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第六話:パンと胃袋と悩める乙女の救世主(その9)

〔証言その4:樫山詢子 (27)&森永久美子 (24)&佐倉伊純 (29)〕



「年齢を確認しろ?――ってなんですか?いきなり失礼な」


「どうしたんですか?伊純さん?」


「いやなんか、この作者さんが右の年齢が合ってるかどうか確認しろって言うのよ」


「年齢?」


「なんか私たちの年齢を把握してないっぽいのよね」


「え?あんなしつこく (**才)みたいなこと書いておいて?」


「きっと時間が経過するってこと忘れてたのよ。――でしょ?ちがう?……みんなの誕生日を書いたテキストメモがどっか行った?……バッカじゃないの?」


「それ結構大事なデータじゃありません?――ちょっとそのパソコン見せてくださ……うわ、デスクトップきったないですね」


「わ、ほんと、きったな。なんで、なんでもかんでもデスクトップに置いてるんですか?…………フォルダに入れるとどこにやったか忘れちゃう?詢子みたいですね」


「なになに?呼んだ?」


「あ、詢子」


「どうしたんですか?遅かったですね」


「駅前の本屋で新刊漁ってたらついつい時間が経っちゃってさあ――」


「この作者にしてこのキャラありね」


「自分の欠点までキャラに反映するの悪い趣味ですよね」


「は?なんの話?」


「なんかこの作者さん、わたし達の生年月日書いたテキストデータなくしちゃったんだって」


「で、PCからサルベージ出来ないか探してるんですけど…………先輩のPC並みにゴチャゴチャしてて――」


「ってか、キャラの生年月日なんか気にするひといるの?」


「なによ?あんたしないの?」


「そう言えば先輩がそーゆーノートとかメモとか取ってるのみたことないですね」


「だってあんま関係なくない?」


「いや、そうかも知れないけどさ、このシリーズずーっと年齢書いてるじゃん?なのに違ってたら、それはそれで気分よくないじゃん」


「そう言えば、私の年齢間違ってますよ?」


「そうなの?」


「そっか、グリコの誕生日って先月あったもんね」


「おかげさまで25才になりましたけど……ダメですね、やっぱそれっぽいファイル見付かりません」


「私の年齢は間違ってないわよ。’92年の3月生まれだから――伊純は?」


「私はクリスマスだから、まだ29で合ってる」


「じゃあ私だけですね」


「って言うかなに?そのためだけに呼ばれたの?ならもう帰っていいですか?さっき買った猪熊先生の新刊読みたいんですけど」


「あ、でも、本題は別にあるみたいよ」


「あーもー、このPCおっそいですねーー諦めようかなあ」


「いいよグリコ、作者さんの自己責任なんだからさあ――さっさと本題入ってさっさと帰ろ?私単行本派だから前回の続きが気になって気になって」


「だよね。――ってことで、本題お願いします」


「PCの件はまた改めて調整してあげますよ」


「――で?本題って?」


「ふんふん。“三尾漱吾をどう想っているか訊きたい”?――あのバカのこと訊いてどうするんですか?……“キャラの掘り下げをしているのだが、アイツのことだけはどーにもこーにもよく分からない”?」


「あー、確かに漱吾さんってよく分からない生き物ですよね」


「ってか、“あのバカ”ってだけじゃダメなんですか?――“ダメ”?“それじゃあキャラの掘り下げにならない”?

 なんかいっぱしのクリエーターみたいなこと言いますね。――こんな取っ散らかったお話書いておいて」


「ねー、キャラのお誕生日表もなくすしね」


「というか、なんで今回は私たち三人なんですか?」


「――三人?」


「あー、そうね。坪井さんには単独でインタビューしたんですよね?確か」


「そうそう。八千代さんもひとりで訊かれたって言ってましたよ」


「え?女子高生呼び出して話訊いたんですか?――なんか気持ち悪……“場所はいつもの喫茶店でまわりに人もいたから大丈夫”?」


「とか言いながら鼻の下のばしてたんじゃないですか?」


「あからさまに私たちより愛着持って書いてますよね?八千代さんとか坪井さんとか」


「あと、妙子さん」


「あ、あれビックリした。お兄さんの回想シーンに出て来ただけなのに全部もってちゃってるの。あっちがヒロインみたい」


「“妙子さん”?」


「ああ、グリコは知らないか」


「前回 (第五話)のクジラのシーンにいたでしょ?関西弁の」


「ああ、なんかやたらお兄さんと親し気だった?」


「そうそう。兄さんったらさ、あんだけ坪井さんにメロメロのくせにまーだ忘れられないみたいよ」


「ねえ?やっぱりお兄さんって坪井さんにメロメロなワケ?」


「え?伊純さん分りませんか?」


「兄さんの目見れば分かるじゃない。坪井さん見るときの」


「そう?お兄さんって表情が読みにくくてさあ――漱吾の半分でもハッキリしてれば分かりやすいんだけど」


「漱吾さんは漱吾さんで分かりにくいですけどね。大抵の女性に「あの顔」しますから」


「あー、ねー、あれは罪深いわよねー」


「詢子もやられかけたしね」


「え?なんですか?それ?」


「ちょっと!伊純!!」


「それがねグリコ、この子最初に漱吾と会ったときにさ――」


「ふんふん」


「もー、やめてよー。あれは私的にも結構な黒歴史なんだからさーー」


「いいじゃない。けっきょく何にもなかったんだから」


「まあ、漱吾さんって……うん?なんですか?…………“漱吾くんの「あの顔」とは何だ?”――作者さんのくせに知らないんですか?」


「あー、男の人に「あの顔」はしないもんね」


「真琴くんが最初やられてたけど『?』って感じだったもんね」


「あれは……なんて言えばいいんでしょうかね?」


「ただのニヤケ面ともちょっと違うのよね」


「うーーん?なんて言うか…………ま、でも、あれにダマされる?人も多いってことで」


「私たちには効きませんけど――あと八千代さんとかにも」


「だから、そうですね……。ってか、口じゃ説明し難いんで、こんどアイツが誰かを口説くときとかよく見てて下さいよ。――それで分かると想いますから」



(続く)

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