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婚約解消したところに戻ってきてしまった。

ドキドキ。うまく投稿できているんだろうか。

「それで、マリー。悪いんだけど、婚約を解消してほしいんだ」


 なんだかこれ、知ってるんだけど。

 こうして、本当にロレンスと婚約解消することになるんだよね。


 あれ、私、なんで覚えているんだろう。なんか変。

 自分の中に疑問符が浮かぶ。


 カルカペ王国アントワーヌ子爵の三男であるロレンスが私の顔を見つめている。隣の領地のロレンスとは幼なじみだ。


 相変わらず、王子様みたいなキラキラしている見た目をしている。小さいころから見慣れているので、私は特に何も感じないけど。


 パーティーに行くと、ロレンスはモテていたので、きっと他の令嬢には刺さるのかもしれないけど、おそらく私の好きなタイプではない。でも、小さいころから一緒にたくさん過ごしているから、仲がいいけどね。


 ああ、今はそれどころじゃない。ロレンスの話を聞かないと。

 ロレンスの顔は、青ざめていた。


 婚約解消か。そうなんだね。諦めに近い気持ちが沸いてくる。

「そう。仕方ないわね。おめでとう」


 ズキンと頭の奥の方が痛い。ズキン、ズキンと心臓の音と同じリズムで激痛が頭の中を走る。


 頭が痛い。どうしちゃったんだろう。

 ロレンスには頭痛のことはおくびにも出さず、にこりと笑って見せた。なんだか気持ちも悪い。具合が悪くなる予感がする。


「マリー、怒らないの?」

「ええ。だって、仕方がないでしょ」

「そうだけどさ。僕たち、婚約していたんだよ」

 ロレンスはほっとした顔をして、それから眉をひそめた。


「怒ってほしいの?」

「そういうわけではないけど。マリーにとって僕ってなんだったのかなって思ってしまって」


 まあ、婚約解消の話だもの、具合も悪くなるのも当然かもしれない。早くベッドに横になりたい。


 なんだかぐちぐちロレンスが言っている。婚約を結局解消するんだから、そういうのはどうでもいいのでは?と思う。


 やっぱりこの場面も知ってる。脳内の映像が再現される。そうそう、新しい婚約者はエリザベス。エリザベス・ベラルント。ベラルント伯爵の娘だったはず。


「だって、あなただって私のことを熱烈愛しているってわけじゃなかったわよね?」


 やだ、どうして、知っているのかしら。というか、ここはどこ? なんで二回もロレンスに婚約破棄されているの、私?


 どういうこと?


 頭が痛いのと関係する? ああ、割れるように頭の奥が痛いわ。


「まあね」

「ほら、お互い様じゃない。それに、ベラルント家から援助が受けられるんでしょ?」

 ロレンスは驚いた顔をした。


「僕は、援助のあるなしではなく、本当にエリザベス嬢のことを支え、守ってあげたいと思っているんだ」

 ここで主張する? 元婚約者にそういうのろけ話はしないでほしい。もうわかったから、勝手にやってちょうだい。エリザベス様が大好きなんでしょ。


 ううう、起きていられないくらいつらい。もう早くロレンスが帰ってくれないかしら。婚約解消してあげるから、ちょっと横にならさせて。


「そう。エリザベス様のことがお好きなら、なおさら婚約解消も仕方ないわね。承知しました。ロレンス、援助と新婚約おめでとう」


 ああ、もうダメ。ロレンス、早く立ち去って。こんなときに体調不良を起こすとは。いや、こういう時だから体調不良になったのか。分からない。倒れた姿をロレンスに見られたくなかった。元婚約者の矜持というべきか。


 婚約解消ね。いいわ。もう仕方がないもの。お父様、お母様ごめんなさい。


 ああ、ロレンス、分かったから、説明なんかいらないって。だって、私たちはお互い貧乏だから助け合いで婚約しただけなんだから。


 ロレンスは罪悪感でいっぱいの顔をしている。いろいろ言い訳をしているが、早く帰ってほしいと思う私は我がままだろうか。


 昔から王都から離れたうちの領地であるヴィスワフ子爵領とロレンスの家のアントワーヌ子爵領はいつもかつかつで経営していた。いわゆる万年貧乏領地だ。


 それなのに一昨年、大雨で川が氾濫し、畑がダメになった。去年は日照りで不作。領地が近いからわかる、互いの借金事情。それなら助け合おうと、三男のロレンスと長女の私が婚約し、絆を強めることになった。


 うちにはお兄様のアルフレッドも、弟のラルフレッドもいる。家督はお兄様が継ぐことになっている。


 ロレンス様と私は互いの領地の経営のお手伝いをすればいいんじゃないかとなっていた。


 でも、ロレンスに上位貴族からの縁談がきたという。それは断れないよね。だって私たち下位貴族だもの。


 この世界では優先されるものがはっきりしている。王族、上位貴族は絶対的支配者だ。


「決して君が嫌いとかじゃないんだ。本当に結婚するつもりでいたんだ」

「大丈夫。わかっているわ」


 ロレンスはできるだけ私を傷つけたくないから言っているだけだ。目が泳いでいるの見ちゃったし。噂に聞くと、エリザベス様は金の髪と青い目が美しいナイスバディの方らしい。それにね、エリザベス様は不遇だったって聞くし、ロレンスが本気で好きならそれが一番いいと思うのよ。


 そうそう、あの時もそう思ったのよね。というか、何思い出しているんだろう。なんか変。私、何か変よ。どういうことかしら。


「君の幸せを祈っているよ」

 ロレンスは済まなそうな顔をした。


「ありがとう。ロレンスもお相手とうまくいくといいわね」

「婚約者のベラルント伯爵のエリザベス嬢は、人の痛みを理解できる優しい人だ。だから大丈夫」

「そう」


 なんだよ、また惚気るわけ? もういいわ。頭がグワングワンしてきたし、この話を終わりにしましょう。


 ロレンスがお相手のエリザベス様に惚れているのが伝わってきたのが、ちょっぴり腹立たしい。だって、私、一人になっちゃったんだよ。もう、どうしよう。おまけに具合がマックス悪い。


「僕が幸せにして差し上げたいって思う」

「あなたが情熱的になるなんて! ほんとうにエリザベス様がお好きなのね。お幸せに」


 嫌味を言ってみた。これくらいいよね。

「ごめん」


 やれやれ。どうしよう。私の婚約、なくなっちゃった。

 ロレンスとは、もうこんなふうに2人で会うことも、マリーと呼び捨てにされることもなくなるんだろう。


 幼なじみの幸せを聞いて、ちょっぴりセンチメンタルな気持ちになり、うらやましくもあり、もやもやとした気持ちが沸き上がるが、首を横に振った。


 ロレンスが幸せで、借金が無くなり、領民が幸せになるならそれでいい。エリザベス様と婚約がうまくいきますように。


 私は……。とりあえずうちの領地の正念場を超えなくては!

 空を見上げると、雲一つない青空。


 突然の婚約解消で、涙も出てこない。

 ロレンスとは縁がなかったんだなあ。お互い、貧乏同士だし。共倒れするよりよかったのかも。


 ああ、どうしよう。お父様はアントワーヌ子爵様から婚約解消のお話は聞いているだろう。お父様もショックだろうな。新しい縁談を探すお父様とお兄様の躍起になる姿が目に浮かぶ。


 私は大きくため息をついた。

 ちょっと、誰か、私を部屋まで連れて行って。具合が悪くてもうダメ。


 そうそう、それで、お父様もお母様もすごくショックを受けて、お父様がぎっくり腰になっちゃうんだよね。というか、なんで私、未来が予測できるの? 


 なんで? どうして? それから、お家断絶になるの。家族みんな死んでしまうのよ。いや、それだけはいや。何とかしないと。ああ、もう限界。無理。






 私は倒れてしまったみたい。

 ええ?ここは?


 やだ、自分の部屋じゃない。生きている。あれ、生きている。なんで?


 顔を触る。顔が、頭がついている。手で体も触れる。おかしいわ。死んだはずなのに。どうしてなのかしらね。


 首をひねって考える。うーん。分からない。


 だって、さっきロレンスに婚約解消を言い渡されたし。あれ、それって5年前のことだよね。


 んん? 5年前。そう、5年前よ。ってことは、ここは5年前なの? まさか。


 鏡を見ると、なんだか肌がプリンとしてる。それに、顔色もいい。服は、あらやだ。この服は古くなったから以前捨てたはず。なんで、着ているのかしら。


 ここが5年前のロレンスに婚約解消をされた時なら、私の作ったアクセサリーとか、大事なオルゴールはどうなったの?


 鏡台の上を探しても、文机の上を探しても見つからない。ってことは、やっぱりここって5年前?


 もしかして、戻ってきてしまったの? えええええええ!

 どうしてこうなった?

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