アルバイトの面接
翌朝、糸井に教えられた通りに電車を乗り継いで洗足で降りて、ドーナツ屋に足を運んだ。店員の女の子に
「沢村竜太郎です。面接に来ました。店長はいらっしゃいますか。」
と尋ねた。店長が降りてきて
「店長の小阪です、事務所まで来てください。」
竜太郎は履歴書を渡すと、店長は目を通し
「糸井君から聞いているよ。責任感の強いしっかりした青年だと。」店長は仕事の説明をはじめた。竜太郎は一通り聞くと、小阪が
「明日から来てもらえるかな。」
「はい、判りました。」
「最初は店内の清掃からやってもらう。慣れてきたらセールスやベーカーもやってもらうつもりだ。ここにマニュアルがあるから目を通しておいて欲しい。」セールスの女の子が店の中でコーヒーを飲んでいる竜太郎をじっと見ていた。
「あの娘は高校生なんだ。今は春休みで、この時間に来てもらっているが学校が始まったら夕方しか入れない。君も学校があるので、都合の良い時間帯を記入して欲しいんだ。1週間ごとにシフトを作るんだ。もちろん試験期間中は休んでもかまわない。よろしく頼む。」
バイトも決まり、来週の月曜日が入学式である。
帰って見ると文子が
「ラブレターよ」とにっこり笑って、手紙を渡してくれた。玲子からだった。急いで部屋に帰り手紙の封を切った。手紙のにおいをかぐと玲子が傍に居るような気がした。
「こんんちは竜ちゃん
車の免許取りました。劉ちゃんと別れた後、一晩中泣きました。東京は暖かいんでしょうね。あさってからいよいよ社会人になります。下宿先の電話番号もお母さんから聞きました。竜ちゃんのことずっと待ってます。」