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第8章 個人主催パーティーの甘い罠 ——人脈?営業?それとも運命の出会い?

マッチングアプリに疲れ果てた私は、やっぱり街コンや合コンの方が自分には向いているんじゃないかと思い始めていた。でも、かつてのような元気もやる気も気力も残っていない。

それでも行動あるのみ!と思ってタケルさんと付き合うまでに一緒に合コンに参加してくれていた友達や、幹事をしてくれた友達に片っ端から連絡をした。


「彼氏と別れたので、また出会いを探しています!

 飲み会があれば誘ってください!」


自分で合コンをセッティングするというのも手間がかかる。普通の婚活パーティーではもう年齢制限が気になるし、予約をしても直前で行きたくなくなる。最後の手段は “友達に誘われたものは断らないと決めてなんでも参加する” だった。

友達が参加すると分かっていれば、当日『やっぱり行きたくない病』になっても「友達に行くって言っちゃったし、迷惑かけちゃうから行かなきゃ。」となるのでほぼ強制的に出会いの場へ繰り出す理由になる。素敵だなと思う男性が居なくても、友達に会いに行ったと思えば、その時間は無駄にならないから惨めにもならないし虚しくもならない。

「落ち込んでいる暇なんてない、今日が一番若いんだから」

見えてきた「婚活ビジネスの構造」

そうして誘われたものすべてに参加していくうちに、どんどん飲み会に誘われるようになった。知人の紹介で開かれているホームパーティー、BBQ、異業種交流会などなんでも参加した。そうしているうちに自分が婚活ビジネスのカモにされているな、と自覚するようになった。

婚活市場には、独身で寂しくて時間とお金に余裕のある人たちをターゲットにしたビジネスがうじゃうじゃしている。特に個人主催の婚活パーティーには、いろんな “業界の人” がうようよしていた。

マルチ商法、投資、不動産、保険、美容、占い師、

結婚相談所の仲人や婚活アドバイザー、

飲食店やレンタルスペースのオーナー、その関係者……

まさに “無法地帯” だ。


婚活ではお互いの職業は必ずと言っていいほど話題に上がる。プロフィールカードなんて個人情報でしかない。社名まではさすがに聞きづらいとしても、何系の仕事で勤務地はどこなのか聞けば大手なら大体察しが付く。

婚活パーティーの仕組みは便利であると同時に、参加者の無防備さを助長しやすい。だからこそ、真剣に結婚を考える人ほど疲弊したり、時には利用されてしまうことがあるのだと思う。あまりに簡単に相手の情報が手に入るという構造そのものが、実は「カモられてしまう原因」になっていて、狙う側にとっては「効率的に獲物を選べる市場」になってしまっているのだ。

私たちは参加費を払い、わずかな希望を持って「出会いの場に参加する権利」を購入し、主催者側はそんな人達をたくさん集めて、あわよくば自分たちの商品をさりげなく売り込む。


婚活を継続させるには、ひとりでは孤独すぎる。婚活している人同士が「こんなパーティーがあったよ、一緒に行こう」と宣伝しあってくれるから無限に参加者が集まる。一定の期間で参加者はある程度入れ替わり、常に新規顧客が口コミで集まってくる。

個人が主催するパーティーなら、恋人探しや友達探しなどラフに参加している人たちも中には居て、婚活としてだけの楽しみとは違ったテイストでラクに楽しめるという魅力もある。

「お互い利用し合う」「利害が一致すればOK」という割り切りの精神があれば何も怖くない。

結婚しないまま死ぬことの方がよっぽど怖いんだから。



◆条件ではなく、感情で選びたい

本来なら真剣に結婚について考えている人と出会うことが、自分が結婚するための近道であることは分かっているのだが、どうしても「今すぐ結婚がしたい」とか「子供が欲しいから」と言う人のことを好きになれない私が居た。私は「ただ結婚がしたい」わけじゃない。「一生を共に過ごすパートナー」を探して「この人と一緒に居たいから、結婚がしたい」と思いたいのだ。だから相手も同じ気持ちの人が良かった。

だから「年収・学歴・身長」なんて条件で相手を選ぶ婚活のスタイルに、ずっと違和感を持っていた。私はそんな条件なんかで結婚相手を選べない、選びたくない。その条件のすべてが揃っていたとしても、私が「この人」と思えない人とは結婚なんてできない。

だから、ステータスも年齢も肩書も分からない状態で出会って、話して、惹かれる感覚を大事にしたかった。

だが、出会わなければ恋に落ちることはできない。

出会いの場に行かなければ、何も始まらないのだ。 



◆参加記録:さまざまな会場の裏側


>>西麻布の会

マンションの一室で行われる知人のつながりだけで成り立っているような個人主催の出会いの場。開催は木曜日20時〜、土曜日19時〜。

テーブルが3つあり、45分ごとに男性が回転する仕組み。自由に連絡先交換できる。ちなみに女性はタダ。男性は20代中心のときは5,000円、30代が中心のときは6,000円を支払っている様子だった。

収穫:涼介くん(たぶん29歳くらい)

職業:SNSでインフルエンサーとして仕事を請け負っているらしい。

・「忙しそうなのに恋人つくれるの?」と質問したら「自分のやっている仕事に理解がある人が良い。連絡はすぐに返すしデートの時間は作れる。」と言う。

・恋愛関係を目標とした出会い目的での参加ではなさそう。人脈づくり?

・解散後、『交流会』のお誘いが届いた。もしかしたら怪しい会かもしれないので「交流会には興味がない。」ということをハッキリ伝えるとメッセージのやりとりが終了したが、翌日になって「今度の金曜日はお時間ありませんか? またお話したいです。」とメッセージが来たのでたぶん2人で会うことになりそう。(私が33歳だということを彼は知らない)

たぶん恋人が欲しいとかではなく、単純に興味を持ってくれたんだと思うので軽い気持ちでごはんに行くことにする。


【気づき】

・平日の夜は個人事業主と出会う確率が高い。土曜日に参加した時のほうが、本気度が高かったし、会社員や医師などが多かった。

・会に参加する男女比は気にしているが、リピーターについては考慮していない。(前回会った男性に今回3人会った、気まずい。)

・起業家や学生も多く、恋愛目的というより人脈狙いの参加者も多数。



>>タワマンの会

・謎の起業家集団によりタワマンの一室で開催されるパーティー。

・会のはじめにリーダーと思われる男性が挨拶を述べる。その間、繋がりがあるだろう人たちは大げさに相槌を打ったり大きめのリアクションをしたりするので、すぐに「あ、なんかの団体の方たちだ。」と察する。

・大体はお料理上手な素人が作る手料理が振舞われる。普通に恋活や婚活目的で集められた人が半数は居ると思うが、カモられそうな雰囲気を漂わせている人が多い。団体に所属しているであろう男性陣の方が積極的にコミュニケーションを取ってくれるのでかっこよく見えてしまう。怖い。

・「趣味は料理です。」と言ったら「めっちゃアピールしてくるじゃん!」と男性陣に言われたが、勘違いも甚だしい。ストレス発散のためにみじん切りしまくりたいし、美容と健康と体型維持のために栄養バランスを考えたら自炊一択。お前にアピールするために料理してねぇよクソが。

・結局その場で知り合った女性と仲良くなって合コンにつなげるか、また別のパーティーに誘ってもらうことで成果を上げたつもりになって帰る。



>>お店貸し切り系パーティー

・どこからこんなに集めてくるのか分からないが、30〜50人くらいが小さなお店に集められて実施されるパーティー。たぶんこれを主催すること自体が副業なのだと思う。

・人を集めることが目的なので「既婚者」が混ざっているのは日常茶飯事。恋人が居るのに参加している人ももちろん居る。真剣に出会いを求めているのであれば、幹事に「おすすめの男性でフリーの人は居る?」と聞いて直接紹介してもらうしかない。

・こういうときも大体女性と仲良くなってその場を楽しく過ごして終わる。



>>結婚相談所の仲人達が同行するパーティー

・大手の結婚相談所の仲人ではなく、個人で結婚相談所を起業している人も居る。そういう人同士が自分の相談所に登録している会員のために出会いの場を提供するべく開いているパーティーがある。

・独身証明書がないと参加できないものもあるので事前に取得しておくと便利。ただし自分が独身であることを正式な書面で証明されるという精神的ダメージを負うので取得するときは覚悟した方がいい。

・会員の人には担当仲人がついて、会員が気になる異性と話せるようにアシストしたりしてパーティーを円滑に進めてくれる。

・結婚相談所の仲人が主催ということもあって参加者の真剣度は高い。

・結婚相談所の活動内容や、その他婚活の情報交換もできるので有益。



◆個人主催のパーティーで知り合った人たちとのデートの記録


>> 人材系メガネ35歳さん

パーティーのあと追いかけてきて「このあとお時間ありますか?」と誘われたが断った。連絡先を交換してほしいと言われたので交換したら、その後メッセージのやりとりを頑張ってくれた。特に毎日返信する気もなく、適当に返したり返さなかったりしたが、食事の予定は相手が主導してくれたので決定。

・1分遅刻してきた。(イケメン以外には厳しい)

・結婚相談所のCMに出てくる俳優さんにちょっとだけ顔が似ている。結婚のプレッシャーを勝手に感じる。

・35歳になり友達が一気に7人結婚した。友達はみんな2年以上付き合っていた彼女と結婚して、飲み友達を一気に失った。

・若いときは美人というだけで付き合っていたけど、もう今はしない。美人でも無理な人は無理と言っていた。

・「美人って例えばどういう人と付き合っていたの?」と聞いてみたら、

「20代のときに合コンしていたのは、医者や看護師や金融関係の人だったけど、みんな強そうだし無理だった。」と話していた。

・「将来親や親戚に会わせることを考えると、礼儀正しくて、初めて会う店員さんへも優しく接しているような女性が理想。初めて会った人に冷たい態度がとれるってことは、自分の親や親戚にもそういう態度をとる可能性があるってこと。自分にはワガママや冷たい態度をとっても我慢できるけど他は我慢できないから、そういう人は無理。」と言っていた。

・出会ったパーティーで「その後連絡を取っている人は居るか。」と聞かれた。同じ質問をしてみたところ「ああいう場に行ったらとりあえず全員ごはんに誘うことにしてる。どうせ断られるけど。」と話していた。

なんだ、全員に声掛けてんのか、と私が無表情になるとそれを察したのか「でも、会が終わってから追いかけてまで食事に誘うことは初めてでした。」と言ってきたので「あのときどうして追いかけてきたんですか?」と聞いたら「話しかけやすかったからかも。」と言われた。ずっと何を言っているのか分からない。

・好きな映画や、休日の過ごし方、好きな食べ物、好きなお酒の種類などを聞いてきたので答えたら「今後のために聞いてるんですよ。」と言うので「そうですか。」と返事しておく。どういうリアクションを期待して発言しているのか分からない。喜ぶとでも思っているのだろうか。

・ランチを食べ終わりお冷もなくなったので「そろそろ出ますか?」と私から切り出す。「このあと時間ありますか?」というので「ありますよ。」と答えるが、特に何も誘われなかった。

・面倒なので解散しようと思い「ありがとうございました、お気をつけて。」と手を振ると「最後まで敬語だよね。」と言われた。会うのが2回目の年上男性に敬語を使うのは当たり前だと私は思う。

【まとめ】

・普通に会話できるし、楽しかったし、真面目そうだし、良い人だとは思うけど、残念ながら自分から積極的に行くほどテンションは上がらないので、会話自体は楽しいし気持ち悪いとかは全然ないけど、誘ってくれない限りは頑張れないなぁと素直に思った。

・「また誘います。」と言っていたけど、なんか勝手に空気を読みすぎて誘ってこなさそう。(実際誘ってくることはなかった)



>> 事業承継社長38歳さん

この人は、絶対に良くない団体の集まりだろうなという怪しげなパーティーで出会った。誘われたときは20人前後での飲み会と聞いていたのに、当日指定された場所に行ってみたら80人近く集まっていた。平日の夜だというのにほぼ全員私服だし、スーツかと思えばホストのような着こなしで、まともなパーティーではないことは感覚でわかる。

やばそうな人しか居ないが、参加費3,000円を支払っている分は婚活の情報交換や、次に繋げてくれそうな人脈を見つけるまでは帰りたくない。

ちなみに私と同じようにカモられたらしき男性が声をかけてくれたので聞いてみると、男性は8,000円を支払って参加しているという。気の毒だ。

そこへ横から3人組の男性が話しかけてきた。

真っ白なスーツに黒のワイシャツを着た小太りでよくしゃべる男と、アロハシャツにゆるめのパンツスタイルの気弱そうな男。そしてもう1人がスラっとした芸能人のような体型でいかにも「女性には困っていません」という風貌の男だった。

・彼らの自慢話を互いに披露して謙遜し合う謎の時間があったが、笑顔で相槌を打ちその場をしのぐ。

・白スーツは口調が悪くて聞いていられないくらいだが、気弱なアロハシャツの男はたぶん白スーツにカモられている可哀そうな普通の男。もう1人の男はあまり話さないが、白スーツが紹介してくれたところによると「父親の会社を継いで社長になった」らしく、たしかに服装もたたずまいも品がある。こういうパーティーにはめったに顔を出さないが、たまたま次の予定まで時間があるから参加したとのこと。

・連絡先を交換するとフルネームを入手できたので、早速Facebookで検索をかけた。怪しげなパーティーで出会った男性のことはいつもそうやって検索して、本人が話していた学歴や職業などに偽りがないかどうかを調べていた。(婚姻歴まで登録している人は少ないので、そこはあてにならない。)


◆立派なことを語る男ほど『遊びたいだけ』

なぜかわからないが社長に気に入られた私は、麻布十番に美味しいピザ屋があるというので食事に行くことになった。

・会社を継ぐことは小さい頃からの目標だったのでそのためにずっと努力してきた。学生の時から同級生と遊ぶのを我慢して勉強し続けた。大学を卒業してからも経営について勉強し、年上の役員達に舐められないように必死で仕事を覚えた。父の右腕として働いてくれていた役員たちも、はじめは自分を受け入れてはくれなかったけれど、今は自分のことを認めて支えてくれている。

・もっと会社を大きくしたい。でもそのためには自分だけではなくて、会社で働く従業員のレベルもあげていかなければいけない。自分が一歩引いたところに居ることが今は大事だと思っているし、会社以外の場所で人生経験を積むのが自分にとって大切だと思っている。

・なんだかとても聞こえが良いことを話しているが、金や社会的地位に一切興味が沸かない私にとっては「ずっと遊んで来なかったから、今は遊びたいんだっていう長い言い訳か。」という気持ちにしかならない。ただピザは美味い。

・私は「うんうん」と頷いてずっと話を聞くので、大抵の男は気を許して言わなくてもいいことを話し始めるのだが、この男もそのパターンだった。

「僕は行きたいところにどこへでも連れて行ってあげられる。この前も女性を豪華なホテルに招待してバルコニーから夜景を楽しんだし、翌日はルームサービスで朝食を食べてゆっくり贅沢な時間をプレゼントしたらとても喜ばれたんだ。あまり結婚は前向きに考えていないけど、この考えを覆してくれるような女性がいたら結婚したいとは思っている。でも今はこうやって楽しいことを共有してくれる女性が数人いれば僕は幸せなんだ」

「じゃあ恋人はいらないの?」と聞くと、

「いらないわけじゃないけど、そういう関係にならなくても時間は共有できるからね。僕は人生を楽しみたいから、そういうことを許してくれる知的な女性と出会いたいんだ。女性だって自分の人生を楽しみたいでしょう? あえてお互いを縛る必要はないと僕は思うんだよね」

私は彼の言う “知的な女性” ではないようだ。ずっと何を言っているかわからない。

・彼はこのあと友人宅で開かれるホームパーティーに行くと言い、私も一緒に行かないかと誘ってはくれたが断った。

「本当に来ないの? 僕もいろいろ予定があって忙しいから、今日ここでお別れすると次にいつ会えるかわからないよ。」と言われたが、彼に全く興味が抱けないのでこれ以上時間を過ごしても無駄。早く帰って寝たい。

・その後「次はもっと美味しいものを食べに行こう! 何が食べたい?

御馳走するよ!」などと連絡が来たが丁重にお断りした。

・数か月後の誕生日にはメッセージと共に素敵なフレグランスコスメを頂いた。近況を聞いてみると、まだ友人としてたくさんの女性と遊んでいるのが楽しい様子だった。彼の周りには “知的な女性” が多いらしい。



>> インフルエンサーの涼介くん29歳

特に何の収穫もないまま日々誘われたものには参加する日々。参加したらとりあえず「夕飯をひとりで食べるという寂しさは感じなくて済むからいいじゃないか」とか「話しかけたい男性は居ないけど、話しかけたい女性が居たからいいじゃないか」とか「今度また飲み会に誘ってくれるって言っていたし、収穫はゼロじゃない」と自分を納得させていた。

そんな中、4歳年下の涼介くんと何度か食事に行った。


>> 涼介くん①

はじめて2人で食事をしたのはペルー料理屋さん。

彼は先に到着していて「適当に料理を頼んでおきました」と言い、前菜からデザートまでの料理をバランスよく注文してくれていた。そして取り分けもしてくれる。若いのに英国紳士のような人だなぁと感心した。

お店についても事前に彼の方から行きたいお店を6件ピックアップしてくれたのだが、そのお店選びが素晴らしかった。


① お互いの中間地点で駅からのアクセスが良いお店

② お店によって価格帯がバラバラなので、割り勘でもOKなお店を選べる

③ ペルー料理の他、ピザ、鍋、中華、魚介系などジャンルが多彩

④ 「自分はどのお店にも行きたいと思っているので、好きに選んでください」と言ってくれたので、私の要望を伝えやすかった


この人は本当に4歳年下なのか?と疑問に思うほどだった。

これができない男性はたくさん居る。

ちなみに女性は女性同士で食事に行くときに上記のことを自然に普段のコミュニケーションとしてできる人が多い。慣れれば簡単なことだし、仕事で会食を手配するときなどに必要なスキルだと私は思っているので、こういうことがスマートにできない男性だと「仕事は何をしている人なんだろうか」と気になってしまうし「友達が少なくて日ごろ人と外食をすることがあまりないか、決まったお店にしか行かない人なんだろうな。」と勝手に解釈してしまう。要は私にとってあまり良い印象にはならないのだ。だからその点で彼はなんのストレスもなくお店がスムーズに決まって、しかも私が行きたいお店を選ぶことができて、とても好印象だった。


・彼はお酒が好きなようで、ペルーのビールを飲んでいたので私も頂く。

・今日は仕事のアポイントで近くまで来て仕事をしていたとのこと。

・頻繁に携帯が鳴るが、その度にメッセージをチェックする。

・そういえば私とのメッセージのやりとりも即既読・即返信だ。「返せるときはすぐ返すようにしています。溜めるのが嫌なので。」と言っていた。

・いろいろ質問をしてくれたので答えていたら、いつの間にか私の方が話し過ぎていて恥ずかしくなってきた。このパターンは珍しい。

・私たちが出会ったパーティーには人脈づくりのために参加したと言っていた。他にもそういうパーティーにいろいろ顔を出しているらしい。

・彼が知るパーティーで一番衝撃を受けたのは、ホテルのラウンジのようなマンションの一室で、何かの経営をしている人たちがたくさん集まって、シャンパンを飲みながら語らう会に参加したことらしい。気の強そうな女性がボスみたいで「ああいう女性は近寄りがたいですね。」と話していた。

・「僕が誘ったので奢ります。」と言われたが、さすがに年下に奢らせるのは申し訳なかったので割り勘にしてもらった。

・年齢をはじめて伝えたところ「そんなに離れているとは思いませんでした」と言われたが、それ以外のリアクションはなかった。

・私との会話はとても面白かったと話していて「女性と食事をしてこんなに楽しかったのは久しぶりです。また誘ってもいいですか?」と聞かれたのでOKしておいた。

・頭のいい弟が居たらこんな感じなのかなと思った。彼があまりにも知的過ぎて何を考えているのかいまいち分からないし、なんか掴めない感じがする。でも私も楽しかったし、顔はタイプではないけど悪い人じゃないし、友達になれたらいいな、という感じ。


>>涼介くん②

この日は「今週末空いてますか?」と突然連絡がきたので会うことになった。急だったのでとりあえず待ち合わせ場所だけ決めて、お店は当日考えようという話になった。

・近くのイタリアンで食事をして21時に一度解散したのだが「もう電車に乗りましたか? もう少し一緒に居たかったです。」とメッセージが来た。

「電車降りるのめんどくさいですよね。」とかなり攻めてきたので「めんどくさくはないですよ!」と送ったら「追いかけます!」と言ってきたので一旦解散したのにまた合流することになった。なんだこの展開は。

・それから2時間また別の居酒屋に入り、一緒に過ごした。

・「彼氏は居ますか?」「パートナーは居ますか?」「僕とごはんに来て怒られるような人は居ますか?」と3パターン質問された。

・同じ質問をしたら「いません。」とのこと。

・元カノとはいつ別れたのか聞いたら「1年前くらい。別れるべくして別れた。」とのこと。

・恋人は同じコミュニティーの中では作りたくない。「いじられたくない。価値観が違う人がいい。経験が違う人と話す方がおもしろい。」

・私が話しているのを聞いているときがいちばん前のめり。自分が話すより、他の人の経験などを聞くのが好きな様子。

・私のことは「末っ子気質で、お姫様タイプ、よく笑う、自分のことは適当に話す。」と分析された。当たっている。


>>涼介くん③

・「2回会ったけど、3回目は会えないかと思っていたから良かった。」と話していた。

・たくさん出会いすぎると連絡先を交換しても誰だか分からなくなるという話から「未読どれくらい貯める?」という話になり、私のトーク履歴を見られた! 私が普段誰とメッセージのやりとりをしているのか確認されたんだと思う。上手い、と感心してしまった。

・「寂しい時はどうやって過ごすの?」と質問。彼は「近くの行きつけのバーに行けば誰かいるからそこに行くか、誰かに連絡して会う。」とのこと。私は泣ける映画を観ると答えたら「今度からは僕に連絡してください。」と言われた。

・「最近の恋愛事情を教えてほしい!」と言われたのでタケルさんのことを話した。「どこに惹かれたのか」「どんなところにデート行ったのか」「馴れ初め」などたくさん聞かれたので答えられる範囲で答えた。

・逆に彼に、元カノの話を聞いたら「彼女ができたら最優先するけど、夢中になるとかはない。美人がいいとかじゃなくて、主観で笑顔が魅力的だなぁと思える人がいい。同棲はしたくない、するなら結婚。半同棲で相手の家に通うのが1番ラク。」と話していた。

・結婚については「メリットは感じないけど、寂しくはなくなる。」とのこと。

・彼の最近の恋愛事情について「人脈づくりのパーティーでも出会いはたしかにあるけど、最近参加し始めたので、いま2人でごはんに行ってるのはあなただけ。」「ずっとお付き合いしたいと言ってくる女性が居るが、ずっと断っている。夜に時間があれば飲みに行くのはいいけど、わざわざ昼間や休日に会いたいとは思えないから付き合わない。ちゃんと断ってあげないと失礼だから結構しっかり断ってるけど、飲みに誘われる。」と話していた。

・「4回目は何で誘ったらいいですか?」と聞かれたのでなんでもいいよと答える。


解散後、また「帰したくなかったです。」とメッセージが来た。

「そう思ったのも久しぶりです。」

「寂しい時、呼ばずとも連絡くれるだけでもいいですよ。喜びます。」

「今日話しを聞きながらどう頑張ろうかと思ってます。アプローチが難しい!」

などと送ってこられ、のらりくらりかわしていたら

「僕に狙われたら困ります?」と直球のメッセージが来たので、

とりあえず

「考えたことなかったです!」と返信しておいた。


涼介くんはかっこいい。

でも4歳年下のインフルエンサー。

あまりにも現実的じゃなさすぎる。

それにタケルさんのときみたいに、はじめはアプローチしてくれても一気に冷めてしまうこともある。もう傷つきたくないし、あまり期待しないようにしておかないと、最後に傷つくのは、本気になった私の方だ。


>>

金曜日の夜に涼介くんからメッセージが来た。

「今日は空でも見てください。」というメッセージと共に、ニュースで月食を知らせる記事のスクショが送られてきた。

気が付くと毎週末彼はなにかしら連絡をしてくれるようになっていた。

「週末になりましたが元気ですか?」とか「今日の夕飯は何ですか?」とか何気ないメッセージだけど、独身33歳の生活が少しだけ明るくなるような気がしていた。1日中ひとりで過ごす休日も「涼介くんがメッセージくれたおかげで心細くなかったよ!」と返信したくなるほどだった。


正直タケルさんと別れてからの生活はあまり丁寧とは呼べないものになっていた。タケルさんのために通い始めたお料理教室も行く意味を失ってしまったし、日々の自炊もお弁当作りも全部タケルさんとの将来を少し期待して頑張って取り組んでいたことのように思えた。そうしたら私が私のためにしていることも全部無意味に感じて虚しくなって、気が付いたら荒んだ生活を送っていた。涼介くんにはタケルさんとのことも話していたので、私のことを元気づけたかったのかもしれない。


「そろそろまた食事に行きませんか?」

彼に会うのが楽しみになっている自分が居た。


>>涼介くん④

・とにかく私が話したことをよく覚えていて感心する。

・お料理は好きなものを選ばせてくれるが、私が遠慮がちに1品頼むと彼が気を使って他にも数品ちゃんと頼んでくれる。お料理が減ってくると1品は必ずテーブルにあるようにお料理を追加してくれる。

・熱燗で日本酒を提供する専門店だった。私のお酒はぜんぶついでくれる。そして私にはつがせてくれない。

・私がタケルさんと別れた理由について話を聞いてくれた。「とてもショックを受けている感じだったから、まさか彼からそんなにアプローチされて付き合ったなんて思わなかったです。」と言われた。

・涼介くんは元カノと何がきっかけで付き合ったの?と聞いたら「向こうから告白してきたから。僕も基本受け身なんですよ。」と真顔で言われた。

・付き合い方についても「どんなに仕事が忙しくても休憩とか手が空いたときに恋人に連絡するのは当然。それをしないということは恋人のことを考えてないってこと。平日一切連絡しないとか考えられない。」と言われた。

・「どんな人に惹かれるのか」「どんな人がいいのか」「どんな人は嫌なのか」なんかもたくさん聞かれたけど、彼は一貫して “僕たちは飲み友達” という態度で話していたので、気になる女性でなくても男性はこういうことは聞くものなんだなと感じた。

・そんな感じでも二次会には誘ってくれる。隙間風が入る寒い席に彼が座ってくれて、私に風が当たらないように気を使ってくれた。

・もう2軒目だし彼も私に気がなさそうだったから、私が気を使わずに話していたら「やっと素っぽい話し方になりましたね。友達にはそうやって話すんですね。」と言われた。

・「いい人が見つかったら教えてください!」とか「デートした、とかいう報告だけでもいいから連絡してください!」と言われた。「そんなこと連絡来てうれしいの?」と聞いたけど「うれしいです!」と言う。謎。


涼介くんとのやりとりやデートは、まるで “心のリハビリ” のようだった。恋愛感情というよりは、ただ誰かと食事して、笑って、会話することが、私の生活を少しずつ整えてくれた。


年齢も違う、立場も違う、結婚を考えるような相手じゃない。

だからこそ、その存在が、私を前向きにしてくれていた。


【連載目次】

第1章 恋愛という名の予習

第2章 婚活パーティーという戦場

第3章 経験しか信じない男 コウイチ

第4章 婚活オンラインサロンでの学び

第5章 合コンという社交場の裏側

第6章 完全無欠の遊び人 タケル

第7章 マッチングアプリという“カタログ恋愛”

第8章 個人主催パーティーの甘い罠

第9章 SNS婚活の“自由”と“偏見”

第10章 ミツルの洗脳

第11章 結婚相談所という最後の砦

第12章 『婚活うつ』という終着駅

第13章 独身偽装男 リョウスケ

第14章 結婚しなければ、という呪い 『婚活依存症』

第15章 ギャンブル借金浮気男 マコト

第16章 自称婚活中の男 マサヤ

第17章 私は、婚活をやめた

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