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第一話:変わる日常その2
そろそろ休憩時間だなと、遠目で時計を眺めていた時だった。
「これください!」
唐突に物が置かれ、女の子の声が聞こえた。
会計……か。そう思い、その声の主を見た時だった。
「え……?」声には出ていないが心の中ではその言葉が出てくる。何故なら、その主は真一郎の妹に似ていた。
よく手入れされいるであろう艶やかな長い黒髪に、幼さが多少残る童顔、サファイアのような蒼い瞳。
服装は赤いミニスカートに白のブラウスにグレーのカーディガン。
自分の知っていた妹が成長していたらこうなっていただろうと思う。
「あ、あの……。どうかしましたか?」
「あ、ああ。すみません」
呆けていた真一郎だったが少女の一言で我
に返る。とりあえず会計を済ませようと商品を手に取った時だった。
真一郎は少女を真っ先に見た。何度も。
何故なら少女が持ってきた商品は缶ビールだった。多分、どの店員が見ても同じ反応をするだろう。