマスター
性別: 男
年齢: 30歳
能力
Lv: 1
HP: 200/200
MP: 0/0
攻撃力: 40
防御力: 150
魔法攻撃力: 0
魔法防御力: 200
器用: 80
敏捷: 300
運: 210
技能
体術Lv1: 武器を持たずに戦うときに攻撃・防御・速度ボーナスを得る。
槍術Lv1: 槍で戦うときに攻撃・防御ボーナスを得る。
弓術Lv2: 弓で戦うときに命中・射程・連射ボーナスを得る。
銃術Lv3: 銃で戦うときに命中・射程・装填速度ボーナスを得る。
医療Lv1: 簡単な手当てを行うことができる。
気配察知Lv1: 少し気配を感じ取ることができる。
気配隠蔽Lv2: 気配を少なくできる。
スキル
特殊召喚: 通常の召喚よりDPを消費するが能力が高い。
特殊装備: 通常の装備よりDPを消費するが性能が良い。
逃げ足: 逃走時に限り逃げ足3倍。
称号
なし。
ダンジョンポイント|(DP): 1000
なんだかやけに高い能力があるな……って、そんなことよりも名前が無い!どういうことなんだ。思いだそうとしても、まるで最初から無かったみたいに綺麗サッパリ忘れている。
そうだな……名前が無いのも不便だし、ジョン・スミスとでも名乗っておくべきだろうか?といってもこれも名無しに変わりは無いけどさ……。
うーん防御、速度が高いし、回避、又はカウンターしながら削るタイプかな。と、分析してもなぁ……。
そしてスキルの特殊装備、特殊召喚……DPを消費するのはわかるんだがどうやって手に入れるのか……?
「よし落ち着け俺、深呼吸だ。す~~は~~す~~は~~」
少しは落ち着いたな。しかし召喚や装備の手に入れ方はマニュアルには無かったからなぁ……どうやって入手するのか色々と試してみないとな。
「よしマニュアルをもう一度読み返してみよう」
ということで読み返してみて若干見逃していた部分もあるので要約してみる。
・ダンジョンコアが破壊されるとダンジョンマスターは死亡する。
・ダンジョンコアの破壊又はダンジョンマスターが死亡するとダンジョンが崩壊する。
・ダンジョンコアはダンジョンの設置、改装に使用するための端末である。
・ダンジョンポイントは様々な行動で得られ、もっとも単純なのはダンジョンの侵入者の殺害である。
・ダンジョンコアは高価なもので冒険者は常に狙っている。
・召喚、装備はダンジョンマスターのレベルに合わせて開放される。
大体こんな感じか。召喚、装備はダンジョンコアで行えるっぽいな。ま、とりあえずできるか試してみよう。
俺はダンジョンコアの前にまで行くとダンジョンコアに手を触れる。すると目前に機械的な画面が映し出される。
「新しい投影技術ってことはないよな」
魔法があるってことはそういうことなんだろうが……よくよく考えればここは自分がいた世界じゃないんだな。まあ直ちに影響があるわけじゃないし、気楽にいくか。それに元の世界に戻る方法なんてそう簡単には見つからんだろうな。
「さてと、気を取り直してっと」
宙に浮いたパネルをタッチするってのは変な感じだが、いつか俺の世界でもこういう技術ができていくんだろうなぁ。と、早くもセンチメンタルになりながらも内容を確認していく。
簡単に言ってしまえば召喚、装備は予想通り。後はダンジョンの設置、改装と先ほどマニュアルにあった通りだ。召喚という項目をタッチするとそこには通常召喚、特殊召喚という項目が出てきた。特殊召喚はさっきのスキルにあったやつだな。
「まずは通常召喚っと」
俺が通常召喚をタッチすると、さらに様々なモンスターの名前などが表示された。
「これは多いな。まさかこんなにあるとは思わなかったが、選択できないものも多いな」
とりあえずもっとも安いスライムを一匹選んでみる。画面に『よろしいですか?』と表示され、俺ははいを選択する。すると目の前が一瞬白くなり、視界が元に戻ると膝ぐらいの大きさの青く透き通った小刻みに震えている物体が現れた。
「うーん、打撃に強そうで魔法に弱そうだな」
ゲル的なイメージだからかもしれない、炎とかで死ぬまで燃え続けそうだ……。とりあえずスラりんのステータスを……。
名前: スラりん
種族: スライム
性別: なし
年齢: 1歳
能力
Lv: 1
HP: 50/50
MP: 40/40
攻撃力: 30
防御力: 180
魔法攻撃力: 100
魔法防御力: 70
器用: 20
敏捷: 30
運: 20
技能
消化吸収Lv1: 物体を溶かして、吸収できるがゆっくり。
取り込みLv1: 自分より小さいものをからだにゆっくり取り込む。
分裂Lv1: 食事をすると稀に分裂することがある。
殴打・衝撃耐性Lv1: 殴打や衝撃のダメージを少し軽減する。
スキル
なし。
称号
なし。
良くも悪くもスライムかな。と、言っても食事が必要なのか……?そういえばさっきから空腹感がないけど、まさかダンジョンマスターになったからなのか!?
「さっきのスライムが10DPで残りが990DP……ダンジョンにも色々使うだろうし、計画的に行かないと駄目か」
計画的に行くのは苦手なんだが、どうしたものかな?とりあえずスラりんと食事にしようか。スライムって何食べるんだろう?
食料の項目はないかと探してみると…………あった。黒パンDP5消費、白パンDP10消費。うーん黒パンって固いやつだよなぁ。でも安いしこれでいいかな。黒パンを選択し、スラりんの体の上に置くと、少しずつパンが沈んでいく。
「やっぱりモンスターだなぁ」
自分も人間では無いか、と苦笑する。そして明らかにカチカチなパンに食いつく。
「うん、固いな。でも歯ごたえがあるとも言える」
ジャムとか無いのがキツイな。しかも水分が少なくて口がぱさぱさする。
「永遠に水を生み出す噴水とか無いかな」
とりあえず画面に検索の欄があるので水で検索してみる。『検索中』と表示され、数秒後に検索結果が出る。
「なるほど。単純に地形としての水もあるんだな。噴水は高い、って当たり前か」
そういえば部屋が1つしかないのはまずいよな……それじゃあこの部屋と同じものを3つ程作ろうか。俺は画面に触れダンジョンの改装を選択し、部屋を設置していく……設置に300か、まあ予想よりは安く済んでくれたかな?
これで680か水は最後に設置するとして足りるのだろうか?まあ、別に無くても死ぬわけじゃないみたいだが。
「さてと特殊召喚と装備の方でも見ておこうかな?」
特殊召喚の項目を選んでタッチする。すると通常召喚と同じく色々と出てきたのだが……。
「槍兵ね……」
特殊召喚の一覧を見てみると、どうやらモンスターではなく人間の色々な兵種を召喚できるようだ。と、言ってもこの槍兵ですら1人50DPはするが……。
「でも一般兵だろうし、数を揃えて戦えということだろうか?」
詳しい能力は召喚してみないとわからないのでおいて置くが、人間だから言葉が通じて指示しやすいとか、作戦を立てられるとかメリットはあるにはるな。
そして下にも戟兵や弓兵、クロスボウ兵などもあったがさらに下に行くとマスケット兵があった。
「マスケットって銃口から火薬と鉛球を詰め込むやつだよな……?」
しかしマスケットは命中率悪いらしいし、文字通り数を揃えて下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる、という戦い方になるな。よく見てみるとDPも25と槍兵の半分だ。まあ、近接戦闘はできないからな。
でも、弓兵は75DP、ロングボウ兵は100DPと高い。数を揃えるだけならマスケットがコスパがいいんだろうが……。たしか弓と銃は訓練期間の長さが違うんだったかな?
「ロングボウ兵だと6人、弓兵で9人、槍兵で13人、マスケット兵で27人……うーんデメリット、メリット考慮しても悩むなぁ……」
うーん冒険者っていつ来るんだろう?まだ来ないならゆっくり決められるし、入り口を隠しておけば時間は稼げるか?……扉は結構目立つが、草や木の葉でいくらかカムフラージュになるだろう。
「装備の項目を見てから扉のカモフラージュをやってみますか」
俺は素早く装備の項目をタッチする。元の世界ではスマフォみたいなタッチ式は苦手だったような気がするが、記憶がないからなのか、慣れたのか、当たり前のように操作できる。
「装備は通常と特殊では別れていないんだな」
上から確認していく。ショートソード50DP、ロングソード100DP……うーん、まさにオーソドックスな感じだな。魔法があるみたいだし魔装具みたいなのもあるんだろうか?
指を滑らせスライドしていくとクレイモアのような大剣やトライデントなどの槍、ショートボウなどの弓があった。さらに下には鎧や盾などもあり、魔法を一時的に使えるようになる腕輪や杖などもあったが、非情にDPを消費するようだ。
自分は立場的には総大将なので武装は必要ないかもしれないがいざという時のために最低限の装備は必要だろう、と思い色々探してみたが……結論を出せず結局後にすることにした。
先延ばしにしてしまう悪い癖が出ているなぁと思いながらもやはり後回しにしてしまう自分に苦笑いしてしまう。
「まあ、今は延命措置を取りますかね!」
カムフラージュが素人の俺にうまくできるかはわからないが、どうにかするしかないと思いながらもスラりんを連れながら扉に向かった。
更新はなるべく早くしていきます。