2話 異世界での生活の始まり
ーー転移から2ヶ月後
俺たちは現在、転移した神殿の庇護下で生活をしている。
もちろん、ずっとこのまま異世界からのお客様として世話になれる訳ではない。
この世界で生きていく為に神殿から自立して、魔物と戦ったりお金を稼いだりして自分達の力で生きていかなければならない。
それまでの三ヶ月間は、武器の扱い等の戦い方を中心に神殿が面倒を見てくれるって話しだ。
最初はRPGみたい!って少し興奮したけれど...武器なんて触った事も無いし生き物を殺すイメージも全くわかない。
まあ、そんな生活を転移してから二ヶ月間ずっと続けている。
この世界と環境に少し慣れてきた。
そして、この世界オルクシルは存続の危機に直面している事も学んだ。
土地は痩せ、植物や作物は育ち難い。
水は汚染され、飲める水は浄化した水に限られる。
人や動物の死骸は聖典魔法で浄化させないと魔物化してしまい、死体のまま徘徊する化け物になってしまう。
まさに、地獄の様な環境だ...。
そしてケテル大神官から聞いた、俺達の最終目標。
あの大きな塔の中に存在する[タイタニア]。
この大精霊の名前を冠する木から取れる種をバベル最下層に持って行く事。
そうする事で、このオルクシル大陸の地脈が復活し大地、自然の植物、水の汚れ、亡骸の怪物化。
これら全てが浄化され、聖浄な大陸に戻ると説明された。
かつて何人かは、このミッションを達成して元に世界に戻ったって話しだが...本当かどうは分からない。
そして、その肝心なミッションの場所となるのが、あの巨大な塔[バベル]。
誰が作ったのかは誰にも分からない。
今まで、最上階にたどり着いた者は存在しない。
霊木[タイタニア]は色々な階層に現れるが、場所はその都度変わるらしく階層が高い程出現し易いらしい。
この世界に関してはざっくりこんな感じだ。
そして驚くべき事がもう1つあった。
この世界には、魔法が存在する。
ただし、呪文を言えば即発動というモノでもない。
ーー魔法について。
魔法で起こしたい効果または事象をイメージして身体の回路を通して扱う感じだ。
ーー戦士系の場合
戦士の自己身体強化の場合は、身体を堅くや鋭く等のイメージを身体の中に循環させ留めるイメージ。
武器に魔力を通すと強化し易くなる。
ーー魔法系の場合は。
魔法系は術を放つ時に、身体の中に留めるのではなくほうし杖や聖典に魔力を溜めてから放つと威力の桁が大幅に上がる。
つまり、剣、槍、等の攻撃武器系統と杖や教典の魔法系になるという事だ。
そして、前衛系か魔法系どちらの適正かは本人の才覚次第らしい。
ーー早速、聖魔法の才能を開花した者が現れた。
奈子だ。
癒す。解毒。防御系の魔法。この辺りを2ヶ月で体得しつつあった。
当然、皆コツを知りたいと彼女に教わったのだが...。
「んー。こうモヤっとする感じをですねー。こう、グワっと...」
まあ...感覚的な事だから仕方ない。
神殿からの庇護はあと1ヶ月。
俺たちはそれぞれの適正に合わせて鍛錬に勤しんだ。
人間ってのは、なんだかんだで環境に順応する事が出来るもんらしい。
この頃になると皆も異世界に居る事を受け入れ始め、異世界での生活と未来に少しずつワクワクを増していた。
"やるべき事"さえ達成した暁には元の世界に帰れる。
今、思えばそれは大きな間違いだった。
ーー異世界は甘くなかった。




