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第7章 マッチングアプリという“カタログ恋愛” ——身長と学歴と年収を揃えて、それで、何になるの?

◆プロフィールと “理想の自分”

また婚活をやり直すことになった私は、マッチングアプリを始めることにした。もう合コンに来るような男は信用できない。婚活オンラインサロンのメンバーに相談すると、「恋活用だが登録者数が多いもの」と「結婚に真剣な人が多いと評判のもの」の2つを同時に登録して、効率よく活動すると良いと教えてもらった。

マッチングアプリは、登録初期に「いいね」が一番つきやすいので、いいね数が落ちてきたらすぐに退会して別のアプリへ——そんな攻略法まで伝授された。



≪私がマッチングアプリを使う上で気を付けていたこと≫


① 自分からは本当に会いたいと思う人にしか「いいね」しない。

それ以外は足跡を残して、相手に気づいてもらう。


たくさんの人とマッチングすることが目的ではないので、「マッチングできそうな人」に「いいね」をするのは良くない。そういう人とマッチングしても、結局マッチングすることがゴールになってしまい、その後のメッセージのやりとりが上手くいかないことが多い。


② 「もらったいいね」ではなく「自分がつけたいいね」にフォーカスして

  「今日はこれだけいいねした!自分すごい!自分えらい!」と自己肯定感をあげる。


マッチングアプリにおいて大事なのはいいねの数ではなく「自分が会いたいと思った相手に会えるかどうか」なので、いいねの数に一喜一憂しないことが最大のポイントだと思う。いいねが多くても運命の人に出会えなければ意味がない。


③ プロフィールの文章よりも「ウケが良さそうな写真」にこだわる。


男性の中には写真を見るだけで、プロフィールをほとんど読まない人も存在する。そのため、プロフィールに使用する写真には徹底的にこだわった。自分が良いと思う写真ではなく、婚活オンラインサロンの友達に選んでもらった「他者から見て良いと思われる写真」を使用するようにしていた。


④ はじめて会う人には「お茶」を希望。


婚活中に太るのはマイナスにしかならないし、ディナーになるとお酒を飲む雰囲気になる。お酒を飲む機会を避けることで自然にヤリモクを回避し、「お茶」で会う予定を組むことで食事制限と節約にもなる。また「お茶」にすれば1日に3人程度までならアポを組める。ディナーにすると最低2時間は拘束されるのでタイパが悪い。

※ただ男性からお茶ではなく食事を一緒にしたいと言われることは多かった。お店の候補を送ってくれる人もいたので、その場合は無理に拒否することはせずに相手の意向に従った。まだ会ってもいない人と意見を一致させる必要は無い。まず会うことが大事。


⑤ 「マッチングアプリ内の常識」に振り回されすぎない。


例えば

「いいねした方が食事に誘うべき」

「いいねした方がメッセージをもっとリードするべき」

「プロフィールにこんなこと書く必要ないでしょ」など。

会う前から相手の一挙手一投足にケチをつけない。マッチングアプリで相手を見つけることは手段であり、あくまでも目的は結婚なので、マッチングアプリの中だけの世界で神経質になってはいけない。カタログを眺めてイライラしているなんて時間の無駄だし、心が荒んでいる証拠。そういうときは一旦アプリを閉じて婚活から離れたほうが自分のため。

文句はマッチングして会うことができてから言うべし。


⑥ 「なんでこんなことしなきゃいけないんだっけ」と考えない。

最重要。心を無にする。


こんなふうに “効率よく婚活” しようとしていたのに、心の疲れはどんどん蓄積していった。



◆「盛ること」と「嘘をつくこと」の境界線

マッチングアプリは見た目勝負だ。

プロフィール写真は当然「盛る」し、文章だって「印象が良くなるように」書く。でもその “盛り” と “嘘” の境界線は曖昧だ。

例えば、盛りすぎた写真を使っている人に実際に会ってガッカリした経験は、きっと誰しもあると思う。逆に盛れていない写真だとマッチングしないという現実もある。私たちは「本当の自分」を見せようとしながらも「選ばれるための自分」も演じ続けなければいけない。

マッチングアプリは私にとって、まるで「理想の自分」を演じているような感覚だった。

効率よく恋愛をしたい。でも、本気の恋がしたい。

それなのに、会えば会うほど恋愛は「効率化」されて、感情はどんどん麻痺していくような気がしていた。

マッチングアプリには何万人もの人が登録をしている。

居住地、身長、年収、学歴、婚姻歴などの条件で登録者の中から自分の “理想” に近い相手を検索する行為は、私にとっては「非効率的」だった。

一つ条件を追加するたびに登録者は絞り込まれていくが、私が本当に理想としている “父と母みたいな夫婦” になるためのパートナーは、どんな条件で探せば見つかるのか分からなかった。条件を絞らないと膨大な登録者の中から探さなければならず、自分にとって「手間が増える」が、条件を絞りすぎてしまうと逆に本当に理想とする相手との縁を切ってしまうような感覚があった。

困った私は最終的に「自分と生活リズムが近い人が良いのではないか」という謎の結論に達し、私がマッチングアプリを開いている時間帯に「オンライン中」になっている登録者に絞って相手を探すという方法をとっていた。



≪私が実際にマッチングアプリで出会った中で印象的な男性について≫


① 公務員32歳さん

・お付き合いした人数は少ない。結婚を意識し始めたのは30歳を過ぎてから。結婚相談所も2社説明を聞きに行った。友人がマッチングアプリで結婚したと聞いたのがキッカケで登録したらしい。

・親からは結婚しないのかと圧力をかけられている。

・10歳年上の彼女と2ヵ月前に別れた。1ヶ月しか付き合っていないが「男らしい人がいい」と言われて振られた。自分は見た目よりもナヨナヨしているので期待しないで欲しいと言われた。

・「マッチングアプリで知らない男性と会うことに抵抗はないのか。」と聞かれた。今の状況を何だと思っているのか不明。そんなことを聞かれるくらいならもう帰りたい。

・私のことは「明るくて話しやすくて、聞き上手。リアクションも大きいし、笑顔なので安心する。自分は人の顔色をうかがってしまうので、笑顔でいてくれるとうれしい。」とのこと。「私も落ち込むときは落ち込みますよ。」とか「仕事柄、人の話を聞いて、その人が何をしてほしいか、自分には何が求められているかを察して先回りして、やりすぎない程度で対応することが多いです。」という話をしたら、「そんなに笑顔なのに落差があるなんて闇が深いんですね。そんなことを言われると重いな。そういうことはあまり人に言わないほうが良いですよ。」と言われた。非常に面倒くさい。

・子供は何人欲しいか、結婚しても仕事は続けたいか、質問された。

・「昭和的な考え方ですね、ぼく平成なので!」とか「あんまり年上感ないですよね!」などと言ってきた。私が1歳年上なだけなのに。

・元彼と別れた経緯などを聞かれたので話したが、私に何か問題があったから別れたんじゃないかと疑っている様子だった。

・終盤になると「いま見極めに入ってます。」と言い、自分は何人かの女性と会っているということを話し、選ぶ側の立場みたいな話し方をされた。

・解散前になると「こんな良い人が居るとは思いませんでした。僕はとても楽しかったです。連絡先を教えてください。来週も会えませんか? いつなら空いてますか? お酒を飲んでいないときにも会ってみたいです。」と言われたのでとりあえずまた来週会う約束はしたが、人として好きになれない可能性が高い。

⇒結局この彼とは連絡先を交換したが、やはりどう考えても好きになれそうになかったので、次に会う約束を丁重にお断りして終了。

彼から「自分の何がいけなかったのか、今後の参考にしたいから教えてほしい。」とメッセージが来たが、何から説明したらいいのか分からなかったので「フィーリングが合わないと感じました。」と返信した。



② ITコンサル39歳さん

前日マッチングして少しメッセージが続いたら「今日直接話したい。」と言われ連絡先を交換したら即電話をかけてきた。私は基本的に断れない性格なのでこういう時困る。

「自分の友達はこのマッチングアプリで結婚した。他にもマッチングアプリがキッカケで結婚した人をたくさん知っている。みんな1人とか2人会ってすぐ結婚している。だから自分も1ヶ月だけマッチングアプリに登録することにして、“この人” という人に出会ったらすぐに一緒にマッチングアプリを退会したい」

そう熱く語る39歳。

私はもうこの時には気がついている。

(みんな普通に何十人も会ったに決まっているだろうが。そんなこと人に言えないから表向きには1人2人しか会ってなくて、運命的に出会ったみたいに言ってんすよ、オッサン夢見すぎっすよ)

私の都合を考えずに電話をかけてきたから、私はお腹が減っていて少々機嫌が悪かった。

「まだはじめて2週間だけど、他にも数人メッセージしてみたら、ただメッセージを続けたいだけの人とか、電話してみたら全然話さない人とかいて、全然真剣さを感じなくて嫌気がさしてたんだ。君はたくさん話してくれてうれしいよ!」

メッセージで「僕のことは〇〇くんって呼んで欲しいな。」と言ってきたときにもうドン引きしていた私だが、それ以外にも言葉の端々に違和感しか覚えない。


奴「マッチングアプリでは誰かに会ったりしたの?」

私「1人会いましたよ」

奴「いつ会ったの?」

私「この前の日曜日です」

奴「え、2日前? 近すぎない? また会うの?」

私「一応また誘ってもらったので会ってみようとは思ってます」

奴「え、いい人だったの? 素直にどう思ったか聞かせてよ」

私「うーん、微妙でした。でも1回で判断するのも悪いと思うし、もう1回会えば印象も変わるかもしれないとは思ってます」

奴「は? 1回会えばわかるでしょ。会わなくていいよそんなの」

私「はぁ……」

奴「兄弟はいるの?」

私「姉が居ます」

奴「ってことは末っ子なんだね!」

私「そうですね」

奴「末っ子ってことは甘えん坊だよね? 僕には弟が居て、長男なんだ。親戚の中でも1番年上だから、引っ張るのとか得意だよ!」

私「そうなんですね」

奴「そういうの好きでしょ?」

私「私は引っ張るとか甘えるとかじゃなくて、お互いどんなときも支え合えるみたいな、どっちがどっちとかじゃなくて穏やかな関係が理想ですね」

奴「ふーん、そんなこと言う子は初めてだよ! 僕は10歳下の子と付き合ってたけど、彼女の方は年上好きって言ってたし、甘えられて重くないかって聞かれても、もっと甘えていいよって言ってあげるし、頼られると可愛いなって思うよ!」


あなたの「引っ張る」はリードするじゃなくて、自分の価値観を押し付けて相手を支配することじゃないのか?


そして突然彼は自分だけテレビ電話に切り替えて顔を写してくる。

「どう? 写真と違うとかない? 見えてる?」

そう言いながらめちゃくちゃ自分の顔面に自信ある人の動きをする。髪を直しながら画面に写った自分の顔に満足そうに微笑んだ。

たしかに39歳には見えないし、一般的にはイケメンだろうけど、異常にキモイ。


奴「もう付き合うとかはいらないと思ってるんだよね。すぐ結婚しちゃえばいいと思う。友達も2ヶ月とか3ヶ月で結婚したけどめっちゃ仲良いし、結婚したあとも新鮮で楽しいって!」

私「はぁ、そうですか」

奴「君は僕と家も近いし条件も合っていていいと思う!会って話したいな、明日か金曜日は空いてる? 来週とかだともう会えるか分からないよ」

私「明日は予定があって、金曜日はまだ予定が入るかどうか分からないんですよね。来週なら会えますけど。」

奴「金曜日の予定はいつ分かるの? 予定入らなかったら会おうよ」

私「明日にはわかると思います」

奴「その金曜日も予定って、もしかしてマッチングアプリの人と会うの?」

私「えぇまぁ」

奴「は? 同時並行は良くないと思うよ」

私「同時並行というか……その人との約束の方が先でしたから」

奴「ふーん、じゃあ金曜日の予定がわかったら連絡して。じゃあ」


その後、私的にはもう会う気0%なので、もうやりとりはしないぞと気持ちを落ち着かせていると、奴からメッセージが届いた。

「電話ありがとう。ただメッセージでやりとりしてたときは浮気しない人がいいとか言ってたのに、何人もの人に会ってるのはどうかと思うよ。僕達はタイミングが合わないみたいだね」

もはや怖い。


「では会うのはやめましょう。電話ありがとうございました」

と返信したら、

「条件は良かったからあと少しだったね。また機会があればよろしく」

とメッセージが届いた。


私は人生で初めて連絡先を『ブロック』した。もう二度と関わりたくない。


婚活、つらすぎる。



③ お笑い芸人大好き35歳

写真だと童顔でかわいらしい感じ。飼っているチワワとポメラニアンと一緒の写真が好印象だった。しかも私が大好きなお笑い芸人の大ファンということでメッセージも盛り上がったので期待大。

⇒結論、写真とぜんっぜん違った!!!!


1個上のはずなのにもう40代くらいに見えてしまった。

1時間くらい話していて、お互いが好きなお笑い関連の話はとても楽しくできたからなんとかなったけど、埃っぽい匂いがするのが気になってしまった。対面に座っているのに臭いが気になるなんて、もう無理だと思う。

そうなると「年収400-600万円なんだよなとか、実家暮らしなんだよなとか、ファッションは地味なのに指輪もネイルもしてる。ちょっとハゲてる。趣味が同じということ以外にこの人に魅力ある? 友達で良くない?」という気持ちになってしまった。

しかも待ち合わせ場所にこの人が遅刻したせいで、待っている間にナンパされて非常に不快な思いをしたのだが、この人よりナンパしてきた人の方が顔がカッコよかった。ナンパについて行った方が良かったのかもしれない。

解散してからマッチングアプリ上で連絡先を聞かれたので、正直に「写真と違っていると感じた。お話は楽しかったけどお付き合いに発展する自信が無い。」ということを伝えてお断りした。

写真を盛らないで居てくれればここまでガッカリせずに済んだと思う。



④ 写真と違う32歳さん

写真がイケメン過ぎたので業者かなと思ったらただの加工だった。

会って1秒で幻滅するので本当にやめてほしい。

話してみると良い人だったのでなんとかなったが、写真と違うという時点でもう帰りたい気持ちなので、そこから私の気持ちはもう復活しない。

たぶん相手も会った時点で私のことはナシと判断したんだと思う。そういう感じがした。

お互いが「ナシ」と思っていることは察しているので「マッチングアプリ関連の話題」で盛り上がった。いいねをつけるのはどんな異性なのか、メッセージの内容や頻度、実際にどのようにして会ってるかなど情報交換できた。連絡先は交換せずそのまま終了。察しが良くて助かった。



⑤ 転職したばかりの36歳さん

3週間くらいマメにやりとりしていた人。かなり穏やかな印象で、プロフィールにも「朝の日課は瞑想」「健康志向で野菜好き」と書いてあった。

メッセージの内容もずっと穏やかで特に盛り上がることもなく、わざわざこちらから積極的に会う約束をする程のテンションも上がらなかったので、もはや義務のような感じで毎日メッセージを返していたら「会いませんか?」と突然言ってくれたので会うことになった。

・プロフィール通りの穏やかな方。

・女慣れしてない感じだけど、見た目は整っているし清潔感もある。スタイルもいい。きっとキッカケがあればモテていたと思う。もったいない。世にいう「普通の人」とはこの人の事だと思う。

・お店は予約もしていないし、目星もつけていないとのことだった。何か食べたいものはあるか聞いてみたけど、なんでもいいと言われてしまった。プロフィールに「野菜好き」と書いていたので美味しい野菜を使っている和定食屋さんを指さして「美味しそう!」と言ってみると、「僕、野菜好きなんです、そこにしましょう。」と言ってくれた。

・聞けば「今年の4月に引っ越してきたばかりで土地勘がなく、お店もどこがいいか分からなくて予約できなかった。」とのこと。

・今の職場の上司はあまり仕事を教えてくれなくて、失敗してから「そうなると思ったよ。」と言われ「もっと考えて仕事しないと!」と説教をされるらしい。もっと仕事を丁寧に教えて欲しいと話していた。

・ちなみに前職の方が収入は良かったらしく、今年は収入が減ったのに税金を多く納めなきゃいけないから休日にバイトをしていると言っていた。明日もバイトらしい。

・私のこともいろいろと質問してくれたし、笑顔で話を聞いてくれるので好印象。でも色気がないというか、顔面は良いんだけど『従兄弟のカッコイイお兄ちゃん』って感じで、普段の私なら恋愛遍歴を聞くところが全くそういう話をする気持ちにもならず。映画やらアニメやらの話で終わる。

・彼は奢ってくれそうだったけど、なんか申し訳ないから割り勘にした。明日もバイトを頑張ってほしい。

・帰り際ちゃんと連絡先を聞いてくれて「また会いましょう!」と言ってくれた。

・居心地はいいけど恋愛として好きにはならない人かも。タケルさんからの別れのセリフが身に染みた。ドキドキもワクワクもしない。普通の人。でも人間としては好きだと思う。きっとこういう人のことを好きになれたら結婚は簡単にできるんだと思う。

・彼のマッチングアプリのプロフィール上では「すぐにでも結婚したい」になっていたが、少なくとも彼の置かれている状況は「すぐには結婚できない」と感じたため、次回会う約束については丁重にお断りさせていただいた。



⑥ くせ強33歳さん

プロフィールを見たらお笑いが大好きっぽくて、メッセージも丁寧だし期待していた。

・写真の通りの方が来たので久しぶりにほっとする。それだけで嘘をつかない誠実な男性のように思える。

・注文は即決。温かいものを食べようと話していたのでモツ鍋を食べた。

・プロフィールに書いてある内容ほぼそのままな感じ。でも自分語りが多い。よくよく聞いたら姉が2人居て末っ子らしい。なんか納得。

・直近の元カノは3歳上で、4月〜6月くらいまで仕事が忙しくてかまってあげられず、6月に時間をつくれないかと言われ、無理やり会ったけどクタクタでお出かけしてあげられなかったら振られたらしい。それより前からずっと価値観が合わず喧嘩が絶えなかったので、いろいろ積み重なった結果だろうと話していた。1年半付き合ったらしい。

・その後は何も無いらしく「モテない。」と言っていた。

・マッチングアプリで他にも女性に会ったらしく、どうだったか聞いたら「写真と違う人が来た。写真より丸かった。」と話していて「プロフィールの写真を盛ればいいねは稼げるからマッチングはできるかもしれないけど、会ったらガッカリするだけ。肌の色を明るくするとかの加工はいいけど、別人級に加工しても誰も得しない。会ってすぐテンション下がってそのまま過ごしたから相手もつまらなそうだった。」と話していた。共感しかない。

・あと「会ってすぐに出身大学を聞いてきた人が居た。失礼だ!」と言っていた。

・梅酒のお湯割り4杯飲んで目がとろーんとなる。酔ったと言う。

・店の外に出ると寒いと言い、私の影に隠れて風を避ける。

・解散後すぐに「また会いたいです。」とメッセージをくれたが具体的な日程調整の連絡はなく終了した。



⑦ 銀行員34歳さん

メッセージもずっと敬語だし、会う前日と当日にリマインドもしてくれて本当に好印象しかない。私的にはもはや会っていない時点で明日入籍してくれないかレベルだった。

・直近の元カノとは5年くらい付き合い、結婚の話もしていたのに元カノに浮気され1ヶ月前くらいに別れた。2週間前からマッチングアプリをはじめて、会うのは私が初めてだと言う。

・彼の周りの結婚したカップルはほとんどが、男性からではなく女性からアプローチして結婚までリードして入籍している。男性はただ目の前の女性とお付き合いしたいという興奮状態で交際をスタートすると、いつか冷めてしまう。なので女性からアプローチして、男性をだんだんとその気にさせた方が、その先長い間お互い大事に想ってお付き合いできると思う、という話を何回もしていた。

・仕事や会社についての話にも前向きに会話してくれた。とても真面目だと感じた。


⇒この彼とはもう1度会ってみることにした。


>>デート①

場所と日時を決めたら「また連絡します!」とメッセージが来てからやりとりはなし。会う前日に「予約内容と待ち合わせ場所の詳細」がリマインド的に送られてきた。用件以外のメッセージはしないタイプらしい。

・待ち合わせ30分前に到着していたらしい。ベンチで本を読んで待っていた。マスクをしているときが1番イケメンである。マスクを取るとほうれい線が気になる。あとお肌。できればスキンケアをして欲しい。

・しっかりランチクーポンを使用してくれる倹約家。

・この日は「お好み焼き・たこ焼き・もんじゃ焼きの食べ放題」のお店に行った。自分たちで焼くスタイルなのでとても楽しかったけど、焼くのと食べるのに忙しくて、食べ終わるまで「どうやって焼く」とか「半分こしよう」とか以外の話はほとんどしていない。

・マッチングアプリで誰かに会ったか聞かれたので「1人会いました。」と言っておいた。そちらはどうですかと聞いたところ「僕も1人会ったけど、ダメでした。」と言うので「ダメとは?」と聞いてみたところ「相手の声が小さくて、何を言っているかよく聞こえなくて、でも何回も聞き直すのも失礼だし気を使って大変だった。あと目を見て話してくれなかった。」と言っていた。声の大きさでダメになることもあるのかと思うと本当に婚活って厳しい。

・「あなたとはこの前もいろんな話ができて楽しかった。たぶんあなた以上の人とは出会えないんじゃないかと思っている。」と言われた。そうかそうか。その割にはメッセージは全然してくれなかったね。

・食後はお茶にでも誘ってくれるかなと思っていたけど、なにもなく解散。「また連絡しますね。」と言ったら「また連絡してもいいんですか?」と聞かれたので「いいですよ。」と伝えた。たぶん彼的に今日は手応えがなかったんだろうと思う。


・とても良い人。なんの問題もなし! たぶん好きになれると思う。ただ私の心がついてきてないのが現状課題のように感じた。良くない。

・メッセージで距離を縮めてくれない分、私の中で盛り上がりに欠けている。メッセージでなにもやりとりをしていないから、会っても何を話していいか分からないし、全然相手のことが掴めてない。もう少し距離を縮める努力が必要だと感じる。

・帰宅してからも彼からメッセージが来なかったので、手応えを感じてなさそうだし、こちらから「今回はお酒がなかったから、前回より穏やかに自然に話ができてよかったです。」と盛り上がらなかったことをフォローする感じでメッセージを送った。

・「ありがとうございます!また連絡します!」とだけ返信あり。本当に用件以外はメッセージをしない人なのだろう。残念な人。


>>デート②

近所の居酒屋を予約してくれた。

・元カノとの出会いについて聞いてみたら「飲み屋で逆ナンされた」らしい。彼女の方からアプローチがあり付き合った。はじめは好きじゃなくても一緒にいるうちに情が沸く。女性の方からアプローチして付き合ったカップルの方がうまくいく、とまた話していた。

・「もう34歳なのでときめきとかもよくわからないし、恋愛というよりは結婚したい。」と話していた。

・「最近40代のバツイチ子持ちの人としかマッチングしない。」と話していた。そんなことは言わなくていいよ。

・「あなたはとても頭が良くてしっかり自分を持っているし、自分の意見を言えるタイプの人ですよね。」と言われた。彼の中で私はしっかり者として認識されたらしい。そしてつまり “僕のことを良いと思っているなら、あなたからそう言ってくれますよね” ということが言いたいのだろう。


ちなみに今回のデートは『チェーン店の居酒屋』だった。

別にいいんだけど、前回も『お好み焼き食べ放題』だったし、実はその前も『チェーン店の居酒屋』だった。何年か付き合ったカップルが行くようなお店ばかりで、シンプルにテンションは上がらない。このままでは彼のことを好きになることはないと感じる。

なにか彼の良いところを探そうと思い、昔バンドでボーカルをやっていたという話が出たので「このあとカラオケに行きましょう!」と誘ってみた。

——歌は、うまくなかった。

タケルさんの方が上手だった。好きになるって大変だ。


・会うのは嫌じゃない、かと言ってプラスもない。可もなく不可もない、だから “この人” という決定打もない。

・なにか尊敬できるポイントや頼れるポイントが見つかればいいんだけど見つからない。

・自分のテンションを少しでも上げるため、次回は私がお店を予約することにした。



>>デート③

相変わらず用件のみのメッセージ。別に好きでもないから気にするだけ無駄だ。期待するのはやめよう。

今回のお店は私が予約したので、私好みの美味しいごはんとお酒は確約されている。これでちょっとはご機嫌でいられると思う。

・彼はあまり私が選んだお店が気に入らなかったのかもしれない。

「自分の舌は安上がりなので、鰻とかも中国産しか食べない。以前会社でいい鰻を食べに行ったけど青臭くて美味しくなかった。」とか「知っているお店しか基本的に行かない。」とか「地元の友達とご飯に行ってもみんなお酒は強いから自分は途中で帰る。騒がしいのは苦手。」とか、とにかくネガティブな話ばかりされてしまった。もう帰りたい。

・元カノは彼女の方からデートの約束もしてきて積極的だった。恋愛感情というより愛着がわいていて、たぶんこのまま一緒に居るなと思った。彼女に結婚したいという話をされて、はじめてそういう目で彼女を見るようになった。結婚してもいいなと思ったけど、貯金をいくらしようとか考えたり、いつぐらいにしようかとか悩んでいる間に浮気をされた。

・彼女へのケアが足りなかったなど自分の言動を反省するような言葉はなかった。

・リードされたいかどうか聞かれた。私がよく考えて答えを出そうとしていると「そんなに真面目に答えなくていいですよ。」と言われた。じゃあ聞くな。

・会う頻度はどのくらいがいいか聞かれた。それも私が考えて言葉にしたのに、あんまり最後まで聞いてくれてないというか、途中で「~ってことですよね。」と言われた。しかも的外れだった。

・「クールですよね。隙がないですよね。」と言われた。「お前を好きになってないからだよ。」と心の中で叫んだ。

・今日はお会計が2人で1万円だった。彼が「うわ、高い!」とレジ前で店員にも聞こえるように言った。もう好きになるポイントがない。


帰り際、お店から最寄り駅まで2人で歩いていると、

「僕たち4回も会ったことだし、そろそろじゃないですか?」

と彼が突然言い出した。

「そろそろってなんですか?」

「だから、今後2人の関係をどうしていくかってことですよ」

「……」

「やっぱり男がリードした方がいいんですか?」

「言っている意味が分かりません」

「素直じゃないんですね」


もう限界。

彼はずっと「女性の方からアプローチしてほしい」と言っていたから、きっと私から「付き合いましょう」と言われたかったんだろう。


彼は結局元カノのことを忘れられていなくて、元カノと同じように自分のことを好きになって、付き合ってくれて、結婚したいと求められたいだけなんだと感じた。たぶん私と会うために彼が選んだ店も、元カノと一度は行ったことがあるお店なんだろう。

私もタケルさんのことを忘れたわけではないけど、タケルさんの代わりを探しているわけじゃないし、私なりにこの彼を好きになれないか、良いところを探そうとしていたというのに、彼はずっと「元カノの代わり」が欲しかっただけなんだ。

結婚を考えた元カノの代わりを見つけて、結婚がしたいだけ。

私じゃなくたっていいんだ。


急にバカバカしくなって、私から連絡するのをやめた。

用件以外の連絡をしない男は、これ以降なんの連絡もしてこなかった。



◆アプリ婚活の滑稽さと疲弊

それからはもう頑張るのをやめた。

マッチングアプリはたしかに便利だ。たくさんの異性に出会えるし、チャンスは無限にあるように見える。でも “選ばれる” か “選ぶ” かの世界で、誰かに「いいね」をされても、何人と会っても “心が追い付かない” 。


私が20代の頃にしていた恋愛はいつも「気になる人ができた、連絡先を聞くにはどうやって話しかけたらいいだろう。」とか「はじめてのメッセージはなんて送ろうか。」とか「食事に行けることになった、うれしい、何を着て行こうか。」とドキドキしたものだ。

そういう “恋愛の助走としての時間” を効率化したものがマッチングアプリなのだろう。


マッチングして食事に出かけても、今まで経験したような「会いたい」ではなくて「まずは会ってみなければ始まらない」という冷静な気持ちなのだ。それなのにマッチングしたことを “選ばれた” と勘違いして、初対面にも関わらず『自分のことを良いと思っているメス』という目線で自分を見てくる男性に会う度に、この出会い方はやはり自然ではないんだと気づかされた。


・急にタメ口もしくはタメ口強要

・いきなり「ちゃん」付け

・「はじめまして、よろしくお願いします。」のあと続かないメッセージ

・「有料期間が終わるので連絡先を交換しませんか。」という謎の勧誘

・頼んでもないのに送られてくる自撮り写真

とにかく嫌になる。


カタログのように並ぶ顔写真。スペック比較表のようなプロフィール。好きでもない異性とのメッセージのやりとり。どんどん自分の心が消耗していく感覚があった。以前は「結婚願望があることだけでも魅力的!」と思うこともできたけど、そんな心のゆとりは失われてしまった。


そして私は「誰かと向き合う」ことそのものに疲れ果ててしまった。

素直に「会いたい」と思えない人に会う時間を、自分の趣味とか自分磨きのために使った方がよっぽど効率的だと思う。


結局私はマッチングアプリでパートナーを見つけることはできなかった。

マッチングアプリで出会った相手と結婚した人達は本当にすごいなと思う。

まさに「運命的な出会い」があったんだろう。


【連載目次】

第1章 恋愛という名の予習

第2章 婚活パーティーという戦場

第3章 経験しか信じない男 コウイチ

第4章 婚活オンラインサロンでの学び

第5章 合コンという社交場の裏側

第6章 完全無欠の遊び人 タケル

第7章 マッチングアプリという“カタログ恋愛”

第8章 個人主催パーティーの甘い罠

第9章 SNS婚活の“自由”と“偏見”

第10章 ミツルの洗脳

第11章 結婚相談所という最後の砦

第12章 『婚活うつ』という終着駅

第13章 独身偽装男 リョウスケ

第14章 結婚しなければ、という呪い 『婚活依存症』

第15章 ギャンブル借金浮気男 マコト

第16章 自称婚活中の男 マサヤ

第17章 私は、婚活をやめた

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