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一応言っとくが俺の親は神様の敵だぞ?  作者: トミー
春:綾瀬の心は晴れ模様?
24/26

雷鳴

「……」


風が吹く。


「……」


暗闇の中、


「……」


紅い月が照らす、


「……」


冷たい地面に


「………」



這いくばるように倒れている俺、


「……がっ………」


目の前には、


豹変した綾瀬の姿、


髪の毛は伸びて、夕日で霞む空のように美しい、


だが瞳には一筋の光さえも通さない闇で覆われていた。


「幻獣 妖狐」


「!?」


森の中から唐沢が姿を現した。


「妖狐は人の心に取り付き、悪意や不安と言った負の感情を増幅させる、そうやって人の心を潰して、体を乗っ取る、ランクSの幻獣だ」


「おい……」


「なんだ?」


力を振り絞り、立ち上がる。


「お前知ってたんじゃないのか、綾瀬がこうなったことを…………」


ふらつきながら、唐沢を睨みつける。




「…………」


「黙ってないで答えろよ」







「はぁー、分かったよ」


俺に近づいてくる唐沢は、


面倒くささを表すようにあくびをする。


そして彼の口から衝撃の一言が発せられた。




「知ってたよ、それがどうかしたのか」


「!!」


怒りのあまり、無意識的に胸ぐらを掴む。


歯を食いしばり、必死に怒りをこらえようとする、


それが普通だろ?


綾瀬は大切な友達、


それがこんな姿になって……、




「ふざけんな……、なんでお前は平気でいられるんだ!!」


「………」


「あいつが苦しんでいたのも知っていたんだろう!!何も思わなかったのかよ!!」


「……」


「あいつは、助けて欲しかったんじゃねぇのか!?なんで助けてやらなかったんだ!?」



「いいかげんにしろ………」


暗く、冷たく、そしてかなしげな声が重く響きわたる。



涙は流さないものの顔はクシャクシャになっていた。



それは俺の怒りを沈めるのに十分だった。


「なんで、お前がそんな顔すんだよ………」


「俺には何もできなかった、俺は………無力だ」


「どういうことだ」


「人に取り憑く幻獣は、殺すしか手がない、この意味が……分かるよな」


「そんな、綾瀬は……どうなる!?」


心臓の音が大きく跳ねる。


馬鹿な俺にでもわかる。


でも信じたくない事実、


「……助からない」


全身の力が抜けて、腰から地面に落ちる。


顔を滴る涙、


何のための修行だったんだ、


俺はただ誰かを守るために……、


結局力を手に入れても俺は、


何も変わらない。


何もできない。


誰も守れない。


「諦めるのはまだ早いぜ」


肩に唐沢の手が置かれて、


暖かさが伝わってくる。



落ち着きを取り戻していき、


俺は立ち上がった。





「そんなこというぐらいなら、なんか策でもあんのか?」


「そんなもん必要ないだろ」



「はっ!?」


「さっき助けるのは無理って言ったよな、それは綾瀬と妖狐の心がガッシリと引っ付いているからだ、でもよ………」


「な、なんだよ」


唐沢がニヤニヤしながら俺を見てくる。


期待と希望の眼差しで……、





「お前のその武器、夢想の幻拳エクスカリバーなら不可能も可能になるんじゃねぇか?」


「俺の武器で!?」


「そんな、驚くこと無いだろ、なんせその武器はお前の思いを形にする能力なんだろ?それなら綾瀬を助けたいと思いを形にすればいい、」


「綾瀬を救えるのはお前だけだ」




「俺が……」


そうか、やっと、


俺は…………誰かを助けられるのか、


俺の力で……、


「分かった!!俺がやる、やって見せる!!」


決意を固めたその瞬間、


まばゆい青い光が俺の右手を覆っていった。

























幻獣、妖狐の覚醒により、


街に異変が生じていた。


それにいち早く気づいたトールは、


浅蔵の体を借りて、町中を飛び回っていた。


(どこだ!?)


電磁力の利用による超スピード移動、


その速さゆえ、一般人には全く見えない。


だから俺の姿を見て騒動が起きたり、邪魔されたりしないわけだ、


しかし、


「うっ!?」


頬スレスレを木の枝が通り過ぎる。


ありえない状況、




だが、トールは逆に落ち着いていた。


「誰だ?」


居場所は分かっていた。


限りなく低い電圧で辺りを覆う、


いわばレーダーのようなもので探知したからだ。


「いるのは分かっている、出てこいよ」





だが、反応はない。


無言でトールは、右手に電気を集め始めた。


そして、投げるように電撃を放った。


凄まじい光、爆音、



それらが収まったとき、


辺りは綺麗さっぱり吹き飛んでいた。


一人を除いて………。


「手荒すぎですよ、トール様」


スーツ姿の男、


真庭研一だ。


「お前何もんだ、これはお前がやったのか?」


「いえいえ、わたしたちではありませんよ、とんだ誤解です」




「ならそこをどけ」


「残念ながらそれは無理です」


真庭の背後から大量の人形が飛び出して、


大きな壁を作り出した。


「でも通っていいですよ、通れるもんなら」



不敵な笑みを浮かべる。


「………」


瞬間、トールの体が真っ白に発光する。


雷鳴が唸り、一度に膨大なエネルギーが放出された。


だが、


「ガード、ガード」


人形たちに直撃したのに、傷一つついていなかった。


「!?」


「そんなに驚くことはないですよ、なんせ能力によって作られたものなんですから」


「そこをどけ!!」


両腕を前に突き出し、電撃を放つ。


複数に別れた光の槍の一つは、


真庭のほうへ向かっていった。








電撃は爆音とともに消え去り、黒煙が立ち込める。




「………何をやっても無駄のようだな」


煙の隙間から笑顔を見せる真庭、


圧倒的な破壊力を持つトールでさえ、


破壊することができない人形の壁、


「ちっ、めんどくせぇな」


「まぁまぁ」


真庭の顔に笑顔は消えない。


対してトールは焦りを隠せず、苛立ちをも感じ取れる。


それほど事態は刻々と深刻さが増している。


「っ……!!」


電撃を纏い、魔力を向上させていく。


蛇のような動きをする電撃、




「ただの電撃じゃ貫通できませんよ」


それでも変わらず余裕綽々の様子だ。


だが、次の瞬間、


白い閃光が真庭を襲った。


「!?」


驚きの表情を浮かべる、


それも無理もない。


先程まで目の前にいた雷神トール、


その姿が一瞬にして消えたのだ。


過信はしていないが、


真庭は自分の能力を足止めには一番だと思っていた。


事実、さっきまで雷神トールの足を止めていた。


なのになぜいきなり抜かれたのか、



「くっ…」


おぞましいオーラが背中を撫でる。


雷神トールは背後にいた。


その姿は、


白髪に黄色の瞳、まさに神秘的な雰囲気を感じさせる。


限定解除バーストか……」


真庭が一言そう吐いたとき、


トールの姿は電撃を残して、消えていた。






























「…………綾瀬ちゃん」


「………綾瀬ちゃんってば!!」


「何寝ぼけてんのさ、もう朝だよ」


「え?だれだって、僕は****だよ」


「ほらほら早く布団から出て、始めるよ」


「何をって?そうだなー、簡単に言えば」









「楽しいことだよ」















ネタ切れやばし

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