4話 キャンプ場前日
昼過ぎに僕と美羽、青葉さん、しのぶちゃん、涼、タカさんは明日から行くキャンプの買い出しのため、ちょっと遠くのスーパーに車で来ていた。
「俺はここで待っているから」
そう言うとタカさんは車内に残り、僕達は店内に入った。
「結構買うもの多いわね」
「どうやって探す?」
「じゃぁこうしましょう」
そう言うと青葉さんは持っていた買い物リストの紙を半分に分けた。
「こっちの買い物リストは翼君と美羽にお願いしていい?」
「分かった。終わったら合流するから」
「うん。じゃぁお願いね」
僕と美羽は買い物リストに書かれた食材を探し始めた。
「まずはスープ系の物から探そう」
「分かりました」
スープ類のコーナーに行くと美羽はメモに書かれていた粉末スープをすぐに見つけた。
その後メモに書いてあるパンや野菜などすぐに見つけた。
「次は何ですか?」
「んーと……次は各自の飲み物だな」
飲み物がある場所に行くとお茶やコーヒー類、炭酸飲料などがたくさんあった。
「翼君はどれにしますか?」
「僕はこのミルクティーにするよ」
「じゃぁ私もそれにします」
僕は自分と美羽の分のミルクティーをカゴに入れた。
「これでもう全部?」
「えーっと」
美羽がカゴの中の商品とリストを照らし合わせた。
「全部ありますよ」
「じゃぁあっちと合流するか」
レジに向かうとそこにはすでに青葉さん達が居た。
「翼君は終わった?」
「美羽のお蔭で早く終わったよ。そっちは?」
「こっちは涼としのぶが必要以上に物入れるから疲れたわよ……」
「その当人は?」
「飲み物を買って来るって言ってたけど」
「あっ、桜木君としのぶちゃん来ました」
「お待たせ~」
「翼達も居たのか」
「遅いわよ。とにかくこれで全部みたいだから早く精算しちゃいましょう」
レジを通った後商品を段ボールに入れ、それを僕と涼が車まで運んだ。
今日買った荷物はしのぶちゃんの家で預かって貰えることになっている。
そのまま僕達は車で駅に向かった。
「翼君は支度終わりました?」
「昨日終わらせたよ」
「良かったらまた私の部屋に来てくれますか? 昨日の棚が届いたので」
「そういえば組み立て式だったな。全然良いぞ」
「お願いしますね」
車は駅の南口に到着した。
僕達は降り、しのぶちゃんはそのまま車で帰って行った。
「さてと俺らはどうするか?」
「僕はちょっと美羽に頼まれ事あるからさ」
「です」
「私は宿題やらないと」
「そっか。俺は支度しないとだから今日は解散だな」
「だな。また明日」
「それではまた明日です」
「また明日」
「じゃぁな」
僕と美羽は北口からバスに乗ってマンションに向かった。
10分ほどでマンションに到着。部屋に入ると玄関には大きな箱が置いてあった。
「これを組み立てるんだな」
「お願いしますね。これドライバーです」
「これは体力勝負だな」
説明書を見ながら組み立てを始めた。
棚の重さはそこそこあり冷房が効いてきた部屋でもかなり体力が減って行った。美羽もパーツを支えたりしてくれた。
「あとはここを留めればいいんだよな?」
「そこであってますね。はいこれネジです」
「ありがとう」
最後のネジで棚を止め、ネジ隠しのふたをした。約1時間ほどで棚は完成。
それを美羽が指示する場所に移動させた。
「この辺り?」
「はい、ありがとうございました」
「本を入れるの手伝うか?」
「良いんですか?」
「別に良いよ。帰ってもやることなし」
「それじゃこれを」
美羽は部屋の隅にあった段ボールを引きずってきた。
「結構入っていそうだな」
「本が好きなので」
「僕も読む方なんだよね」
段ボールを開けると僕は一番最初に目に入った本を手に取った
「これ読んだことある」
「どれです?」
「これこれ“暁の空”って小説」
「それ私の一番のお気に入りの本です」
「やっぱ最後のシーンが泣けるよな」
「私なんて泣いちゃいました」
「だよな。おっ、これも読んだことある」
「その本も良いですよね」
僕と美羽は本の話をしながら段ボールから棚へと移していった。
「これでラストっと」
「お疲れ様です」
「それにしてもここまで読んだ本が合うなんてすごいな」
「そうですね」
「もうこんな時間か。さて、帰るかな」
「はい」
「それじゃぁな」
「また明日です」
僕は玄関で靴を履き、部屋を出た。
その夜、風呂から出て部屋に戻って寛いでいると携帯電話の着信が鳴った。
見ると相手はしのぶちゃんだ。
「もしもし、何?」
「明日の集合時間なんだけど、朝の9時に私の家ね」
「はいよー」
「それと美羽に連絡お願いね。涼と青葉には伝えておくから」
「分かった」
「また明日ね」
「おう」
電話を切り、美羽に電話を掛けた。
「もしもし」
「今良いかな?」
「大丈夫ですよ」
「明日の朝9時にしのぶちゃんの家に集合なんだけど美羽はまだ家知らないよな?」
「まだ知らないです」
「なら朝8時半頃に駅前で待ってるからさ一緒に行こう」
「分かりました」
「それじゃお休み」
「はい、お休みなさい」
電話を切り、ベッドの上で横になった。
もう寝るとするかな。
リモコンで部屋の電気を消した。
だがなかなか眠れない……。
何か考えよう。そうすれば自然に眠れるはずだ。
そういえば中学の時も学校でキャンプ行ったな。
あれは中学1年の時だ。あの時は涼を含めた4人グループだったな。キャンプ場にいくつもの小屋があってそこで一泊二日だったな。
懐かしいな~……
そのまま眠った。