雷神トールと浅蔵
「ですからですね、私たち神にも代表や神もいるんですよ。」
今俺は、目の前の美少女ロキに色々と説明してもらっているわけだが、
長い………
なぜにこんなに長いんだ?もう一時間だぞ!!なんで来たのか聞いただけなのに!!不思議すぎだろ!!
さすがに俺はしびれを切らし、こうまとめた。
「要は、君は敵の神に追われていて、逃げてきたということでいいかな?」
「ず、ずいぶんとみじかくまとめましたねー。」
ロキは苦笑いをしつつ、お菓子に手を伸ばす。
「で、俺はなにをすればいいの?」
俺は最初に疑問に思っていたことを口に出した。
「俺には人間代理ってのも知らなかったし、なんの力も持ってないだけど…。」
「いえいえ、その点に関してはご心配なく♪」
ロキはにっこりと笑って、指を指す。
「人間代理の方々は、もとより力を有しておりません。」
「は!? じゃあ敵が来たとき、俺足手まといじゃん!!」
「だから心配しなくてもいいっていってるじゃないですか~。」
「弘樹さんには、これから神能力と神器の扱い方を学んでいただきます。」
「まじか…」
「本当は、魔術も覚えてほしいのですが、人間は適応力が低いですからねー」
なんださっきから…
まるでゲームのなかに入り込んだみたいだ。
頭がこんがらがってくる。
ピンーーーポーン
インターホンが鳴った。
「だれだ?」
するとロキがニコッと笑って
「お出ましのようですよー。神力をビビッと感知しましたー。」
神がやってきただとぉう!?
いや、不味いだろ!!
俺はまだ何もおしえてもらってないぞ!!
「何度言いますけど、ご心配なさらずに♪」
「なんなんだ、その余裕…。」
「大丈夫です。今回は、」
ロキは、どこからかフライパンを取りだし、ポーズを決めて
「私が戦いますから♪」
「お前って戦えんの?」
俺の頭に浮かんだ言葉が口をついだ。
ロキは、顔を真っ赤にして膨れっ面で、
「しーーつれいなぁ!!これでも私は神ですよ!!戦えますよ!!」
「そういうことなら早くいこうぜ。」
俺はさっさと玄関へ向かってった。
「さてどんな神かなー?」
ロキは、玄関前でドキドキしながら待っていた。
「どんな神でも変わんねぇーだろ。」
「そんなことないですよー!」
そんな会話をしながら、俺は玄関を開けた。
「なにやってるんですかぁぁぁぁ、普通そこは、溜めに溜めて、はい!CM!!ってとこでしょうが!!」
「こっちは命懸けてるんだよ!遊びじゃないんだよ!!」
「何が遊びじゃないって?」
不意にロキでも、もちろん俺でもない声が響く。
ん?でもこの声、どこかで…………
「おい!何ぼーとしてるんだよ、弘樹!」
「あ!!浅蔵じゃねぇか!!」
浅蔵 勇
俺と同じ学校に通う、高校一年
ヒキニート予備軍である。
「どうしたんだ?」
「いや、今日はいつもやってるネトゲの攻略本を持ってきたんだけど……お邪魔だったかな?」
そうだった!!
今俺は、この美少女といるんだったな。
中身は、残念だけど……
「いや、こいつは親戚というか、なんというか~」
するとロキが前に出て、
「こんにちは、私は弘樹さんの親戚のロキといいます。」
普通に挨拶した。
なんだやればできるじゃねぇか。
「おぉよろしく。」
「はい、トール兄さんもお久しぶりですね♪」
へ?
いま、あいつは浅蔵のことをトールって言わなかったか?
なんで?
「………おい、トール!!もうばれてるよ。」
「おい、浅蔵……これどういうことだよ?」
浅蔵は少し考えた素振りを見せて、
「俺は、雷神トールの人間代理になっちまったんだよ。」
雷神 トール
ってことは、こいつにも神が………。
「久しぶりだね、ラキちゃん♪」
浅蔵の後ろに青年が立っていた。
それは、見るに眩しい金色の青年だった。