おまけ「おままごと」
「おまけというか、そのあと」が無いのであって「おまけ」はあるってコト!
ホワイトさんは語ろうとしませんでしたが、作者には無意味! ということでこんな感じのことがありましたのでお納めください。
これは純粋におまけってことでお遊び感覚で気軽に書いたものなので、話数には含みません! だから1章が24話という形は守れている!
「わ……わんわん」
「おーよちよちいいこでちゅねー」
なんだこの状況。なんなんですかこの状況。ここは地獄か。
わたしは四つん這いになって、少女に頭を撫でられていました。このお宅の長女です。まだまだ年端も行かぬ子どもも子ども。そんな子どもに赤ちゃん言葉で頭を撫でられる日が来ようとは……。
おままごとをやることになったわたしことホワイトですが、配役が人ではなくまさかの犬だったのです。
「いまご飯をあげますからねー」
「わ、わーん……」
これは喜んでいいやつですか? いいやつなんですよね?
いつも一人のときは硬いパンとか当たり前でしたから、こうして食べられるものを用意してくれるのはとてもありがたいですね。豊かな証拠です。
おままごとですけど。
「はい、どーぞ」
「わーお」
泥団子だー。食えねー。
しかし長女はニッコニコの笑顔でわたしの引きつった笑顔を見つめるばかり。これは期待されている。「食えるよね?」と全身のオーラで物語っている。
わたしの視線はテッカテカの泥団子とニッコニコの笑顔を行ったり来たり。
どうも見逃してはくれないようです。
わたしは意を決し、泥団子に手を伸ばして──
「わんちゃんはおてて使わないよ」
──ピシャリと一言、怒られました。厳しい。
……今一度決意を固め、今度は直接、泥団子に口を近づけて──食べました。その証拠に、泥団子が無くなっています。
「ちゃんと食べられてえらいねー」
「お、おいしかったわーん」
犬が喋っちゃったよ。でもこれはお咎めがなかったのでセーフのようです。基準がわからない。
もちろん食べたというのは嘘です。圧縮魔法で小さくし、食べたように見せかけたのです。長女には味見というものを覚えてもらうよう、あとで奥さんに吹き込んでおきましょう。
まさか戦い以外の場所で起点を効かせることになるなんて思ってもいませんでした。
すると、長女はおもむろにわたしの背中に跨ってきました。軽いのでいいですが、急にどうしたのでしょう。今度はなんですか?
「じゃあつぎはお馬さんね!」
「わたしは犬なのでは?!」
言っていて悲しくなります。
わたしの言葉は無視し、前方を指差します。
「はいよーゴールドー!」
「ひ、ひひーん」
シルバーじゃないうえにわたしはホワイトですが。ヒーヒー言いたいのはわたしのほうですよ。
四つん這いのまま部屋の中を行ったり来たり。キャッキャキャッキャと喜んでいますが、なにが面白いんこれ?
「そのままお外へ!」
「それだけは勘弁してください本当にお願いします」
こんな姿他の人には絶対に見られたくありません。
草を編んだ床に額を擦り付けてお願いすると言う、一生に一度あるかないかの懇願をせざるを得なかったのでした。
ってことで、これで本当に第5章はおしまいです。次章でお会いしましょう! またね!




