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強気現代人。弱々ヒロイン救済処置。  作者: 砂城菜絵


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1/1

天使様のお願い

よろしくお願いします。

暴力的描写があります。苦手な方はごめんなさい。

設定ゆるゆるです。


「だ――れ――助け――て。お――願い。もう、――無理。誰か……助けて!!」

闇の中から耳をつんざく、悲痛な叫び声。

誰かに届くように、祈るように。救いを求める声。

願いは、届くだろうか?



タクシーから降りると。国道に面したホテルから仲良く腕を絡めて出て来る二人の男女。

その姿を見て、麗奈は、かあっと目を見開く。

諒!?あいつ!浮気していたの!!

カアッと頭に血が上り、裏切られたショックと相手に対する不快感。いろいろな感情がいりまじり物凄く暴走する。

車が来ないのを確認して、急いで走って行き二人の前に出た。絶対に許せない!!

驚く二人。諒は目を大きく見開き、酷く落ち着かない様子。

考えるよりも先に行動してしまう

「この浮気物!!」

怒声とともに、勢いよく手を振り落し、諒の頬をビンタした。

仲良く腕を組んでいたせいか、二人ともバランスを失くし崩れるように倒れた。

フン、ザマァみろ。

ちょっと勢いつけすぎたかな?それでも道徳的に反する事は許せない!

「れ、麗奈。ち、違うんだ!か、彼女は」

この後に及んで言い訳!?

聞いてやろうじゃあない!!

すでに喧嘩腰の麗奈。

麗奈を怖がっているのかオドオドして続きを口にしない。

じいっと二人を睨み黙って言い訳の続きを待っている。

なかなか話そうとしないのでイライラして相手の女の方に視線を向け

「あなた彼とはどういう関係?」

冷ややかに、倒れこんでいる浮気相手の女を見て聞いた。

長い髪が顔にまとわりついて、表情が見えない。

髪がショートカットの麗奈と違い。腰まである緩くウェーブのかかった長いい髪。彼、諒が言っていた好みの髪型とは違う。諒はショートカットが好みだと言っていたのに!!

怒りで肩がワナワナ震える。

「か、彼女は、」

「あなたに聞いていない!」

切りつけるように言い捨てる。

女は、細い指で長い髪を耳にかけると眉を八の字にし弱々しい表情をし震える声で。

「わ、私は彼の、婚約者です」

こ、婚約者!?

じゃあ、私が浮気相手!?って事!?

諒の方をキッと目をむけると、諒はブンブンと勢いよく首を横にふる。

「ち、違う!!た、ただの幼馴染だ!!」

「幼馴染で、婚約者です」

続けてはっきりと彼女は、麗奈を見上げて言った。

色白で可愛らしい、庇護欲をそそるようなクリクリした大きな目。

あなたには、ない物を持っている。と言われているような感じがする。あざとぽっい姿にイラッ。

女を苛立たされるタイプね。

「本当に、ただの幼馴染だ!今日は、結婚式があっ

て、あのホテルにいたんだ!!」

結婚式の帰りね。それらしい格好だけれど。違うと言われると……どちらとともとれる服装だ。2人ともビジネススーツぽいっ服装だからだ。どちらかというと仕事って言われたほうが納得する格好。

でも、仲良く腕を組んで歩いている時点でアウト。

もう、……信じられない。

裏切られたんだ。泣きたくなる。

下唇をギュッと噛み涙が出て来るのを我慢する。

「私達小さい頃から、結婚の約束をしていたんです。

だから私達の間に入り込まないで…」

そう彼女が弱々しく言うとふらふらと麗奈に近づいて来た。「もう諒に近づかないで」諒に聞こえないように抱きついて

「あなたのそういう乱暴な所嫌いって言っていたわよ。もう関わりたくもないって」

耳元でそう囁くと彼女は、麗奈の手首を掴み彼女の胸の方に持っていき、ニャッと意地悪く微笑んで麗奈の手首を勢いよく振り離し突き飛ばした。

「ひどい!ごめんなさいって謝ったのに突き飛ばすなんて!!」

彼女、私が突き飛ばしたように見せかけている!!

被害者のように弱々しく泣いているフリしている!

ちょうどホテルから人が出て来て集まった所にこれは、まるで麗奈が突き飛ばしたようにみえている。

批難するような目があっちこっちでみられる。

やられた!!

これじゃあ、私が悪者じゃあない!!

チラッと諒の方をみると彼は、カッと目を見開き、こちらに近づいて来る。怒っている。

私が突き飛ばされた方なのに悪役にされるなんて!!

麗奈は、崩した体勢をととのえようとすると彼女が、腕を伸ばし麗奈の足首を掴んで転ばせた。

履いていた靴がヒールの高い靴だったからか、靴が抜けて、倒れてしまった。

―ザマァみろ―

倒れる間際。彼女が残忍な笑みを浮かべ口パクでそう言っているのがみえた。それは誰にも聞こえなかったようだ。

批難するような眼差しで、ホテルから出て来た人が麗

奈を見ている。


――ブプゥッ――


けたたましいクラクションの音が鳴り響く。

同時に悲鳴と叫び声が聞こえできて。

「麗奈っ!!危ないっ!!」

諒の叫ぶ声。


えっ!?  クラクションが鳴った方を振り向くと

トラックがこちらに向かって、走って来るのが目にはいった。思わず目をぎゅっと閉じる。

ぶつかる!! トラックに衝突する!!

悲鳴がいろんな方向から聞こえてくる。

これが私の最後なの!?  そんなの嫌!!


眩しい光が辺りを照らす。


「――お願い。――助けて――」

悲痛な叫び声と同時に、腕を強く引っ張られ、倒れ込んだ。

い、痛く、ない?  助かった……!!

恐る恐る目を開けると真っ白な霧がみえた。

霧? 辺り一面霧みたいな(もや)が広がっている。

えっ?? なんで真っ白なの!?

 

晴れていたのに。青空だったのに。


キョロキョロと首を左右に振り周りを見渡す。

何も見えない。ホテルもトラックも見えない。

人影も見えない。

諒もあの女も姿形見えない。まるで、きれいさっぱり消えたような……。


もしかして、私……トラックに跳ねられて……そのまま、死んだの……? そんな!!


「――助けて――」


何処からか、悲しげな声が聞こえてきた。


白い霧の中に来る前にも聞こえたような……?


「麗奈ちゃん。君に、お願いがあるんだ」

声とともに、頭上から、ふんわり。白い羽根が落ちてきた。


天使の羽根?


麗奈が顔を上げるとふわぁさあっと天使の羽根を広げた金髪の青年が、ニコリっと優しげに微笑んで麗奈の前に着地した。

何処となく諒に、似ているような…。


「私、死んだの?  ここは、天国??」

天使は、優しく首を横に振った。

「君は、まだ亡くなってないよ。君にお願いがあってここに呼んだんだ」

その声は、諒の声とは違った。ちょっと落ちつきのあるハースキーボイス。

何処か悲しげだ。よく見ると諒とは違う大きな目。やっぱりちょっと似ているだけ。


――お願い??――


「そう。彼女を助けてほしいんだ。」

麗奈の心の声が聞こえたのか、天使は頷いた。



レラリア・クラック男爵令嬢。

麗奈とは違う世界の17歳の少女。幼い頃に母親を亡くし、父親が連れて来た愛人と腹違いの妹にいじめられている可哀想な子。使用人にまでもいじめられていて。誰も味方になってくれないらしい…。婚約者も腹違いの妹を大事にしているらしく、レラリアの事を無視している。

ザックリと麗奈の目の前にいる天使様は、レナリアの事をそう説明した。

ギリッ。怒りで歯軋りする麗奈。

父親は、前妻とそっくりなレナリアを疎ましく思っている。

ギリッギリッ。歯軋りがひどくなる。


クソが。父親は味方になれよ!

思わず言葉遣いが汚くなる。

天使は、そんな麗奈を頼もしそうに見た。

「使用人にまでも、いじめられるってどういう事よ!   雇われている身なのに、 その家で仕事をしている自覚はないの?」

天使は、残念そうに眉を八の字にし、

「雇っているのは、愛人の方だから…」

ああ。雇い人に、逆らえないっと。だからって、その家の子に嫌がらせしていいって話じゃあない。

「婚約者は、愛人の子の味方って事は…まさか、浮気って事!?」

カッと目を見開き、麗奈は天使を睨む。

天使は、麗奈の勢いにのまれ、頷く。

「許さない!!」

グッと両手で拳を握り。ホテルから出て来た諒とあの女を思い出して

「浮気者には、それなりの制裁をしなくっちゃね」

ボソッと呟き。不適に笑う。

恋人じゃあなく婚約者って事だから…。

まず。慰謝料請求できるわね。がっぽり支払って貰おうじゃあない!

「じゃあ。レナリアの事を助けてくれるの?」

天使は、嬉しそうに麗奈の手をとる。

いきなり、手を握られ戸惑う麗奈。

「えぇ。 同じ女として、許せないから」

天使は、ぱぁっと目を輝かせると。

「ありがとう! 味方になってくれて!」

お礼をいい、ぱぁっと天使の羽根を広げた。

「じゃあ。早速!」

眩しい光が辺りを包み、思わず目をつむる。

「言い忘れていた! レナリアの家は、レナリアのお母さんの祖母の家を譲って貰った家だよ」

「それって、愛人に家を乗っ取られたって事!!」

麗奈が、叫ぶと。天使は、渋い顔で頷く。

「レナリアのお祖母さんは、侯爵家の娘なんだ。だから、レナリアのお父さんを唆して家と財産を……

レナリアのお母さん付きの使用人は、全員クビに…」

だから、守ってくれる者がいない……。味方がいない……。

それは……ツライ。父親は、他人事で……。レナリアを助けない。

お母さんもいない状態で……。

誰も、レナリアを助ける人がいない…。

天使が気にかけてくれなかったら…。1人で……。

レナリアの思考に呑み込まれそうになり、首をブンブン横に振る。


まずは、やれる所から、やってみるわ!

大丈夫!! 私が味方になるわ!!


だから、天使様も私を助けなさい!!


「できるだけ、サポートします」

申し訳なさそうな声が、聞こえてきた。

[もう、目を開けて大丈夫ですよ]

麗奈は、ゆっくりと目を開けると天井がみえた。

どうやら、ベットに横になっていたらしい。

[私の声が、聞こえますか?]

天使様の声が、うっすら聞こえて来る。

麗奈が、頷ずくと。ベットから立ち上がり、辺りを見回す。

質素な部屋。大きな姿鏡。簡易なベット。勉強机。

ハァ。まるで使用人部屋ね。麗奈は、溜息をつく。

鏡を見るとそこには、薄汚れた白い長袖のワンピースを着、ガリガリに痩せ、髪がボサボサに長い10代位の麗奈によく似た少女がいた。手を動かしてみると肩の方からズキッとした痛みが走った。

袖を捲ってみると青い痣が。白い肌にくっきりとでていた。

よくよくみると、両手両足に、青痣が点々。

コレは、酷い!! 虐待! 児童相談所扱いだ!

この世界には、ないの!? 救護処置! 保護施設!

[ありません……けれど…]

なんか、歯切れ悪いわね?

[レナリアは、貴族なのです。男爵令嬢なのです]

だから……?

どういう事?

[外聞が悪く行けない…。逃げる事ができない]

ボソボソと天使様は、説明する。

[一応。レナリアの事を逃がそうとしていた人はいたんです。けれど……レナリアが断った]

「その人は? レナリアを逃がそうとした人は?今は?」

[……。 レナリアの……お祖母さん]

この家の持ち主の?  

[嫌だったら、この家を出ていっていいよ。 私の家に来るといいって言われたけれど…]

辛そうに、天使様は言った。

レナリアのお祖母様は……継母に毒殺…!

麗奈の脳裏に、レナリアのお祖母様の姿。藻掻き苦しむ姿に、泣き叫ぶレナリアの姿が映像で映し出された。

酷い!! あまりにもひどすぎる!

これは、もう殺人事件じゃあない!

警察は、なにやっているの!

「も、もしかして、レナリアのお母様も……?」

最悪の事を考えてしまう。

[ は、い。お祖母さんと同じ様に……。

愛人にそそのかされた父親が……。]

ど、毒殺!?


[警察官に、気づかれないよう、わからない様に、処理された後だった]

ハァ!? 天使様なにやっていたのよ!

麗奈は天使様に、思わず食って掛かる。

[……ごめんなさい]

つらそうに天使様は、呟く。

「私の方こそ…ごめんなさい」

完全なる八つ当たりだ。

天使様は、見守る事しかできなかったんだから…。

仕方がないよ……。




麗奈は、泣きそうになるのをこらえる。


レナリアの無念は、私が払ってあげるわ!


扉が乱暴にノックする音が聞こえた。返事する間もなく、扉が勢いよく開いた。

メイド服らしい服を着た女性が、トレーに食事らしい物を持ってきてレナリアの前に、乱暴に置く。

置いた所が……。床。机ではなく。地べた……。

「はい! 食事ですよ。今日は、これだけですからね。さっさと食べてください!」

ニヤニヤしながら、麗奈を見る。

これが、主人の娘に対する扱い……。

「誰が、給料払っているのよ」

ボソッと麗奈は、怒りに震えて言う。

[レナリアのお祖母さんの遺産から]

天使様の声が頭に響く。

ハァ? 父親からじゃあないの?

[あの人は、使用人にかけるお金がもったいないと

お祖母さんのお金を着服して、そのお金で安いお給料を使用人達に払っています]

「横領かよ 仕事しているの?」

思わず言葉遣いが、悪くなる。

[貿易の仕事をしているよ……お金が大好きな人だから]

マジか。最低だな。

チラッと床に置かれた食事を見る。

見るからに、青いカビの生えたパンに水。それだけの食事。これだけ……。

麗奈は、ギロッとメイドを睨む。

「なんですか。その態度! お嬢様のくせに生意気で すよ!」

ブチンと何かが切れる音がした。

「あなたこそ、何様のつもり?」

静かに怒りをためて、メイドの髪をつかみ。パチンと頬を叩く。


「あなた、この家に雇われている身でしょう?

私はこの家のお嬢様なの。給料を払っているのは、むしろ私って事になるわよね」

チラッと床に置かれた食事を見てからメイドを見る

「もし、他の家であなたがメイドをしていて、こんな事やっていたらどうなるのか、わかっているの? 想像してみて。 

そう。お給料を貰っている家に、こんな食事を持ってきたらご主人様は、どう思う?」

麗奈は、カビたパンを掴みメイドの口まで持っていく。

メイドは、ワナワナと震える。

まず、あなたからレナリアの代わりに私が復讐してあげる。


「言いなさい」

「こ、こんな事して、奥様がどう思うか…」

震える声でメイドが言った。

普段言い返さない人が、言い返した事で戸惑っているのね。

「あなたまだわからないの? 奥様とか関係ないの。

私は、この家のお嬢様なの」

「この家じゃあコレが普通なんでしょうけれど。

他の家で、やったらどうなると思うの?」

畳み掛けるように麗奈は、言う。

顔を引き攣らせているメイドを静かに睨み、溜息をつく。

「わかる様に説明しましょうか? 例えば、この国の国王様とかに、国王様からお給料貰って、青くカビたパンと水の食事だけを国王様と王女様に渡せる?」

メイドが、さぁっと顔色を悪くした。

あら、想像出来るじゃあない。

「じゃあコレは、あなたが食べていいわよ」

メイドは、首を横にプルプル振る。

「ご主人様命令よ。 私は、あなたにお金を払っているの。お給料を渡しているの。おわかり?」

メイドは、屈辱そうに。パンを睨む。

「これを持っていく様に言ったのは、誰?」

一応確認しなければね。

いつもと態度が違うレナリアに、恐る恐るメイドは「り、料理長です」

諦めた様に言った。


腐っている。料理長が、こんな事するなんって。

食べ物を粗末に扱い。この家の娘に、なんって物を食べさせようとしているのよ。料理人のする事ではない

「レナリアの食事は、毎日コレなの?」

ボソッと呟く。

[たまにしか、食事は……出されない。

食事が出てもいつも同じ]

天使様が悔しそうに言う。

これじゃあレナリアは、栄養失調になってしまう。

栄養が十分に足りてない。

ひどすぎる児童虐待だ。

麗奈は、怒りをあらわにメイドをみる。

いきなり乱暴になったレナリアに恐怖し、怯えた。

「あなた名前は?」

「あ、アニー」

問われるまま、アニーは恐る恐る答えた。

「アニー、あなた他の家で、今までの様に振る舞ったら、解雇されるわよ」

麗奈は、冷たく言い放す。

「お、奥様に…命令されたので!」

命令されたから、しかたなく……

そう言えば、許してもらえると思っているのかしら。


ハァと麗奈は溜息つくと

「ご主人様に忠実なのは、いい事だけれど」

そこで、言葉を切ると呆れた様に、アニーを睨む。

「嬉しそうに、その家の子を虐待する。あ、な、た、の姿をみて、他の家が雇ってくれるかしら?」

「こ、ここを辞めたら…」

「まず無理でしょうね。あなたの仕事振りを記録して次の仕事先に話すから」

がくっとアニーは肩を落し。

「ゆ、許してください」

いつ辞めさせられても、おかしくない状態。

ここをもし、辞めたら、次の仕事先がなくなる…。

縋り付く様に、麗奈を見上げる。

「絶対許さない! 自分のした事反省しなさい」

アニーはメイドで、レナリアはこの家の娘。雇い人。

そこから給料が発生している事を忘れていた。

自分が、お嬢様って呼んでいる人なのに…。

「アニー。料理長の所まで、案内しなさい」

「は…い」

諦めた様に、アニーは返事した。



アニーと一緒に廊下を歩いているとバケツと雑巾を持った。アニーと同じメイド服のお掃除メイド達に会った。

「アニーどうしたの?薄汚れたお嬢様と一緒にいるなんて」

クスクスと嘲る様に笑い合うメイド達。アニーだけが、先より、益々顔色を悪くする。

フ〜ン。よっぽど次の仕事先の話が、応えたのね

まぁ。あれだけすれば、おとなしくなるわよね。

こいつらも同じか。よっぽどレナリアの事が気にいらないのね。

[レナリアは、優しくっていい子だよ]

天使様がブスくれた様に言った。

優しくって、いい子。天使様のお気に入り。

レナリアは、ただのストレス発散。サウンドバッグ。

って事かな?

おとなしい子をいじめる。なんって奴!!

麗奈は、ギリッとお掃除メイド達を睨む。

物凄い形相の麗奈を見た、メイド達は一瞬怯んだが、すぐ体勢を整える。

「な、なによ! ボロボロで気持ち悪いお嬢様!」

そのボロボロの状態の麗奈は、メイド達に更に凄んでみせる。1人は、怯えて逃げていった。

よっぽど迫力あったのね。

[少し怖いよ。レナリアがレナリアじゃあない感じだ。 髪を整えてない状態で服もそのままだから、よけい迫力あるよ]

あら、どんな感じ?

天使様が麗奈の脳裏に、レナリアの凄んでいる様子を鏡の様に映しだした。

おぉっ。コレは(すさ)んでみえていい。

恐がれ、恐がれ!

ニヤリと麗奈は、笑った。

「な、なによ! 不気味な!」

ハァ。又これだよ。ここの家のお嬢様に向かって…。

麗奈は、呆れて叫んでいるメイドを睨む。

「お嬢様のクセに生意気なのよ!」

これ流行(はや)っている言葉なの?

思わず溜息をつく。

お掃除メイドはプルプル振るえながら、バケツに入っている水を麗奈に、向かってかけた。

全身汚れた水で、びっちょり。

アニーだけがオロオロしながら

「だ、だ、大丈夫ですか?」

声をかける。

麗奈は、怒りでプルプル振るえる。

お、お前にも、汚水ぶち撒けてやろうか!?

バケツに入っている水は、残念な事にそのメイドが持っているだけだ。

仕返しが出来ない。悔しい! やり返したい!

[麗奈ちゃんなら、やり返せるよ]

どうやって? アニーに、バケツいっぱいの汚れた水持ってこさせる?

う〜ん。それもいいわね。

でも、早く、全身びっちょびっちょの状態をなんとか

したい。ワンピースが傷に張り付いて、ヒリヒリ痛い。お風呂入りたい。

でも、このまま引き下がって、あいつらを野放しにしたくない。

[レナリアは、魔法が使えるよ]

へ。今なんって言った?

[この国は、魔法が使える世界なんだ]

えぇっ!! なんだって!!

魔法! 夢の世界の魔法みたいな? 某ランドを一瞬。思い出してしまった。麗奈。

いやはや。どうやって魔法を使うの?

[心の中で、やりたい事イメージしてみて。]

やりたい事……。

あのお掃除メイドに、バケツでかけられた、この汚れた水を全部、返したい!!

んでもって、私の全身をドライヤーの風みたいに乾かしたい! 洗濯乾燥機みたいなのがいいかしら?パリッと乾かしたい。


スーッと麗奈の身体にまとわりついた水が引いていき、球体になって、ドンドン大きくなって宙に浮く。

身体に、まとわりついていたワンピースが離れていき、パリッと乾く。温かく気持ちいい風が、サワサワとそよぐ。

麗奈から離れた汚れた水は、茶色い水の膜になり、お掃除メイドの頭上にフワフワと茶色い水風船の様に浮き、バシャンと水風船みたいに割れた。

お掃除メイドに、全部。バケツの汚れた水が、水風船になって、割れ。返してやったわ!

すごい! 気持ちいい!!

お掃除メイドは、びっちょりとまとわりついて、濡れた髪をふりはらい、麗奈を睨んだ。

「ねぇ。魔法が使えるって事は、今までやられた事とか全部記録する事出来るかな?」

スマホみたいに録音。録画機能あれば便利。後、防犯カメラ。 

[出来るよ]

「古い記録とかも? 昔やられた事とか」

それは、無理かな?

録画再現出来たら、レナリアのお祖母様とお母様の事件も解決出来るのに…。

[それは、王族の人しかできない。 数年前の事となると麗奈には、無理]

そうか、どうにか王族の人会えないかな?


「コレは、なんの騒ぎですか!?」


スーッを着た初老の男性が、物凄い形相で麗奈を見た。

「あれ、ダレ?」

[執事長のポールだよ。この男爵家を取り仕切っている。まとめ役。

継母の愛人で、レナリアの資産に手をつけている人

優しそうな素振りで、レナリアに接しているけれど…油断ならない人だから、気をつけて]

淡々と天使様は、麗奈に説明する

麗奈は、「わかった」気を引き締めて、頷く。

継母の愛人って……。レナリアのお父様も、ちょっと可哀想……。

あ、でも自分がやった事が自分に返ってきたから、自業自得。因果応報。だわね。

わぁ。なんか、昼ドラの世界。

タラッ。冷や汗が出てくる感じがした。

でも、同情はしない。

「執事長! お嬢様が酷いんです! 魔法で私に、水をかけたんですよ!」


お掃除メイドが、味方ができたと嬉しそうに、執事長に近づきしがみつく。

執事長は嫌な顔をし、お掃除メイドをみる。


「ふッ。フハハハ!!」

後ろから、突然大きな笑い声が聞こえてきた。

執事長が、目を大きく見開き、顔を強張らせ。

「お、王太子殿下!」

口を引き攣らせる。

「来るのは、もう少し後では……」

麗奈が後ろを振り向くと、金色の髪と白いスーツを着た優しそうな美少年が現れた。

[この子は、この国の第2王子ロイド。 レナリアの幼馴染で味方だよ]

天使様は、ホッと安堵した様に呟いた。

味方は、いるけれど……王子じゃあ遠いよね。

中々近づけないし……。

[そうなんだよ]

天使様の溜息が聞こえる。


ロイド王子は、ひとしきり笑った後。

「ちょっと気になる事があってね。予定より早く来たんだ。おかげで、いい物見られたよ」

お掃除メイドを鋭い目で睨んだ。

「ねぇ。君。 レナリアに酷いことしたよね」

お掃除メイドは、ビックンと肩を震わす。

「見ていたよ。君が、レナリアに水をかけている所をね。 一介のお掃除メイド如きが、この家のお嬢様にしていい態度じゃあないよね。全部。見ていたし、知っているよ」

お掃除メイドは、青褪める。


「執事長。勿論君のやっている事も全部知っているよ」

ロイド王子は、執事長の方に目をやり、冷ややかに言った。

「この家は、本当に歪んでいるよね。

腐ってもいる」


麗奈は、ウンウンと頷く。

ロイド王子は、不思議そうに麗奈を見る。

じぃっと穴が空きそうなほど。

もしかして、レナリアじゃあないって気づかれている?

[ロイド王子は、感が鋭いからね]

ロイド王子は、麗奈の耳元に顔を近づけ

「君、レナリアじゃあないよね」

バレている。

ダラダラと汗が流れる感じがする。

「詳しい話は、後で聞くよ」

ロイド王子は、顔を上げるとレナリアに優しく微笑む。

カアッと顔が火照る。本物の王子様の微笑。

そんな麗奈をニコニコ見、

「こんな環境にレナリアを置いていけないから、レナリアを王宮に連れて行くよ」

そう言うと執事長に厳しい顔を向ける。

「お、お待ちください! 王太子殿下」

執事長は、慌ててロイド王子を止めようとする。

側に控えていた護衛騎士が、ロイド王子と執事長の間に入る。

「君に止める権利はないよ。

さぁ行こう」

麗奈は、執事長に向かって、舌をだし、アカンベェをした。

















読んでくださりありがとうございます。

思ったより長くなったので、連載という形にします。

よろしければ、評価お願いします。

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