動き出した竜太郎
竜太郎の身辺が動き出し慌しくなってきた
学生服を着た人が話しかけてきた。どうやら体育会の運動部の学生らしい。
「君は高校の時何か運動をやってただろう。」
「はい。」
竜太郎は関わりたくなかったので、ぶっきらぼうに答えた。全く興味がなかった。
「身体つきを見てすぐ判ったよ。ところで何をやっていたんだい。」
「野球です。」
「ポジションは?」
「ショートで2番を打ってました。」
「体育会のラグビー部のマネージャーなんだ。一度練習を身に来て欲しい。」
「いいえ私は部活をやる暇が無いので、お断りします。」
「残念だな。もし気が変わったらいつでも来てくれ。」
竜太郎は何事もなかったように銀杏の木の下で図書館で借りてきた、ゲーテの詩集を読み始めた。ドイツ語は久からもらった参考書である程度勉強していた。
その晩、玲子に手紙を書いた。
「東京の生活のはまだ慣れなくて、人の多さにびっくりしています。玲ちゃんは元気でやっていますか?車の免許とりに行ってるんだよね。ぼくはお金が無くて自動車学校には通えません。お仕事大変だろうけど頑張ってね。今親戚の家にやっかいになっています。もう少ししたら一人で暮らそうとおもってます。叔母さんも叔父さんも卒業するまで居ていいと言ってくれますが、自活すると言って家を出てきたので、そうもゆきません。お母さんは叔母さんの家に下宿するのに賛成なんだけど、ちょっと迷ってます。玲ちゃんに合えるのを楽しみにしています。」
これから物語りは竜太郎の身辺が動き出してゆきます