幕間:詢子とグリコと時をかけめぐる女(その5)
「オッケー、じゃあ設定の確認ね」
「あ、その前に先輩。――やっぱり“女体化”はダメですか?」
「さすがにそれは――ほら、実の兄もいるし」
「でもお兄さんならやり方次第で“なに考えてるかよく分からないミステリアス美人”とかにも出来ますよ?――長身&メガネで」
「いや、言わんとすることは分かるけどさ」
「そこに陽キャで男にモテモテの漱吾さんをからませてですね――」
「あー、同級生で陰キャの兄さんにだけはツンデレってことね」
「そうそう。陰陽キャラの百合展開に持って行ってもぜんぜんアリでしょ?」
「兄さんのサイコパスっぷりが漱吾ちゃんを翻弄するワケだ」
「ぜったい漱吾さんチョロいですって」
「あー、ときどき垣間見せるやさしさにクラクラッと来てそのままいろいろ応じちゃいそうだもんね」
「でしょでしょ?」
「いやでも、その場合真琴さんどうすんのよ?――いまでも見た目は女のひとよ?」
「あー…………男装レイヤー?」
「おお?!」
「おっぱいは、ほら、初登場時の――」
「花嫁さんの格好してたときね」
「そうそう。あんな感じの巨乳にしておいて」
「あー、で、コスプレの時はサラシでつぶすワケか」
「そうそう。で、その男前っぷりに流石のお兄さんもドキドキしちゃうワケですよ」
「表情変えずに頬だけ赤くしちゃう感じね」
「そうそう。で、初登場はやっぱりウェディングドレスなんですよ」
「なんで?」
「結婚式場から逃げて来たんです。――“ぼく……”――じゃなかった。“わたし……やっと本当の愛に気付いたんです”とかなんとか」
「おお?!」
「で、気付いた相手ってのがお兄さん」
「あー、土砂降りの雨のなかを?」
「土砂降りの雨のなかを!」
「なるほどなるほど。――好きでもない男と結婚させられそうになっている美少女 (少女?)が、結婚式当日にむかし好きだった――愛していた高校時代の女の先輩を想い出して教会を飛び出すワケね――裸足で?」
「そこは裸足ですよ。――ガラスの靴は教会に置いて来ないと」
「あー、床に投げ出されたガラスの靴と遠くに見える“裸足の花嫁”ね」
「ガチャ!って自分で扉を開いて――」
「外の光が教会にはいり込んで来て――」
「で、彼女が走り出すのに合わせるように雨が降り出して来て――」
「未来に待ち構える困難を暗示するんだけど――それでも走り続けるんでしょ?愛するひとのもとへと向かって」
「そうそう!“時かけ”のクライマックスで真琴ちゃんが――“真琴ちゃん”?!」
「おお?!」
「やば?!なにこれ?偶然ですか???」
「これ絶対、奥○子さんに歌ってもらわないとダメなやつじゃん!!」
「え?え?じゃあ、お兄さんが千昭くんポジション?!」
「“なに考えてるかよく分からない”し“ミステリアス”だもんね――って、あー、あのメガネが功介くんっぽい!!」
「だったら、漱吾ちゃんにあのメガネをかけさせてですね――」
「たしかに。漱吾のほうが巧介くんっぽくはなりそうだけど――私いまの今までギャルで考えてたのよね、漱吾ちゃん」
「いいんじゃないですか?見た目はギャル――年齢的には“元”ギャルかな?――なんだけど、実は根はマジメな感じで」
「あーあー、で、ホントは自分も真琴ちゃんを好きなんだけど、ついついふたりの仲を応援しちゃうのね?――なに?いい子じゃん!漱吾ちゃん」
「原作 (男のほう)の設定とはちょっと離れちゃう気もしますけど、そこは本編優先ってことで」
「見た目ギャルだけどイザという時は頼りになるお姉さまになるワケか」
「そうそう。――この三人のトライアングル・ラブっで良いんじゃないですか?」
「え?でも、巧介くんにはなんかいたじゃん。部活の後輩的な――」
「千昭くんにもなんかいましたけど (そこら辺の女キャラまでは憶えてないです)、そこは“キョロ”辺りを適当に配置して――」
「あー、そうするとそれぞれの身長差が――ちょっと待ってねノート持って来る」
「さすがにキャラのセリフは本編から持って来ないと作者さんが怒るでしょうけど、こっちでナレーション作る分には許されるでしょ?」
「そうね。取り敢えずこれまでの回から使えそうなセリフを――語尾や一人称を女性用にするのも別にいいわよね?」
「どうせ私が三人分入れるんでしょ?許されますって」
「そうよね――だったら声も別に原作 (野郎三人組)に合わせなくてもいいかなあ?」
「いいんじゃないですか?お兄さんとか沢○みゆきさんぽくしてもいいわけですし」
「エロ過ぎない?」
「いやまあ、“ミステリアス”な部分だけでエロを強調する気はないですけど」
「そしたらなんかもう真琴さんも“真琴ちゃん”の声がいいような気がして来た」
「仲里○紗さんですよね?たしか」
「漱吾はどうする?」
「あー、あの関さんボイスは捨てがたいんですけど……あのままで出来る限り女性キャラっぽくしてみます」
「うーーん?なんか出来そうな気がして来たわね――その方向でやってみる?」
「是非!」
(続く)




