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幕間:詢子とグリコと時をかけめぐる女(その2)

「――って長いわ!!」


「ちょ、ちょっとグリコ、なによ?いきなり台本投げ出して?」


「なんスかこれ?長くネッスか?」


「確かにこの作者さんの書く物だから――」


「ってか、“あらすじ”っしょ?“あらすじ”っつったら、“粗い筋”なんじゃねースか?なにをどー読んだらコレが“粗い筋”になるっつんスか?意味分かんなくねーっスか?――っていうかオレ、いま東○仗助みたいなしゃべり方になってますね、スンマセンっス」


「いや別に、東方○助みたいなしゃべり方でも構わないけど――確かに長いうえに何が起こったのかまったく分らないあらすじよね、コレ」


「粗くはありますけどね」


「きっと推敲とかせずに送って来たんだろうね」


「と言うか、これだけ喋ってまだ第二話の冒頭ですからね?そりゃ腹も立つって話ですよ?」


「あー、まー、聴いてる分にはそれほど腹は立たなかったけど――だったらほかの台本にしてみる?」


「……ほかにもあるんですか?」


「いちおうA案B案送られて来てて――こっちのほうがやりやすいかもね?海外ドラマ風台本」


「“海外ドラマ風台本”?」


「ほら、それまでの回から見どころシーンをつなぎ合わせて見せるやつあるじゃん」


「ああ――“これまでの○○は……”みたいな?」


「そうそう」


「でもそしたら皆さんを集めないといけないんじゃないですか?」


「なに言ってんのよ?グリコ得意でしょ?他人の声まねるの」


「え?私ひとりでやるってことですか?」


「グリコなら出来るんじゃない?」


「そんなひとをモノマネ名人みたいに言って――」


「佐倉伊純!」


「“ちょっと詢子、いい加減冷蔵庫の中身片付けなさいって言ってるでしょ?――あーもー、グリコも。寝そべってアイスなんか食べないの!”」


「坪井東子!」


「“あ、先生。ここまた漢字間違えてますよ?ここは“対象”じゃなくて“対照”にしておかないと――もうもう仕方ないですねー、私のほうで直しておきますから、次はきちんとして下さいね”」


「あの赤毛の子!」


「“じゃあ今日は森永さんおひとりなんですか?――あー、でも、そーゆーひとりになる時間ってのも大事らしいですよ?

 ほら、昔のなんとかって賞を取ったなんとかってえらい人も言ってたじゃないですか――“そういう一人になる時間が大事”って”」


「完璧じゃん!」


「七色の声を持つ女――“七色グリコ”とお呼び下さい」


「男性陣は?男性陣」


「あー、どうですかねー?誰からいきます?」


「じゃあ先ずは兄さん」


「“そうそう。それから山岸とふたりで買い出しに行ったんだけど、その時にフェンチャーチの分の食べものをみごとに買い忘れてさ、仕方がないから僕の分の食べものをアイツにやったらこれが気に入ったらしくて――”」


「あー、なんかオチのない感じがそれっぽいけど――いつもはもっとバカっぽくない?」


「先輩はお兄さんを見る目が厳しからですよ――次は?」


「じゃあ――真琴さん」


「“じゃあ先輩、ぼくもそろそろ帰りますんで――え?そうなんですよ、鷹子姉さんが来てるって言ったら茄子姉さんも勝浦から来るって言い出して――、そうそう。だからこれから姉二人にはさまれながらあれやこれや問い質されることに――”」


「うーん?声質はなんか似てるけど――真琴さんもうちょっとキリッとしてない?」


「だから先輩は真琴さん見るときもちょっとバイアスがかかってるんですって――結構ナヨナヨしてますよ?あのひと」


「そうかなあ?――じゃあ漱吾は?」


「“なあ伊純、なにか食べるもんないか?”

 “あ、詢子ちゃん。戸棚のクッキーもらっていい?――あれ、美味しそうだよね”

 “あのな樫山、そう言うのを『ヤスヤマナキドウしてネズ――』…………え?あれ『タイザンメイドウ』って読むのか?!”」


「そっくり!! (爆笑)」


「ちょっと土井先生を混ぜてみました」


「時々モ○タロスも入るもんね、漱吾」


「私、漱吾さんの声だけはどストライクなんですよね――」


「あー、私も顔だけならストライクゾーンに入って来るんだけどね――」


「なにげにマジメに働いてますしね」


「物件的にはいい物件なんだけどね」


「いかんせん漱吾さんですからね」


「アイツの最大の欠点は“三尾漱吾だ”ってとこだもんね」


「なのでまあ、こんな感じでよければ“海外ドラマ風台本”も出来ますけ――あ、でも私“妙子さん”?の声って知らないですよ?」


「ああそっか、そうだね」


「だれか声優さんとか女優さんとかで声の似てるひとっています?」


「えっとね――あ、ほら、女版のゴー○トバスターズに金髪のひといたじゃない?あの吹き替え版の声に似てる」


「そんなニッチなところ攻められても――」


「ちょっと待ってググるから…………えーっと、あっ!このひとハ○レンのエドと一緒だ!」


「あー、はいはい。ちょっと男の子っぽい部分のある」


「そうそう。――声質はあんな感じで、それでよくしゃべる関西弁のイメージ」


「なるほど――。

 “ちょっとセンセ……起きて……起きてって……おい!こら!樫山!起きろ!この変態エロメガネ!!”

 ……こんな感じですか?」


「そうそうそうそう、そんな感じ。――さすがはグリコね」


「そりゃもう、七色の声を持つ女――“七色グリコ”ですから」


「うん。じゃあそれでいこう――台本持って」


「了解です!」


「じゃあ行くわよー。えー……さん……に……いち……アクション!!」



(続く)

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