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お茶会のお誘いがきた

「マリー。すまないがお茶会に出てほしい」

「え?」

 お父様は気まずそうに私を見た。お母様も渋い顔だ。王都から帰ってきた2日しかたっていないのに、お茶会ですか?

 お茶会って、貴族のお茶会ですよね? うちみたいな底辺貴族にお茶会のお誘いが? え? それともヴィスワフ子爵夫人つまりお母様が開くんだろうか。いやあ、あり得ない。お茶会なんて行ったことはあるといえばあるけど、親戚のおばさんとのお喋り会だった。そういうのではないんだよね?

「ああ、えええと。つまり、王城で開かれるお茶会だ」

「はあ? 王城ってどうするんですか。私、服もありませんよ。マナーも不安です。断ってください」

「断れるなら断っている」

 お父様の言葉でリビングが静まり返った。

「うううう。そうですよね」

「ああ、断れないから、マリーに頼んでいるのだ」

 お父様の顔がこわい。怒らせてしまったらしい。ああ、ぎっくり腰が悪化しちゃう。

「あなた、ちょっと落ち着いてください」

 えええ、本当に私が行くんですか。役立たずですよ? まだお母様のほうが社交界に長くいたので、うまいのでは? お母様にお願いしてください。

「招待状で名指しされている」

 お父様は招待状を見せてくれた。本当だ。私の名前が書いてある。嫌な予感しかしない。王城と言えば王と王妃、あと王子だろう。

 首を落とすときに宣告したのは王子だ。話を聞いてくれなかった王。過去が私を襲う。

「あなた、マリーが震えている」

 お母様が私をやさしく包み込む。

「すまない。マリー、選択権はないんだ」

 前の人生の過去は過去だ。もう襲いかからない。私はこれからの人生を生きる。そう決めたのだ。

「わかりました。お茶会に出ます」

 しかし、お金があるのかしら。大丈夫なの? ヴィスワフ子爵家のお財布。ちょっと心配なんだけど。

 不安そうにしていたらお母様がほほ笑んだ。

「ドレスや馬車の手配は心配しないでよいわ。本家筋のタマシカ伯爵にお願いすることにしたの」

 大丈夫なんだろうか。タマシカ伯爵って偏屈じいさんで有名なんだけど。お金出してくれるの? 

「タマシカ伯爵から王宮からのお茶会の手紙が届いたんだよ。田舎だからとか辺境だからって断られないようにってな。ほんとうにそういう貴族仕事はうちの王族は上手いんだよな」

「お父様、不敬でつかまりますよ」

「こんな貧乏子爵家にカラスは来ないよ」

 お父様は笑った。

 カラスとは王宮にいる監察官のことだ。どこに潜んでいるのかわからない、顔も知られていない官僚で、あちらこちらに行って統治の具合を確認しているらしい。

 いやあ、いると思うよ。だって、鉄道敷いているんだもん。もうちょっと危機感を持ってほしい。それで死んだのだから。

 ついでに資材の取引先を決めて、ベラルント銀行に行って報告しないと。取引先の選定は急ぎだ。

「わかりました。では近日中に出立して、王都にあるタマシカ伯爵のタウンハウスに行きたいと思います。ついでに資材の取引先を決めて、ベラルント銀行に報告してきます」

 どちらがついでかは不明だ。本当に私がお茶会にでるのか。憂鬱になる。仕方がないよね。仕方がない。貴族的な言い方が苦手なんだよなあ。

 私は頭を抱えた。



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