第一話:変わる日常その3
「申し訳ありませんが、法律で未成年者にお酒を禁止されておりますので販売できかねません」
とりあえず、真一郎はマニュアル通りに対応した。
「うぐっ……。わ、私は二十歳です!」
と、少女は言うが真一郎はそうには思えない。二十歳なら真一郎より1つ下だ。
それに外見からみれば二十歳と言うよりは17歳ぐらいに見える。
「なら、身分証明出来るものの提示をお願いします」
「うぐぐっ……。こ、これならどうだ!」
少女はポケットをガサガサ漁ると、まるで秘密の道具でも出すかの如く一枚のカードを掲げ、レジのテーブルに勢いよく置いた。
そして置かれた物を真一郎はまたも手に取り確認する。
どうやら運転免許証のようだ。
顔写真は本人一致していた。年齢も二十歳だ。そして名前は如月桜子と言うらしい。
――如月。何処かで聞いた気がすると真一郎は思った。
「ありがとうございました」
桜子という少女が店を去った後、時計を見ると休憩時間をほんの少し過ぎていた。
休憩時間が減るのは嫌だが、客が来たのだ。しょうがないと割りきる。
「ん?」
休憩に入る為にレジ出た時だった。真一郎は床に落ちているものに気がつく。それはピンク色の長方形型の財布だった。
先程の少女が落としたのだろうか?と疑問を浮かべる彼。
このまま、忘れ物として処理してもいいと思う。 とりあえず、身元の確認といって財布を開く。
普通やってはいけない事なのは承知の上だ。
しかし、財布の中身を見て真一郎は固まった。それは財布の中にあった写真だ。