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第一話:変わる日常その4
その写真は一見して普通の幸せそうな家族の写真だ。
しかし、真一郎とっては普通ではなかった。
「これ……、俺じゃねぇか」
その写真には幼い頃の自分が写っていた。笑う父、母、妹とは違い不機嫌なのかふてくされている。
真一郎は思い出した。如月という苗字に。それは今は亡き母の旧姓だ。
父と母が事故で他界し、妹はその如月家に貰われ、自分は――。
真一郎は頭を無造作に掻いた。あの客が妹だったとは。しかし、彼女に会う手段はない。
しかし、妹の居場所の手がかりがあった。財布の中身にスケジュールが書いてある切れ端が挟まっていた。
その切れ端を真一郎は手に取り確認した。
午前10:00~穐原基地に集合
真一郎は時刻を確かめた。
現在、12:30
「遅刻じゃねぇか!!」
大声で突っ込んだ。遅刻以前に大遅刻だ。しかし、この場所に行けば妹に会える。真一郎は確信した。
だから真一郎は、その場所に向かって走り始めた。バイトを放棄して――。
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