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一応言っとくが俺の親は神様の敵だぞ?  作者: トミー
春:花開いた桜はやがて散る
17/26

過去と現在***挿絵入り

試験前日なのに……


やっちまったぜ

私は、一人だった


小さい頃からずっと……


父は世界に名を連ねる会社の社長


母は教育指導専門のエキスパート


そのためか私は窮屈な世界しか知らなかった。


毎日勉強、勉強


遊びなど知らなかった。


友達もいない。


私は一人……


そんな私を、


私の中の世界を広げてくれたのは、


まだ小さかった頃のヒロちゃんだった、、、、





そう、ヒロちゃんは私にとって大切な人、


絶対に死なせたり、傷つけさせたりはしない。


私はそう誓った日から強くなった。


誰よりも、


強く、





*****************











あぁ頭いてぇ……


どうやら地面に頭をうちつけてしまったみたいだ。




なにがあってこうなったんだっけ?


途端に先ほど俺たちを襲った黒い槍を鮮明に思いだす。


そして、その暗闇の中にいた黒い翼を持つ人物を……


「うぅ……」



「弘樹さん、気が付きましたか!?」


目を開けて、すぐ近くにいたのはロキだった。



顔は泣き腫らしたように赤くなっている。


「な、何があったんだ?」


「………」


ロキが深刻そうな顔をして口を閉ざした。


いつもなら空気読んで、自分で考えるが



頭が完全に回っていないらしく、考えることができない。




たしか俺たちは、遊園地の地下で……




あれ、そういえば万里がいない。


あいつはどこに行ったんだ?



「!?」


ロキに改めて状況説明をしてもらおうとおもったそのとき、


俺の横で何かが破壊される音が鳴り響いた。


煙がまき散らされ、あたりの景色が濁る。


その中に見覚えのある人影を見つけた。


そこには万里がいた。


やっと頭が回ってきたところで、


状況を理解した。


あの時の衝撃で俺は気絶していたのだ。




そして、おそらく俺を守るために万里は単身で黒い翼の足止めをしている。


その体はすでにあちこちに傷が出来ていて、どれほど激しい戦いだったのか軽く予想できた。



くそ!!


おれが守るはずだったのになに守られてやがんだ!!


そんな

悔しい思いでいっぱいだったが


すぐさま俺の注目は別の方向に向けられた。


「あいつは何だ?」


どうみても人間ではない。


白い肌に赤い瞳、さらに背中には黒い翼が四枚生えている。


そして、あの尋常ない強さ


万里を完全に押している。


どこかの神なのか?


「奴は堕天使です、堕天使コカビエル、ルシファーの幹部です」


「堕天使!?」


予想だにしない展開に驚きを隠せない俺は、思いっきり体を起こしてしまった。


打ったところがとてつもなく痛む。


「いてて、でその堕天使さんはなんでここにいんの?」


「さぁ、わたしにも分かりませんが、それよりこのままじゃ万里さんがやられてします、どうしましょう………」


いまや万里は防御のみに専念していた。


攻撃を仕掛けていたのに、まったくダメージが通っていない


それは圧倒的実力差を示していた。




たしかにこのままじゃ万里が死ぬ。



どうすれば………








ははっ





馬鹿か俺は……





「どうするかなんてとっくに決まってんだろ!!」




俺は震える足に喝を入れて、立ち上がった。


もちろん、万里を助けるためだ。


第一アイツが戦っている理由は俺にあるんだからな


「待ってください!!今の弘樹さんが行けば死んじゃうかもしれないんですよ !!」


そんなことはわかっている


でも


「あいつは、一度も俺を見捨てなかった、それなのに俺があいつを見捨ててどうするってんだ!カッコつかねぇだろ!!!」


何のための心だ!!


何のための力だ!!


そうだよ!!この力は





誰かを守るためにあるものだ!!





いつの間にか俺の両手に、あの時の大剣が握られていた。


体も軽く感じられ、感覚も冴えている。


勝つか負けるの問題じゃねぇ……


大事なのは、、



「うおおおぉ!!!!」



「ぬっ!?」


「ヒロちゃん!?」


万里は驚き、コカビエルは万里への攻撃を止めて、早くも防御のモーションに入っている。




構わない、やつの腕ごと斬ってしまえば……問題ない!!



大剣を上段に構えて、助走をつけた斬撃をやつの右腕に向かって放った。


しかし、


ガアァァンという鉄の塊を叩いたような音が響いたと思うと、


「!!!!?」


腹に衝撃が走り、後ろに吹き飛んだ。


「ぐふっ……一体何が…」


不可思議な現象、


驚きこそしたが、慌てたりはしていない。


まだ三戦ほどしか神々の戦いは見ていないが、それでも能力への耐性はついてきたと自分でも自負している。


だから、これもおそらく何かの能力であろう。


「なんだ、お前、ハエみたいな攻撃しやがって……まぁ俺はお前みたいな無謀で馬鹿なやつを叩きのめすのは好きだがな」


コカビエルは羽をたたんで腕を組んだ。


ていうか、近くで見るとかなりでかい。


二mは軽く超えて、がたいもムキムキのマッチョだし、ていうかなぜ上裸なんだ?




「まぁいいや、とりあえず、お前倒すけど文句ない?」


何事もなかったかのように立ち上がり、挑発する。



「あぁ?俺を倒すだと?笑わせんなガキンチョが!!」



フッ!!


消えた!?


一瞬にしてやつの姿が俺の視界から消えた。


そして、


「ぐわぁぁぁ!!」


横腹を思いきし殴られ、再び吹き飛ばされた。


なんつースピードだ。



だが、俺に何度も同じ手が通用するわけがない




「ぁああああ!!!」


足に力を入れて、踏みとどまり、


絶叫しながら、俺はコカビエルに向かって剣を振り回す。


振り回すという言葉を使ってしまえば、雑に攻撃してる感が出てしまうのだが、そんなことは全くない。


動かしている俺自身も驚くスピードで相手に斬りかかっている。


だが、それでもコカビエルはすべて紙一重でよけている。


しかもわざとだ。



「畜生がァァァ!!」


大きく横に切り払ったが


当たるわけが無い。


コカビエルは空中へ退避して、宙に浮かんでいる。


「ったく、持っている武器は一流なのに使い手が三流以下じゃねぇー、ゴミがいくら着飾ってもゴミなんだよ!!」


コカビエルの声が周りに響くと同時に、黒い魔法陣が八つ配置される。


「くくくっ、なぁ、闇魔法って知ってるか?」


不気味な笑い声と共に、魔法陣がバチバチと火花を散らす。


「闇の染まりし神の雷、光を喰らいてその身を焦がせ!!『闇電槍ダークランス』!!」


詠唱とともに魔法陣からどす黒い色をした尖ったものが現れ、


物凄いスピードで俺を襲ってきた。


「くっ!!さっき食らったのこれか!!」


すぐに反応し、


走ってジャンプしてよけてはいるが、何しろスピードがあるため


よけきれないのは剣で切り裂いた。


「な、何とかしのぎきった、」


八つの槍はすべて地面に突き刺さり、不発に終わった。



だがそれはまだ序の口だった。


「命を燃やし、心を焼く、悪魔の炎『黒炎ブレイズ』!!」


「はぁぁぁぁ!?」


新たな詠唱とともに現れたのは、巨大な炎の塊、


熱が地面にまで伝わり、ジュージューと音を立てている。



まるで太陽が落ちてきたみたいな地獄絵図である。


「これでは逃げられまい、死ね」


やばい、まじでやばい


火球はそのままゆっくりと地面に向かって落ちている。



大きさ的にやつが言った通り逃げるのは無理だ。


といっても受けきれる魔力じゃない。





このままじゃ、みんな…………


「諦めないの!!」


「!?」


いつの間にか万里が横に来ていた。


「ここで諦めたって何も変わらないでしょ?それなら何かやってみなくちゃ!!」


「万里………」


あぁ…そうだ…


思い出した。


俺って昔から万里に励まされてばっかだったな、


いつも、いつも、


男のくせに情けないくらい



いつも、


「そうだよな……諦めてもいいことないしな」


そうだ、


まだ俺は生きてるんだ


何か、まだ何かできる




「ヒロちゃん……」





「行こう……」

















それを聞いた万里は優しく微笑み、


手には黒い剣が握られた。








挿絵(By みてみん)




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