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9話 暁の朝日

  ーー城塞都市トロイア


 ナギタ達はその後、移送隊の生き残りを廃村の地下壕から無事救出して城塞都市トロイアに戻っていた。


 ーー神殿


 「シンをお願いです!」「なんでもするから!シンを...」「...進次郎くん...お願い...グス...」


 先の人狼との戦闘で致命傷を負ったシンは、なんとかミイの聖典治療魔法で道中ではギリギリ命を繋ぎ止めていた。

 そして神殿内部にある巨大な魔法陣と祭壇を設えた緊急治療室に担ぎ込まれる。


 「聖典魔法師のみで行いますので、貴方達は外でお待ちください」

 「わ、わたし!聖典魔法師です!お願い...」

 ナコは必死に懇願する。


 「申し訳ありませんが、今の貴女では力不足。かえって治療の妨げになるので...」

 食い下がるナコとナギタ達の付き添いを、法衣の者達は許してくれなかった。


 ナギタ達は神殿の外に出た。



 シンと。

 皆で一緒に訓練した後に集まった階段で待つ事にした。

 一緒に昼飯食べたり...昼寝したり...。

 この世界に来て、1番皆と一緒に過ごした場所だ。


 ーーこの日の終わりを知らせる鐘が0:00を伝える。


 「...ぐす...」

 声を殺して泣き続けるナコ。

 「・・・」

 俯き鬱ぎ込むナギタとニノ。


 どれくらい待ったかは、わからない。

 シンの命が助かる事だけを祈って、待ち続けた。



 そんなナギタ達の前にナッシュとリーが現れた。


 「ナギタ...シンの容体どんな様子だ?」

 「集中治療中です...わかりません...」

 「そうか...」


 俯いたままナギタ。

 ナッシュは星空を仰ぐ。


 「今、ミイがガストンを治療してる。まあ、コッチは命に別状は無いから大丈夫だよ」

 リーは心配そうにナギタ達に語りかける。


 「良かった...です」


 「ナギタ、シンはきっと助かる...だから。お前たちも今日は休め」

 「はい...」


 ナッシュとリーはナギタ達の頭をそっと撫で、去っていった。


 「...もし...シンが死んでしまったら...わたしの...責です...」

 ナコは絞り出す様な声で呟く。


 「そんな事はない!そんな...責任なんて...ないから...」

 「ナコ...お前に責任?それは違う...俺が助けに行くなんて言わなければ...」


 「2人とも!こんな時に!!責任とかどうでもいいの!今は...シンの帰りを待ちましょ...」

 ニノは責任を口にする二人肩を引き寄せ抱きしめる。


 ーー夜は深みをより一層増す。


 街の明かりがほとんど無くなっていく頃、誰かが近づいて来た。


 ーー金子先輩だ。


 「梛野。話しがある。立て」

 「金子先輩...なんですか...?」


 「いいから立てよ」


 ナギタは傷だらけの身体に鞭を打って立ち上がる。


 ーードカッ!!


 金子はナギタを殴り飛ばした。


 「ちょっと!金子先輩!なんでよ!ナギタが何したって言うのよ!!」

 ニノが割って入るも金子はニノを振り払い、ナギタの胸ぐらを掴んだ。


 「梛野!何で僕の許可無しに勝手に行動した!リーダーの僕の許可も無しにだ!!ああ!」


 金子先輩は、他にも何か叫んでる様だが...ナギタの耳には何も入って来ない。


 そうだ。俺がシンを死なせたんだ。

 俺が...助けに行くなんて...言わなければ...。


 金子は更に激昂する。

 「何黙ってんだ!?僕を無視するな!」

 ーードカッ!!


 ナギタは無抵抗のまま壁まで殴り飛ばされる。


 「金子先輩...いや、金子。お前が何を知ってる?何がリーダーだ!ふざけんな!。アンタなんかリーダーだなんて誰も思ってない!消えて!」

 ニノがキレた。


 「二ノ宮...お前まで...」

 金子はニノに殴りかかるも、ナギタに腕を掴まれる。


 「グッ...痛たたた...離せ!」

 金子はナギタの手を払いのける。


 「もう、終わりだ!お前らの面倒なんてもう見ないよ僕は!抜けるから。勝手にやってろ!」

 金子は唾を吐き捨て去っていった。


 完全にキレているニノが、金子を後ろから蹴り飛ばそうとしたが...ナギタに止められた。


 「ニノ...いいんだ。もう、いいん...だ」



 ーー夜の暗闇の空に暁色の、朝日が映り始める。



 「ナギタさん、ニノさん、ナコさん...」

 ナギタ達の前には神殿の治療長が立っていた。

 朝日が少しずつ彼女を照らす。


 「ーー」



 ーー俺たちは、シンの死を伝えられた。

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