ゲテモノと美味
朝だ。
俺は重い体を起こし、背伸びをする。
「ったく、1日があれだけ長く感じられるなんてな。」
昨日、俺は高校一年の春にして非日常を過ごすことになってしまった哀れな少年になってしまった。
俺は手早く制服に着替え、部屋から出た。
学校までは、あと30分ほど余裕がある。
朝飯つくらなきゃな。
「んー?なんか音がするなー。」
一階のキッチンで誰かが朝食をつくっているようだ。
「母さん帰ってきたのかな?」
階段を降りて、一階のキッチンにむかった。
「んなっ!?」
俺は母さんだと思っていたので、驚いてしまった。
そうだ。昨日から一人居候が増えたんだった。
「弘樹さん!おはようございます。」
「あぁ、おはよう、ロキ……。」
「もう少しで出来るんで待っててください。」
昨日の騒動から、勝手に泊まり込むことになったロキ、
嬉しい反面、少しうんざりしてる。
それより、
ロキが料理をつくっているのか。
楽しみだなーーー。
俺は少しドキドキしながら料理を待つ。
5分後
「はい!!どうぞーー。」
俺の目の前に、ロキが作った料理が置かれる。
「こ、これは…」
ゴクッ
こぇぇぇえええええええ!!!!!
イヤァァァァァァ!!!!
なんで、なんで、こんな色になるんだよ!!
野菜は黒く変色し、スープはブクブクと沸騰している。しかも紫色。
上の物は、完璧なヒロインが意外と不器用でしたーパターンに当てはまるのでオーケイするやつもいるかもしれないが、
なんでご飯まで、紫色になるんだ!?
すでに、人界の食べ物じゃない。
おそらく食べたら、 死ぬ……。
いやだ、死にたくない。
俺にはまだやり残したゲームが!!!
「さぁ、どうぞーー早くー。」
ロキは、こっちの動揺も察せず、アーンを要求。
まずい。
どうにかして、逃れなくては。
「いや、今日ちょっと腹の調子が……。」
ナイス俺!!これならば!!!
「大丈夫ですよー、胃薬いれてますからー!」
何入れてやがんだぁぁぁぁぁぁぁお前はぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!
って冷静な突っ込みいれてる場合じゃない。
「いや、ほら学校に遅れちゃうし……。」
これならどうだ!!
「時間ですか……… 大丈夫じゃないですか!!全然余裕ですよー。」
「なんで、お前が登校時間を知ってるんだよ?」
「言ってませんでしたっけ?私も通うんですよ!学校に!!」
やめてくれええええぇえぇええ!!!
俺の平穏な日常が派手な音をたてながら、崩れて行く。
「ほら、早く食べてみてください!!」
ぐーー、もう俺には策はない。
本当に食べなきゃいけないのか?
いや、食べないと何をされるか…………
こうなったら、
俺は、目の前にある黒と紫の物質を一気にかきこんだ。
地獄へは俺一人でいく!!!!!!
「………………う、うまい。」
俺は、見た目と反してのあまりのうまさに驚きを隠せない。
てかなんであの色でこんなに美味しいものを作れるんだ?
「お口に合いました?」
いつの間にかロキが俺の横に座っていた。
ドキッとするわ!!
「味は…普通に上手いよ。」
ロキは目を輝かせて
「そうですか!!じゃあ今度から作りますね、私!!」
俺は一瞬にして凍りついた。
絶望という名の冷気によって、
これから毎日あの料理を………。
オワターーー\(^o^)/
そのあと、本当に腹を下したのは言うまでもない。
こうして俺の非日常の朝は始まったのであった。