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幕間:詢子とグリコと時をかけめぐる女(その7)

 チャッチャラ、――チャッチャチャラチャ。


 チャッチャラ、――チャララチャラチャ。


 チャッチャラ、――チャッチャチャラチャ。


 チャッチャラ、――チャチャラチャラチャラ――、ガチャ。


     *


 ――あ?もしもし?詢子さん?……そうです。樫山です。ええ、はい。原作者のほうの。


 ――え?聴きましたよ。もちろん聴きましたけれども…………え?ああ、いっしょに送られてきたキャラ表も見ましたよ。


 ――え?あー、見た目だけなら僕は漱子ちゃんですかね?…………“やっぱり好きだと想った”?――はあ。


 ――あ、いや、問題はそう云うところにはな…………ああ、男性陣っていうか詢子さんたち女性陣を男体化したほうのイラストも見ましたけ…………あー、こっちはこっちで鷹子さんがイイ感じですね、兄貴感が強くて。


 ――“カップリングもいろいろ考えてる途中”?どっちの?…………ああ、男体化されたほうの女性陣のね。“なんで女キャラが少ないんだ?”――ってそりゃ原作に出て来る男キャラが少ないからですよ。


 ――え?それはしょうがないでしょ?前半戦はあなたたちヒロインを軸にお話進めてたし、漱吾くんの交友関係は女のひとばっかだし、そちらのお兄さんは友だちいないんだから。


 ――うんうん。いやでも、いまでも登場キャラ増え過ぎて困ってるのにこれ以上…………なんでここに八千代くんとか坪井くんの話が出て来るんですか?“作者の愛情格差を感じる”?――そんなことないですよ。


 ――え?あー、はい。まあ、あのふたりは別の作品で単独ヒロインを務めていたこともあ…………“妙子さん”?“妙子さん”って誰でしたっけ?――って、あー、はいはいはいはい。“妙子さん”ね。


 ――うん?うんうん。分かる分かる。あれは私もちょっとやり過ぎたかな?とは想ってます。ねー、伊純さんのお話のつもりだったのが……え?“三人の中の順番”?なんの順番ですか?


 ――いやいやいやいや、そこは皆さん等しく対等に愛情持って書かせて…………はあ。いやいや、それは詢子さんの勘ちが…………あー、うん。そこは確かにそうでしたけれど――、


 ――いやいや、別に詢子さんのことを忘れているとかではなくて、やっぱり私的にもキレイなひとを書いてる時のほうが楽しいワケ――あ、ディスったワケじゃないですよ?


 ――あー、うん。ええ、はい。そりゃあ三人の中では詢子さんをいちば……ウソはだめ?正直に?……これ、絶対怒られるやつですよね?


 ――あ、じゃあ“愛情うんぬん”で言うからなんか変な感じになるのであって、“推しキャラかどうか?”って目線で答えるのでどうですか?……それでいい?


 ――えーっと?じゃあ発表の順番は……一位からで?……それはまあ…………グリコちゃん?ですよね?芸達者だし。


 ――そうそうそうそう。そこはもう立ち位置的に仕方ありませんよ、サブヒロインはああやって特徴付けないと埋もれちゃいますから。メインヒロインの詢子さんのほうが不利で……二位はどっちだ?


 ――そこはもう…………別に言わなくてもいいんじゃないですかね?っていうか言う必要すらないんじゃ……一応聞いておきたい?


 ――でもでも、やっぱり三人そろっての 《千駄ヶ谷ガールズ》なワケ……“御託は良いからはやく言え”?……それはもちろ……“ウソは付かずに正直に言え”?…………。


 ――あー、じゃあまあ……一位はグリコちゃん……ってのはさっき言いましたね。そうですね、はい。…………これ女体化された野郎どもも入れても――って、そうだ!想い出した!!


 ――“え?”じゃありませんよ、なんですかあのオーディオファイル…………いやいやいやいや女体化したのは分かりましたけど!


 ――うん?うん。たしかに泰菜さんの声がエロくて良かった――って違う!!


 ――うん?うん。たしかにBGMのピアノが切ない感じを演出――ってだから違う!!


 ――はあ?そりゃ怒ってますよ、怒ってなんぼって話ですよ。


 ――え?“なにをそんなに怒っているのか?”?――あのね、詢子さん?だーれが「百合アニメの予告編」を作ってくれって言いました?


 ――“こっちのほうが絶対受ける”?――知るかあ!書けるんなら最初っから百合展開で始めてるって話ですよ!!…………“BLにはしないのか?”――出来るか!!


 ――じゃあなんですか?君と伊純さんがゆるい感じにキャッキャウフフしたり、樫山先生と漱吾くんが傷付いたり傷付けられたり愛憎相半ばさせる展開を私にご所望ですか?


 ――“それはちょっと想像したくない”?でしょ?そこですよ、そこなんですよ、詢子さん。


 ――あなたの元旦那さんとか真琴くんの元恋人のあきらさんとか実際にそうだった人たちの話は実際にそうだった人たちの話として書けますけれどね、そーじゃない人たちの話をそーいうことにして書くってのは…………あ、いや、分かってくれたんならいいんですけど。


 ――あ、うん。僕も怒鳴ったりしてすみませんでした。


 ――あ、じゃあ、ごめんなさい。それでね、最初に頼んだほうのバージョンの音声データが欲し……そうそう。台本送ったやつ。あれを今度の幕間に流そうと想ってて、2バージョン録って…………え?


 ――“もういらないと想って消去した”?


     *



(続く?)


 ……、



 …………ブブブ。



 ………………グオン。



 ……………………シュン。



 ピンポーン。



 ……、



 …………、



 ………………、



 ……………………「あれ?」



 ピンポーン。



 ……、



 …………、



 ………………、



 ……………………「うん?」



 ドンドン!


 ドドドン!!


 ドドドドドドドド、ドッドー、


 ――ドンドン!!



 ……、



 …………、



 ………………、



 ……………………「――あれえ?」


     *


 ジジジジジ。


 ガチャ。


 ガラガラガラガラガラガラ。


 タン。


     *


「ねーー!!せんせー!!いるーー?!」


「にゃあ? (訳:朋有り遠方より来たる。亦た楽しからずや)」


「あれ?あんたひとり?――って、なんか前と違わない?」


「にゃ。 (訳:今に至りて學識英博、復た呉下の阿蒙に非ず)」


「ああ、なんや二代目かいな。――こんどは女の子なんやね?」


「にゃふ。 (訳:色物牝牡、猶知る能わず。また何の馬をか之れ能く知らんや)」


「ああ、怒んないや、そういう意味で言うたんちゃうし。――ってか先生は?」


「にゃあご。 (訳:遠きに行くには必ず邇きよりす)」


「へ?おらへんの?あの出不精がめずらしい。――長うかかるんかなあ?」


「にゃおぉん。 (訳:只だ此の山中に在らん。雲深くして処を知らず)」


「はあ、同居人のあんたにも分からへんの?――うーん?困ったなあ」


「にゃん? (訳:怨憎会苦?五蘊盛苦?)」


「あ、いやいや、借りてたマンガ返しに来ただけなんやけど――続きを借りよう想うて」


「にゃあ? (訳:求不得苦?)」


「そうそう。このマンガなんやけどね、やあっと京都編読み終わったから続きをね?――いやあ、いろいろあって忙しくってさあ」


「にゃあ。 (訳:其の鬼に非ずして之を祭るは諂ふなり)」


「え?上がってエエの?――じゃあまあ失礼しまーす」


「にゃん? (訳:寿ければ則ち辱多し)」


「うん?いろいろやってたよ。――中古の船改造してまたラリーに出たり、なんとかってお姫さんの結婚式プロデュースして大成功させたり、カジノでイカサマ見破って大儲けしたり――」


「ふにゃん。 (訳:之を知る者は之を好む者に如かず。之を好む者は之を楽しむ者に如かず)」


「そうそう。で、その勝ったお金でそこのカジノのスキヤキ食べたんだけどさあ、これがまたマズくって――“料金以下のマズイめしを食わせるレストランには代金を払わねーねんてのは”的なこと言おうにもアタシいまこんなカッコじゃん?そういうのってなかなか――」


「にゃおん。 (訳:犬はよく吠ゆるを以て良とせず)」


「あ、ごめんごめん。で、そこでこのマンガ想い出して――ほら、ほっそい目ぇしたお姉さんがすき焼き屋――あの頃は牛鍋屋って言ったんだっけ?――やっとったやん?それで斎藤さん編で止めてた続きを読み始めたんだけど、そしたら何巻やったかなあ?誰かがすき焼き――牛鍋食べてるシーン見て“やっぱ美味しいすき焼きたべたいなあ……”想うてね――」


「ニャー。 (訳:割正しからざれば食はず、其の醬を得ざれば食はず)」


「そうそう。それで“ここ”ならまだ美味しいすき焼き屋も残ってるかなあ?想うてさ。――マンガ返すついでに先生に訊いてみよう想うて」


「にゃにゃにゃん? (訳:肉は多しと雖も、食の氣に勝たしめず)」


「そりゃ教えてくれたら先生にもおごるつもりよ?――ほら、カジノで儲けた言うたやろ?」


「にゃ! (訳:公于祭れば、肉を宿さず)」


「へ?あんたも食べたいの?――あれネギ入っとるし味も濃いで?」


「にゃにゃん!! (訳:祭肉は三日を出ださず、三日を出でらば之を食はざる矣)」


「あー、まー、味付けしてないお肉だけなら大丈夫か。――なんやかんやであんたら肉食獣やもんな」


「にゃん! (訳:塩をつつ みて迎えたり 小狸奴)」


「あー、なら先生の代わりにあんた付いて来てくれる?――“こっち”はあんま知らへんから、あんたが案内してくれるんならあたしも助かる」


「にゃにゃにゃにゃにゃ!! (訳:自有五白猫、鼠不侵我書)」


「了解。了解。ならこっち来。抱っこしたる。――あ、そだ、あと“こっち”であたしのこと呼ぶときは……えーっとなんやったっけ?……あの牛鍋屋の――」


「にゃん? (訳:高山流水、伯牙善鼓琴?)」


「ああ、そうそう。それそれ。――その名前でよろしく」


「にゃん! (訳:詩歌に巧みに、糸竹に妙なる)」


「オッケー、オッケー。――なら行きますか」


     *


 ポワン。


 キュキュ。


 ヒュン。


     *


(続く)

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