表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/19

第10章 ミツルの洗脳 ①——優しさと支配のグラデーション、自己否定がピークに達する恋愛

スマホの画面をスクロールすれば、何十人もの婚活中の男たちが指先ひとつで現れては消えていく。 メッセージを重ねても、既読スルーか、どうでもいいやり取りばかり。それがマッチングアプリだった。

マッチングアプリを閉じると流れるようにSNSを開く。たくさんの婚活アカウントが理想や愚痴をポストしている。スクロールすれば消えていくそれぞれの婚活事情。婚活仲間とはいえ、ほぼ毎回リプライをくれる婚活アカウントでさえ、顔も見たことがない他人だ。

『コミュニケーションしてるはずなのに、何も残らない』

それがSNS婚活の現実だった。

手のひらの中で完結する婚活は、怪しげなパーティーに向かう電車の中だけの暇つぶしみたいだった。パーティーに参加して「はじめまして」と繰り返している時間は、生身の婚活であり、結婚へ近づくために努力している自分を肯定するための手段だった。

気づけば私は、画面の向こうにも現実の世界にも疲れ果てていた。


パーティーが終わると婚活の代わりに通うのは、自宅の最寄り駅前の小さなバーだった。なんだかよくわからない人たちが明日には覚えていないようなくだらない会話で会場中に騒音をまき散らしていた場所から、自宅に帰る前のセーブポイントだ。

バーは静かで落ち着く。特にお酒が好きなわけではないので、その日の気分で注文するカクテルを変える。グラスの氷が溶ける音が耳に優しい。

そこで、いつも無駄に明るい人懐っこい店員に出会った。

彼の「おつかれさまです!」という明るい声が、いつの間にかクセになっていた。

常連客がミツルと呼んでいたので、私もそう呼ぶことにした。



>>2022.02.12

オシャレなカフェではじめてミツルと2人で食事をした。

私がいつものようにバーでお酒を飲んでいた時に声をかけてくれて「ちょっと行ってみたいカフェがあるので今度一緒に行ってくれませんか?」と誘ってくれたのだ。

私は身長が低いので、背の高い男性は威圧感があって怖いから苦手だったけど、ミツルさんは物腰が柔らかくて細身だったせいか、怖いと思うようなことはなかった。むしろ昔からの友人みたいにすぐに安心して会話ができた。


・「なんでも笑ってくれるね。そんなに愛想良く楽しく話せるのにいい人見つからないの?」と言われた。

・浮気するという概念がないので、元カノに浮気されたことがショックでそれから女性不信気味になった。

・夜に電話をかけてきてくれた。本当に楽しかったらしく「明日も会えるなら会いたい。」と言うので、翌日も会うことになった。


>>2022.02.13

・彼はバツイチ。離婚理由は、当時激務で家族との時間をとれなかったからだと話していた。

・バーで「最近彼女と別れた」ことを話したら女性客から連絡先を聞かれたので、複数人とやりとりをしているとのこと。デートのお誘いもあるらしいが、はじめからお断りする人も居るし、2人じゃなくてみんなで会いましょうと返事する人もいる。でも私とは2人で会っている、誰とでも会うわけじゃない、ということを話していた。

・「別の人とデートの予定ありますか?」と聞いてくる。「ないです。」と言っても何度も聞いてくる。ちなみに彼は今度デートする予定の女性が居るらしい。

「どう思う?」と聞かれたので「本当は行って欲しくないけど、彼女でもないから止める権利が私にはない。」と伝える。

・あまりにも何度も聞いてくるので「私が他の人とデートするよって言ったらどうするの?」と聞いたら「別に行ってきていいよって言う!」と言うので「本当にいいの?」と聞いたら「いいよ!」と言うのでたぶん私にも行ってきていいよと言われたいのだろう。


この日は結局3時間くらい一緒に過ごして、また夜も「電話してもいい?」と彼の方から言ってくれたので、寝る前に少し電話をした。


>>2022.02.18

間もなく飲みのお誘い。

本当になんの違和感も無かった。

ただこの時点でケチをつけようというなら、

生い立ちが私とは違いすぎること。


それくらいの事で人を判断してはいけないんだろうから、今後もそれだけで「こいつは危ない!」とかは言えないけれど、人生経験というものはある程度同じであった方が価値観や感情が動くスイッチの入り方にズレが無いんだと思う。

お互いを尊重し、受容し合えるなら、生い立ちの違いはなんの問題も無いんだろうが、「自分が正しい」と他人にそれを押し付けるような相手だった場合においては、急いでその人間から離れることが賢明なのだろうと思う。

この時はまだそのことに気がついていなかったが。


>>2022.02.26

突然昼11時くらいに「今日の夜、会おう!」とお誘いが来たので会うことになった。

彼はまた「次の金曜日に女性と2人で食事をする予定がある。」と話し始めた。別にそんなこといちいち報告する必要は無いし、私たちは付き合っているわけではないから私に止める権利はない。

また「行っていいよね?」と聞いてきた。正直面倒くさい。

そんなときに涼介くんから「今週の金曜日、空いてますか?」とメッセージが届いた。すごいタイミングでびっくりした。


「ミツルさんが金曜日デートするなら、私も金曜日他の人と会うね」

涼介くんからのメッセージを読みながら私は言った。

「俺は束縛とかしないから、その人とデートがしたいならして来ていいよ。でも俺はもう金曜日会う人より、君の方がいいって思ってるから」

「じゃあなんでその女性と金曜日に会うの? その金曜日に会う人と私を比べて、良かった方と付き合おうとか思ってるんでしょ?」

「その人とはバーでも2回会ったことあるし、今回の食事の約束も君と会う前から決まっていたやつで断れないんだよ。だから金曜日は会うけど、それ以上のことはないから」

「そう、じゃあ私も金曜日は別の人と会うからいいよ。私もその人に会うのは初めてじゃないし、それならいいってことだよね? お互い別の人から告白されて付き合うことになっちゃうかもしれないけど、それでもいいってことだよね?」

「それはないよ! もし告白されたとしても断るし! 俺はちゃんと君と付き合いたいと思って真剣に向き合ってるつもりなの!」

「真剣だったら普通は別の人とデート行かないよね?!!!」

「断れないだけだもん」

「断れないわけないじゃん、ごめん行けませんで終わりでしょ。ただ断りたくないだけでしょ? だから行って来ていいって。私も金曜日に別の人と食事に行ってみて、その人と付き合うか考えるから。だからまた金曜日以降お互いの状況的に会えるならまた会おう。それでいいじゃん」

「やだ、また会う! 金曜日デートを断ったら付き合ってくれる? それなら今この場で断るよ! ダメ?」

「私は言葉だけじゃ信じないし、そんな告白のされ方は嫌だから無理。まだ会って数回だし、ミツルさんのこと完全に信じてるわけじゃないから」

「わかった、どっちにしても断るよ。断るから金曜日また会って? メッセージの画面も見せるから!」

「いいよ、別に断らなくて。行けばいいじゃん。行って考えればいいよ」

「やだ、ちゃんと金曜日断るから付き合って? だめ? 付き合うの嫌?」

「嫌じゃないよ! 嫌だったら今日も会ってない。でもとりあえず今日はこのあと予定があるから帰る」

「わかった。ちゃんと断るから、そしたらスクショ送るから、帰ったら電話しよう」


>>

結局ミツルさんから金曜日に会う予定だった女性へのお断りのメッセージと、お相手からキャンセル了解のメッセージ画面のスクショが送られてきたので、私も涼介くんからの食事の誘いはお断りし、金曜日は2人で会うことになった。

ミツルさんの方から「俺と付き合うってことは結婚前提ってことだけどいい?」と言われたので「いいよ。」と伝えた。

ただ「バーでちゃんと彼女ができたって言え。」と伝えておいた。


>>デートを重ねる

「はじめてのデートは、君が行きたい場所に行こう!」とミツルが言うので、私は体験型のアートミュージアムを提案した。それまではいつもお酒を飲んで話すだけのデートだったので、2人でお酒無しでゆっくりデートらしいデートをしてみたかった。

1日一緒に過ごしてみると、彼がすごく私に「合わせてくれている」と感じた。あんまり楽しくなさそうで、私もそれに気が付いて彼に気を使うから、結局2人とも楽しめないままデートが終わってしまったような気がした。

「俺はああいうのより居酒屋でしゃべっている方が楽しいな。」と言われた。

そのときは「特別な場所に行かなくても2人で居られれば楽しいってことかな、それってなんか嬉しい!」と思ったけど、よくよく考えたらやっぱりその日のデートは楽しくなかったって、ただハッキリ言われただけなんだよなと思った。


・お付き合いして慣れてきたからなのか、ドリンクバーは私が彼の分も取りに行くし、彼の方が明らかにたくさん食べたり飲んだりしているけど食事代は割り勘。チケットの予約も私がするし、QRコード注文のお店でも自分の分だけ頼んで、私の分は注文してくれない。

・私が好きなものでも彼はあんまり興味がないとつまらなそうにする。でもそれだとモテないっていうのが分かっているらしく、突然楽しもうとがんばり始めるときがある。「趣味とか一緒に楽しめる彼氏の方がいいもんね!」と言ってきたりする。

・なんでもかんでも話してしまう。「バーで、もし彼女と別れたら次付き合おうって女の子に言われたけどちゃんと断ったよ!」と報告して来た時はヒヤッとした。そういうことが割と多い。

・筋トレや生着替えなどをわざわざ見せてくるので、たぶん自分が大好きでチヤホヤしてくれる彼女の方が彼には合っているのかもしれない。

・私が気を使っていることには気がついてくれて「気を使わなくていいよ」とかは言ってくれる。

・彼のスケジュールが入力されたカレンダーアプリのスクショを送ってきてくれて、会える日を全部教えてくれた。


>>2022.03.12

この日は高校からの女友達のカナと2人でランチをする予定を入れていた。これはミツルと付き合う前から約束していたものだったのだが、ミツルもこの日は仕事が休みで「何時に予定終わるの?」「早く切り上げられないの?」「俺とは会ってくれないの?」としつこく連絡が来ていた。

久しぶりのカナとの時間。彼氏ができたことも報告したいし、ランチのあとはウインドウショッピングもしたい。


「なんか彼氏ができた割にはあんまり幸せそうじゃないけど、なんかあった?」

ランチをしながらカナに聞かれた。

「今日カナと遊びに行くことを言ったら、なんかあんまりいい顔されなかったんだよね」

「年上のくせにそんな学生みたいな束縛の仕方してくるの? 仕事はちゃんとしてる人?」

「家の近くのバーの店員なんだけど、昼はちゃんと会社で働いているみたい。夜バーで働いているのはアルバイトみたいな感じらしい。だから金曜日と土曜日にしかバーで顔見なかったんだってあとから気付いたわ。でさ、平日夜に長電話したがるのが結構きついんだよね」

「え、何時間くらい?」

「夜の8時から1時くらいまでずっと電話つないでるんだよね、付き合ってからはほぼ毎日。私は仕事で朝早いから早く切り上げたいんだけど、元カノはもっと電話してくれる人だったみたいで。私も食事したりお風呂入ったりしたいから途中で電話を切ることもあるんだけど『お風呂出たらまた電話しよう』って言われて、1時間後に電話かけたら『遅い』って怒られてさ。私普段友達ともそんなに電話することないし、今まで付き合った彼氏ともそこまで電話ってしなかったから、彼が言う “普通” が分からないんだよね。正直結構しんどい」

「それちゃんと彼氏に話してる? 我慢してても良いことないよ」

「だよね。でもさ、私もう34歳だし、今まで結婚できてないのは私にも原因があると思ってるからさ。彼、バツイチだし『俺は結婚したことがあるから分かる、お前はそういうところを直さないから結婚できないんだ』みたいなことを言われてさ。なんかグサッと来たんだよね」

「なにそれ、そんなこと言ってくるの?」

「そう、私のために言ってるんだって。でもこの前仕事で疲れたからひとりで外食して帰ったことを話したら『お金を使い過ぎだ』って言われたから、それは怒ったよ。付き合ってまだ1か月とかだし、私の稼いだお金だし。でも『結婚したら自由にお金なんて使えないのに』って言われて『貯金はいくらしてるんだ』とか『年収を言え』とか『月にいくら使ってるんだ』とか散々言われたから、さすがに…」

「え、それやばいって」

「でも次の日になったら『昨日はごめん』って連絡来てさ、もうああいうことは言わないから仲直りしたいって。すぐに会って頭下げてくれて『もう言わないから』って言ってくれたからなんとか今も続いてるって感じ。次にそういうことがあったら別れようとは思ってる」

「なんかDV男みたいだね、暴力ふるってそのあとすぐごめんって謝って、また同じこと繰り返すやつ。本当に次になんか嫌なことされたら別れた方がいいよ。長く付き合えばその分、別れるの難しくなるし」

「実は今も彼から連絡来てて『今日何時から会えるの?』ってしつこいんだよね。私今日カナと約束してるから今日は会えないって言ったのに分かってくれないの」

「もう無視でいいんじゃない?言っても分かんないなら伝えるだけ無駄だよ」

「そうだね、ちょっとほっとくことにする」


ミツルの連絡を未読にして、カナと2人でランチをしたあと買い物をした。香水が欲しかったので、数店舗まわって気に入る香りを選んで買った。こういう話を “彼氏” に共有したいと思うけど「そもそも友達とランチに行ったこと」を許してくれていないのに「香水を買った」なんて言ったら「また無駄遣いしたのか」と言われるに決まっている。このことは内緒にしないといけない。 

その後ミツルから「俺も他の人と遊びに行くから今日はもういい。」と連絡が来た。別にそうしてくれた方が私としてはありがたい。でもミツルの機嫌はあきらかに悪かったし、気になったので、カナと解散してからミツルに連絡をしてみたら、バーの常連の男女と酒を飲んで酔っ払っている様子だったので私も合流することにした。

幸い誰にも迷惑はかけていなかったし、ひとりで機嫌よくなっている程度だったから良かった。

バーの常連達はみんなミツルと私が付き合ったことを祝福してくれた。

「ミツルと付き合えるなんて幸せものだね!羨ましいよ!」

「ミツルさんは優しいから絶対幸せになれるね!」

そうでもないんです、と相談したいけど言い出せない環境だった。

その後もみんなでお酒を飲み続け、気が付いたらミツルは泥酔してしまっていた。帰るときにはひとりで歩けなくなっていて、歩き出したと思ったら転んで階段から落ちるし、まっすぐ歩けていない状態だったので、どうしようもないからタクシーに詰め込んで私の家まで連れて帰った。


朝起きて「なにも覚えてない」と言うので事の顛末を説明したら「あなたが友達と出かけてしまって会えないとわかったから、自分も友達に連絡して飲むことにした。ちゃんと友達との予定が終わったあとに連絡をくれたのは偉かったと思うよ。それがなかったら許してないから。」と言われた。


自分の行いを詫びるような発言はなかった。


でもたしかに私もお酒飲んで酔っ払って人に迷惑かけたことあるし、記憶を失くすこともあるからそれは許せる。でも問題は酒が入ってない時の対応だ。友達との予定にいちゃもんをつけてきて「彼氏と予定があるって言えばその友達も空気読んでくれないの?」とまで言い出し、全く理解してくれなかった。ミツルの中では「恋人なら休日はいつも一緒に居るのが普通」で「私がおかしい」のだ。


デートの予定がない休日に自分の予定を入れるのは、私の中では当たり前のことで、友達と1日遊ぶことも普通のことのはずだった。

でもミツルがあまりにも腹を立てているので「世の女性達は彼氏を最優先しているのかな?」と自分の価値観を疑い始めた。

だってタケルさんは私と会わない日に合コンに行ったり、たぶん他の女性と会ったりしていたに違いないから。タケルさんとの付き合い方が間違っていて、ミツルが休みの日の度に私に時間を割いてくれるのが普通の付き合い方なのかもしれない。

それなら私が変わらなければいけない。

常識を知らないのは私なのかもしれないから。


—―そう思い込んだ瞬間から、私は自分の予定を組むときにまず “ミツルがどう思うか” を考えるようになった。友達に会うことさえ「彼に許されるかどうか」という基準で判断してしまい、気づけば私自身の休日は “彼のために空けておく日” に変わっていった。

>>2022.03.14

ホワイトデー。何が欲しいかと聞かれたから「花束!」と即答したら「どこで買えばいいか分からないからついてきて。」と言われ一緒に購入しに行くことになった。ホワイトデーはどこかデートに連れて行ってもらえると思っていたら、ミツルはなぜかまたバーのお客さんと飲み会の予定を入れていた。

それを知った別のお客さんが「何をしているんだ!」とミツルを叱ってくれたらしく、急遽その飲み会に私も誘われたのだ。

というわけでこの日は、男2:女3(私含む)で食事をすることになった。


せっかくのホワイトデーなのに。


でも花束を買ってもらったのがうれしかったし、彼が私を「彼女だよ。」とみんなに紹介してくれるのもうれしくて、私はすぐに自分のSNSに彼からもらった花束の写真を投稿した。

その飲み会の最中にSNSに投稿した花束の写真にたくさんのリプライの通知が来て、テーブルの上に置いていた私のケータイが連続で鳴った。ミツルはそれが気に入らなかったようで突然みんなの前で怒りはじめた。


「ピコピコうるさい! どうにかしろ、気が散る! みんな迷惑してる!  早く直さないともう連れてこない!!」


まるで雷が落ちたような衝撃で、その場の空気が一気に変わった。ミツルの友達もみんな黙ってしまったので「ごめんね、もう鳴らないようにするから。」と私が謝ってその場を収めた。

そのとき一緒に飲んでいたうちの1人が「そんな言い方しなくてもいいじゃない、少なくとも私は全然気になってないよ。気になってるのはミツルだけでしょ。そんな急に大きな声出したら怖いよ。」と私をかばってくれた。


そもそもホワイトデーなのに2人きりのデートじゃないし、私は友達と遊びに行ったら不機嫌を押し付けられ、彼は私も呼んでくれるにしろ飲み会の予定は入れているわけで。ケータイが鳴ったくらいでみんなの前でブチ切れられるのはおかしいよなと思ってはいたけど「完璧な男性」なんてこの世には居ないから、欠点があったとしても私が許容できる範囲なら受け入れるしかしょうがないと思っていた。

それが今まで誰からも選ばれてこなかった、独身の理由かもしれないから。


欠点ばかりに目を向けないで、彼のいいところを探すようにしないと。

今日は花束を買ってもらったじゃない。

そういう幸せにフォーカスしないと、また恋愛をダメにしてしまう。

私はもう34歳。失敗したくない。

もう恋人と別れるなんてつらい経験はしたくない。

私にはダメなところが多いから怒られるだけ。

私は完璧な彼女にならないといけないんだ。


>>2022.03.21

ミツルの友達と一緒に出かけたり、みんなで飲みに行ったり、ミツルとは一緒に居るけど、2人でデートに行くっていうことはこの頃からあんまりしていなかった。

私が行きたいところなんて聞いてもらえなくなった。

楽しかったけど、本当は恋人らしいことを2人でしたいなとは思っていた。

でも、贅沢なんて言えない。

結婚したら相手と生活を共にするんだから、彼の友達とも仲良くなっておいた方がいいし、たくさんの時間を共有できる方がいいに決まっている。少しずつ彼の日常に私が自然に入っていって、安心して結婚できる関係にならないと。

ここで私が我儘を言ってはいけないんだ。


>>2022.03.23

「そろそろ久しぶりに飲みにでも行きませんか?」と涼介くんから連絡がきた。定期的に連絡をくれる涼介くんに彼氏ができたことをまだ報告していなかったので、この日に報告がてらミツルのことを相談してみようと思った。

もちろんミツルには内緒で会う。


涼介くんと会うのは数か月ぶりだったので、バレンタインデーは過ぎていたけどチョコレートをプレゼントしたら「実は僕からホワイトデーのプレゼントがあります。」と紅茶をくれた。私はコーヒーが飲めなくていつも紅茶を飲んでいるという話をしたことがあったから、記憶力のいい彼はそれを覚えていたんだと思う。


「なんか痩せましたか? もしかしてまた失恋しました?」


涼介くんはすぐに私の変化に気が付いた様子だった。

ミツルと付き合ってから平日の慣れない深夜まで続く電話、土日は毎回会って飲酒。そして日常的なミツルからの厳しいアドバイスによってストレスが溜まっているのか、体調に変化が出始めていた。


「彼氏ができたんだよ、一応」

「そうなんですね! でも今まで黙ってたってことはあんまり幸せじゃないってことですよね? 前の彼氏のときはすぐに教えてくれて、しばらく連絡は取れないって言ってきたじゃないですか。今日も会ってくれてるし」

涼介くんにはなんでもお見通しのようだった。

「うん、なんかうまくいかなくてさ。友達に相談したんだけど別れた方がいいって言われちゃって。私は彼と上手に付き合っていくにはどうしたらいいかを相談したいんだけど、別れろとしか言われなくて、結局なにも解決しなくて。なんか疲れちゃった」

「その彼氏と一緒に居て幸せなんですか?」

「居ないよりは幸せだよ。寂しくないし、ひとりじゃないって思える」

「でも僕からは幸せそうに見えないですよ。とても疲れているように見えるし、いつもはニコニコいろんな話をしてくれるのに、今日はつらい顔ばっかりだし。僕はもっと笑っているところが見たいです。その男じゃダメだと思いますよ」

「やっぱりそうなのかな……」

「はい。美人だから変な男がたくさん寄ってくると思うし、優しいしお人好しだから騙されやすいと思うんで、もっと自覚を持って気を付けないと駄目です。僕はあなたには幸せになってほしいと思っているので言っています。別れた方がいいです」


涼介くんはこうやっていつも優しい言葉をかけてくれる。でも『だから僕と付き合いましょう。』とかは決して言わなかった。この日もただ慰めてくれただけだった。


涼介くんが私のことを好きだと言ってくれたら、どんなに楽だったんだろう。でも『好き』とか『付き合おう』と言葉にできない男と付き合っても、きっとその先『結婚しよう』と言ってくれないだろうと私はなんとなく思っていたし、涼介くんはそういう風に私のことを見ていないだろう。

私は結婚がしたいから、だから今はただ付き合いたいとか甘やかしてくれる男を選んではいけない。ちゃんと私と向き合って結婚を視野に入れてくれる男性に目を向けないと。だからこそミツルとちゃんと向き合ってこれからどうしていくか考えないといけないんだ。別れるのはそれからだ。


>>2022.03.24

この日は幼稚園の時からの幼馴染である京子と食事に出かけた。

連日の友達との予定ではあったが、ミツルが友達と予定を入れている日に合わせて京子との予定を立てたので、ミツルからの電話や連絡を心配する必要はなかった。

「とりあえずさ、友達と予定いれるなって言う割に自分は平気で友達との予定いれるっておかしくない?」

開口一番、京子が言った。私もずっとそう思っていた。

「恋人との時間を大切にしたいから束縛するならまだかわいいけど、ただの自己中確定じゃん。自分のやりたいようにしかしないで、自分の思い通りにならなかったら被害者面して意見してくるんでしょ? ありえないよ」

友達に相談していく中で、全員がミツルを「良くない男」と認定するので、私もその事実を認めるようになっていた。でも付き合っていく中で話し合いをして価値観の擦り合わせができれば、良い関係を築けるのかなと、この時はまだ期待していた。


「でもさ、私35歳までには結婚したいんだよね。やっと付き合えた男だし、なかなか簡単には別れられないんだよね、気持ち的に。ただ私って今までそんなに人に怒られないで生きてきた人生だったからさ。あんまりきつい言い方とかされると本当に傷つくし、喧嘩とかもしたくないからどんどん私が言いたいことを言えなくなっちゃって……」


京子は幼馴染ということもあって、私のことを全部理解してくれている。私が婚活をしていることも知っているし、過去の彼氏がどんな人で、どんな付き合い方をして、なぜ別れたのかまで、すべて知っている親友なのだ。

「今の彼氏とは別れた方がいいとは思うけど、その別れたくないって気持ちもよく分かるよ。彼の良いところも見つけちゃってるんでしょ? いつも喧嘩ばっかりでも付き合い続けてるカップルなんてこの世にたくさんいるしね。もう本当に『どういう付き合い方をしていきたいか』なんじゃないかな。理想の付き合い方ができなくても彼がいいのか、理想の付き合い方ができる他の男を探すのか、その2択なのかもね」

「でもその他の男を探すっていうのが大変だし、難しいし、もうやりたくないんだよね。もうさ、何回『次の男で最後にする』って思いながら婚活したらいいのって感じ。そんなに贅沢言ってないと思うんだけどな。年収が高い年下のイケメンがいいとか言ってないのに、なんでこんなに幸せになれないの?」

「わかるー。もう結婚とか奇跡だよね。もっと簡単に勢いで結婚できるうちに結婚できてれば、こんなに悩むこともなかったんだろうね」

「それな。いつかサクッと自然に結婚できるものだと思ってたもん。みんなどうやって結婚したんだろ。謎過ぎる。本当無理」


>>2022.03.25

この日は1ヶ月前から予約していた人気のレストランに2人で行こうと約束していた。

ただ「今度会社の人と飲みの予定が入ったから次の金曜日は飲み会に行くことになった。」と前日の電話で話したら、またミツルの逆鱗に触れてしまった。

「なんで嫌だって言ってるのに飲み会に行くの? そんなに飲みの予定入るもん? 金銭感覚どうなってんの? ちゃんと貯金してんの? 貯金額言ってみろよ。そんな女と結婚とかできないんだけど。一生遊んでろよ。もう別れろよ」

日々睡眠を削って彼からの電話には対応しているし、お風呂も彼との電話が終わってから入るようにして、彼に怒られたポイントは改善してきたつもりだ。彼が友達との予定を入れている日は文句を言わずに「楽しんできてね。」と連絡をして、バーでのアルバイトも、女性客と知り合うきっかけになってしまうから、本当は行ってほしくなかったけど、「お前だって友達と飲みに行ってんだろ。」と怒られてからは何も言わないようにした。


でもダメだった。

ミツルから連絡先をブロックされてしまった。


とりあえず明日になってもう一回連絡がとれないか確かめて、無理ならお店はキャンセルするしかない。

私がちょっと冷静だったのは、連絡先をブロックされるのはこれがはじめてじゃなかったからだ。これまでもちょっとしたこと(彼にとっては重大なことなのかもしれない)があるとすぐにブロックされた。電話もつながらないし、SNSもブロックされてDMすら送れなくなる。

でも彼が周りの友達に私とのことを相談すると、大抵友達に彼が説得される形で翌日にはブロックが解除されて、彼の方が私に謝ってくることが多かった。だから明日になればきっと連絡が来るからもう少し様子を見よう、と思えることができた。


案の定、翌日にはブロックが解除されていた。お店の予約があったので私の方から「レストラン予約してるけどどうする?」と連絡すると「そっちから連絡が来なかったらもう連絡するのやめようと思ってた。」と返信が来た。

ブロックしておいて何を言っているのかわからなかったが「今日はレストランに行く? どうする?」ともう一回聞くと「なんでこの状況でまだレストラン行くとか思ってるの? 頭おかしんじゃない?」と返信が来た。

それなら仕方ないので「じゃあ予約はキャンセルしておくから。」と言ったら「そんなに言うなら行くよ、せっかく予約してるしお店にも迷惑だろう。」と言われた。


人気店なのでミツルも食事に満足した様子だったが「普通ならもう別れてるから。今回はたまたまレストラン予約してたからこうして会ったけど、普通は喧嘩したらもう会わないから。」と言われた。


何を伝えてもミツルの中のルールは変わらなさそうで、ミツルは「あなたって本当に頑固だよね。」と私にいつも言うけど、私のどこが頑固なのか説明してほしかった。そんなことを言ったらまた怒りはじめるから、もう何も言うのはやめた。

ミツルの思い通りにならない私は “頑固” なのだ。ただそれだけだ。


>>2022.04.03

この日は久しぶりに婚活オンラインサロンのメンバーで集まって「焼肉ランチへ行こう」ということになっていた。だがこの日ミツルは予定がない休日だったので、正直に友達とランチに行くと告げなければならなかった。


「明日友達と焼肉ランチ行くんだ」

「どこの?」

「新宿!」

「へぇ……俺、新大久保行きたいからついてきて」

「え? 私、焼肉ランチ行くんだけど…」

「ランチなら1時間で終わるよね? 俺、新大久保で待ってるから」

「いや、コースにしてるから1時間じゃ終わらないよ。それに久しぶりに集まるからランチのあとはみんなでカフェとかにも行きたいし……」

「俺サムギョプサル食べたい気分なんだよね!」


ミツルは全く私の都合を考えてくれない。


結局私はランチのあとすぐに新大久保に向かう羽目になった。

しかも焼肉ランチのあとにサムギョプサルを食べるのに付き合わされた。

私はお腹がいっぱいで食べられるはずもないのに「なんで食べないの?」と言われた。


「今日みたいな感じならお前が友達とご飯行ってもまだ許せるわ」


これは私へ対する嫌がらせなのか。

なにが彼をこうさせるのか分からなかった。

ただ本来ならこのとき「彼のことをわかってあげよう」と考えるのではなくて「私はこういうことをされるのは嫌だ」と自分の気持ちをハッキリ彼に伝えなければいけなかったのに、それができなかった。

それを言ったらせっかく彼の機嫌がいいのに、また不機嫌になって、また怒られて、また責められる。

私はもう穏やかに過ごせればそれでよかった。

彼の機嫌が良いかどうかだけで頭がいっぱいだった。


>>2022.04.04

何かにつけてミツルに怒られる生活にはそろそろ慣れた。

最近では怒るネタもなくなってきたのか「お前の使っているスタンプがむかつく。」とか「メッセージの最後に『。』をつけるな。」とかで突然怒られて、私がしらけているとまた連絡先をブロックされた。

ミツルが機嫌を悪くすると言い始めるセリフももう全部覚えた。

「別れろ、俺に執着するな、合わない、無理、顔も見たくない」

はじめはそんな言葉の意味なんて重く考えていなかった。でもずっと目の前で言われ続けると、なにかの催眠術みたいに自己肯定感は下がる一方だった。ミツルが機嫌を悪くする理由は「友達と遊びに行くこと」「会社の人と飲みに行くこと」「電話に出られなかったこと」「すぐに連絡を返せなかったこと」「メッセージのリアクションがなんかムカつく」とか私にとってはくだらない理由だった。

そして最後はいつも「なんでその歳で一度も結婚してないの。あなたに原因があるからでしょ。俺はバツイチだから結婚がどういうものか知ってる。だから俺には分かる。全部お前が悪いんだよ。」と言われた。

これを言われるのが一番嫌だった。

私が一番言われたくない事というか、そう言われても仕方ないっていうセリフを混ぜてキレてくるから、ただただ言われっぱなしになる。ごもっともですねって、もう聞いてるしかない状態になる。

そしてひとしきり言ってスッキリしたあとはこう言うのだ。


「言い過ぎた、あなたに甘えてるんだと思う。あなたが許してくれるってわかってるから。俺は不器用だから言いたくないことも言っちゃう。好きだからこそ怒っちゃう。分かってくれるよね?」


>>2022.04.16

ミツルに何かにつけて怒られて「私が悪いんだ」と思わされていた。

それをカナに相談したら、

「そんな男と付き合ってるからダメなんだよ。」と言われた。


私にとってはそれも「私が悪い」と自分を否定されているように感じてしまうようになっていた。


「もうずっと話聞いてるけど、その男本当にヤバいから早く別れなよ。もう何を相談されてもそれしか言えないよ。毎回毎回同じことで悩んでるじゃん。もう聞きたくないんだけど。その男と別れるか、私と友達やめるか、どっちか選んでよ」

カナからそんなことを言われて

「愚痴をこぼす相手も居なくなってしまった」と思った。

私がミツルに対して我慢していることや不満に思っていることを友達に話して「これって私がおかしいわけじゃないよね?」と確認することで、やっと自分が間違っていないことを確かめられたのに。


今までカナがなにかで悩んだ時、ずっと相談に乗ってきた。

「話を聞いてほしい」と言われたらすぐに駆けつけた。

一緒に朝までお酒を飲んだり、カラオケに行ったりして、一緒に悩みなんて吹き飛ばしてきたはずだった。

そんなカナが、もう私の話を聞きたくないと言う。

私は今までたくさんカナの悩みを聞いてきたのに。なんで?

やっぱり、私が全部間違っているのかもしれない。


>>2022.04.19

またミツルに怒られた。すべての連絡手段をブロックされた。

最近は怒るとすぐに「もう別れる!」と言うようになった。


私は昔から真面目に生きてきた。小さい頃だって大人の顔色を窺って、好きな色や将来の夢に嘘をついてきた。なんでもうまくやり過ごしてきた。そのおかげで「他人に怒られること」に慣れていなかった。

自分が誰かを、こんなに何度も怒らせているということが、怖くてたまらなかった。


だから始めのうちは「別れるなんて言わないで。」と言ってご機嫌をとっていた。でもそうしたらミツルは「別れると言ってもこいつは俺と別れない」と思ったのだろう。本当に些細な事でも、すぐに「別れる!」「もう別れろよ!」「今度こそ終わりだ!」と言うようになった。

あまりにもそのやりとりが増えて、私もそんなことを言われ続けたら傷つくし、もうご機嫌を取るのも疲れてしまって「じゃあもう別れよう。」と言うと、それは違うみたいで。

「お前が別れるって言ったんだからな、全部ブロックしてやるからな。」

と余計怒らせてしまった。

もう私から連絡することができなくて、でもこの状況にも慣れたから「ミツルから連絡が来るのを待つしかできない」と悟っていた。

いつも1週間くらい経つと、またミツルから何事もなかったかのように「ご飯行かない?」と連絡が来て元の関係に戻った。

私がミツルの機嫌を取る度に、ミツルは以前にも増してワガママ放題になった。

「お前が別れるって言ったのに、結局また別れなかったよな。そのせいでまた俺がイライラさせられてるのわかる? もう本当に別れろよ、お前と一緒にいるとイライラするんだよ」


私が「別れるなんて言わないで。」と言って引き留めたときの方がまだ機嫌が良くて「俺も言い過ぎたよ。」と、穏やかな性格のミツルに戻るのは早かった。だからもう私から「わかった、別れよう。」と言うのはやめた。


そうやって、気が付いたら「私からミツルと別れられない」状態に陥ってしまった。


私のことを全く大切にしてくれない。

会社で仕事をしていても、ミツルからのメッセージを15分以内に返信しないと怒られた。仕事が終わって家に帰ると、寝るまで通話状態にしておかなければいけなかった。自分が会いたいときに呼び出して、私が友達と会う時間を奪って、自分が行きたい店に入り、自分が食べたいものを頼む。

私に選ばせてくれることなんてない。

別れることすらも選ばせてもらえない。


2人で居る時に仕事の電話に出たら

「そういうのやめてくれない? 冷めるわ」と言われた。


「お前ってさ、なんでそんな簡単なことも言われないと分かんないの?  

 やっぱり頭おかしいんじゃないの?

 変だよ、本当に変。病院行った方がいいんじゃない?」


たぶん何を言っても私が口ごたえしているようにしかならない。

「そうだね、ごめんね。」しか言えなくなった。

せっかくそれまで機嫌が良くて、上手くいってる普通の恋人同士みたいだったのに一瞬で人格が変わったように怒り出す。

家に居ても、外に居てもそれは変わらない。


とても虚しくなって悲しくてカナにメッセージを送った。

「私って変なのかな」

そうしたら


「うん、変だと思うよ。

 でも私が知っている人にもっと変な人も居るから大丈夫」


と返ってきた。


(そっか、私ってやっぱり変なんだ……カナも私のこと変だってずっと思ってたんだ……)


私は自分が変なんじゃなくてミツルが変だと思っていた。

でもカナは私のことを変だと言った。ということは、ミツルは変じゃなくてやっぱり私が変で、ミツルを変だと思っていた私が間違っていたってこと?


「この前さ、私、友達に変だって言われちゃったんだ」

ミツルに相談すると

「よくそんな友達と付き合ってるね、それって友達なの?

 オレお前の友達嫌いだわ」

と言われた。

感情の整理が追い付かなかった。


それからは「今までのことはやっぱりすべて自分が悪いんだ」と思うようになった。

私の他に好きな女性ができて、私との別れを選んだ昔の恋人たちの選択が正しくて、私が結婚できていない原因はすべて私にある。私を選んでくれる人なんて居ないのに、私が結婚したいなんて、私がそんなことを望んでいること自体が間違っているように感じた。好きな人と穏やかに過ごしたいという気持ちも、好きな人と一緒にいたいという願いも、友達と今までみたいに仲良くすることも、全部欲しがるなんて私みたいな頭のおかしいダメな人間には無理なことだったんだ。


ただそれでも懲りずに変な私と一緒にいようとしてくれるのはミツルだった。


もうミツルの言うことをきいて、悪い所を全部直せばいいんだと思うようになった。


そうでもしないと心が保てなかった。

それからカナに連絡をするのはやめた。

カナからも連絡が来ることはなかった。

頭のおかしい私は、ずっとカナと仲良しだと思っていたけど、

勘違いだったんだね。

今までずっと、私に付き合わせて、ごめんね。



【連載目次】

第1章 恋愛という名の予習

第2章 婚活パーティーという戦場

第3章 経験しか信じない男 コウイチ

第4章 婚活オンラインサロンでの学び

第5章 合コンという社交場の裏側

第6章 完全無欠の遊び人 タケル

第7章 マッチングアプリという“カタログ恋愛”

第8章 個人主催パーティーの甘い罠

第9章 SNS婚活の“自由”と“偏見”

第10章 ミツルの洗脳

第11章 結婚相談所という最後の砦

第12章 『婚活うつ』という終着駅

第13章 独身偽装男 リョウスケ

第14章 結婚しなければ、という呪い 『婚活依存症』

第15章 ギャンブル借金浮気男 マコト

第16章 自称婚活中の男 マサヤ

第17章 私は、婚活をやめた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ