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もう一つの『ざまぁ劇場』~男の報復~

現代です。

クレリットの前世のパパン無双です。

Rー15の表現があります。

グロ表現はありませんが、結構がっつり現代風にざまぁしてます。

あと女性の性的職業や不妊を貶める表現があります。

苦手な方はバックプリーズでお願います。


『君クレ』の世界と何の関わりもないので、読まなくても全然大丈夫ですw

 男という生き物はバカな事を仕出かすもんだ、特に粋がっているガキの時は。

 乙羽が中学の時、色気づいたガキ共の何人かが、女子とキスができるかとかで賭けをしたらしい。

 その賭けの対象になったのが、真面目で大人しく学級委員だった乙羽。

 保護者たる親という立場がいない、というのも都合が良かったのだろう。

 廊下の曲がり角で、無理やりキスされたそうだ。

 他の目撃者も多数だった事もあり当然、学校側で問題となり男子生徒達は停学を食らったらしいが、その程度では多感な同学年の女子が許さなかった。

 彼等は卒業するまで、いや卒業しても同じ高校へ行った女子の口から、この顛末が高校中に広がり女子から一切口をきいてもらえなかったとか。

 まぁ、それはそれとして、そんなに賭け事が好きならとその男達には、俺の知っている闇カジノにVIP待遇で招待しておいた。

 抜けられれば立派に更生したのだろうし、ドツボに嵌るなら結局はそれまでだ。




 初物食いのヤリ逃げ男は、その趣味が祟って何度か警察沙汰になりつつも、親の権力に笠を着ての示談金や果ての恐喝で、のらりくらりと逃げているらしい。

 そんなに初物が好きなら是非自分で体験してもらおうと、男好きでSっ気のある野郎共を十人ほど募った。

 ヤリ逃げ男を拉致って、前も後ろも上も下も野郎共に輪姦(まわ)させ、その様子を無修正で撮影させた。

 解放する時に


「お前は恨みを買いすぎたんだよ、これを流されたくなけりゃ大人しくしとくんだな」  


 と釘を刺したのは言うまでもない。

 まぁ万が一何らかの対抗手段を講じてきたら、海外の好きモノにでも売ってしまおうと思っている。




 幼稚園時代の不倫も調べた。

 浮気で不倫され男と逃げられて、シングルファーザーになったばかりの男を心配して気にかけ、その園児の世話を焼くうちに男女の関係になったらしい。

 関係は四年続き結婚も間近かとなった時、フラリと戻ってきた嫁によってとんでもない事実が発覚する、男と嫁の離婚は成立していなかった。

 互いに記入済みの離婚届を提出するはずだった嫁は、それを面倒臭がり浮気男と時化込んでいたが、二人の幸せな様子に激怒し乙羽に五百万の慰謝料を要求した。

 要求を拒めば男の方に請求するという、その時の男は名の知れた企業に再就職が決まったばかりだった。

 乙羽は嫁の要求をのみ、その女が勧める街金で金を借りた。

 奨学金返済も抱えている二十五歳の小娘に担保もなく、そんな大金を一括で貸すような金融がまともな筈もない。

 元金は五百万だが、闇金の利子は年利40%を優に超える。

 派手ではない真面目な若い女はキャバクラやソープで働かせるより、デリヘルの方が稼ぐと考えたのだろう、裏有りなら尚更だ。

 乙羽のスマホのデータを専門家が調べれば、何処に所属の闇金か、何処と繋がる風俗か、分かる事は多々あるのだ。

 浮き沈みの激しい世界だが、運がいい事に(・・・・・・)そいつらは生き残っていたから、徹底的に潰しておいた。



 今は離婚が成立している元夫婦。

 嫁は独り身で男を渡り歩いていたから、ホストに嵌らせ散々貢がせた。

 組で使っている闇金に五百万借金させ、乙羽と同じようにデリヘルで稼がせるようにした、当然オプションは特殊なものも含めNGなし。

 ただ乙羽の時との違いは、本番を認めない事、本番行為を行えば罰金だ。

 さて、あの男狂いがいつ借金を返済できる事になるやら、一生底辺を這いずり回っていればいいと思う。



 で、男の方には俺が直接顔を出した。

 乙羽が嫁の要求で五百万の慰謝料を払った事。

 その借金を返すために五年もの間、裏風俗のデリヘルで働いていた事。

 そしてつい先日、他人の子供を助けて溺死した事。

 誰とも再婚する事なく男手一つで子供を育てていた男は、何も知らずに自分は捨てられたと思っていたのだろう、号泣しながら膝から崩れ落ちた。


「いつもいつも、乙羽は人の事ばっかりだ」


 その様は何もできない、否、何もしなかった過去の自分を見ているようで胸糞悪かった。




 さてクソ婚家共だが、こっちはマスコミにほんの少し正しい情報をリークするだけで状況がガラリと変わった。

 少年を命がけで助けた嫁の死を悼む悲劇の家族から、暴力的な舅に、無責任な姑、自分の親の介護を嫁に押し付け愛人に逃げている夫。

 そんな情報が流れたものだから、様々な方向からのバッシングは凄まじかった。

 案外、加減を知らない素人の方が、こんなリンチ的な事は歪んだ正義感に酔って収拾がつかなくなるのだろう。

 一気に婚家や愛人の個人情報がネット上で晒された。

 しかも、嫁いびりを見て見ぬ振りをしていた村ごと叩かれたものだから、近所からの接触どころか非難が始まり何せ狭い田舎の事、婚家の生活基盤が立ち行かなくなる。

 夫は会社をクビになり、愛人共々マンションを引き払い実家に戻る事になったが、この事がさらに婚家の村八分状態に拍車がかかる。

 二進も三進もいかなくなった婚家に、夜逃げを提案するのは容易かった。

 そう、ほんの少し遠くまで夜逃げしてもらっただけだ。


「お前、言ったじゃないか『この家が欲しいから、売ってくれたら逃がしてやる、逃亡先も用意する』って」

「逃がしてやったろう? 逃亡先もちゃんと南国のバカンスを用意してるじゃないか」


 着の身着のまま四人を砂浜に降ろし、両手足の拘束と猿轡と外した途端、夫であった人物は俺に向かって叫ぶ。


「ここは一体、何処だっ!」

「ん、ここはな、ある小国の諸島群でな、マフィアが見せしめにする時に使う無人島の一つだ」


 薬を打って気絶している間に運んできたが、目の前には物騒な物を持ったその筋っぽい外国人もいるし、船から島に降ろされたわけだから嘘などではないと分かるだろう。

 

「小国って、海外!?」

「マフィアって、アナタ」

「見せしめ、だと」

「お前、一体何者だっ!」


 それを今頃、問うのかと可笑しくなってくる。


「俺はな、由緒正しきヤクザで、乙羽の父親だ」


 四人の顔が一気に青褪める、ヤクザ、乙羽のキーワードで、これがドッキリでも冗談でもなく本気なのだと分かったのだろう。


「乙羽は天涯孤独だって」

「あぁ、俺も乙羽が死んでニュースで見て初めて知ったわ」

「あ、あたしは、奥さんに会った事はないわ、何も関係ないのよ! それに子供は!? 私の赤ちゃんはどうしたの」


 愛人には生後間もない子供がいた。

 乙羽に子供が出来ない事を、舅や姑、夫が散々詰っていたという情報も得ている。

 当てつける様に愛人との間に子供を作った事も。

 右近はヤクザ座りで、砂浜にへたり込んでいる夫と視線を合わせる。


「寝てる間に調べさせたが、お前、種ねーぞ」

「は?」

「子供とDNA鑑定したら、母親はアイツだが、父親はお前じゃねぇ」

「はぁ!?」

「つまりな、欠陥品だったのは乙羽じゃなく、てめぇだったって事だよ」

「うっ、嘘だ! 嘘だっ!!」

「あぁ、赤ん坊は気にするな。 前から欲しがってる夫婦がいてな、こっちで養子縁組しといた」


 もはやこっちの言葉など聞こえていないだろう。

 舅は砂浜に寝かされ砂まみれ、姑は座り込んで自分を搔き抱いている、夫は頭を突っ伏して砂浜を叩き続けているし、愛人はただオロオロしているだけ。


「五年後に迎えに来てやるから、それまでスローライフを楽しむんだな」


 そしてさも思い出したかのように、いい笑顔で言ってやった。


「ああ、島から泳いで出ようなんて考えない方がいいぞ。 この辺はマフィアの縄張りだと知ってるから現地人は近づかねーし、鮫がうようよいる海域だからな。 まぁガンバレー……乙羽は五年、頑張ったんだからな」


 五年、それが一体何の時間なのか、絶望を叩きつけて、四人を島に残し船に戻った。



「右近、イイノカ? アノ島ハ水モアレバ蛇ヤ蛙ナンテ食ベラレル動物ヤ野生ノばななナンテノモ生エテイル。 確カニ海ニハ鮫ガイルガ、島ニハ大シタ害獣ハイナイ。 上手クスレバ五年ナンテ生キ延ビル事ハデキルゾ」


 ちょっとした伝手で知り合ったマフィアのボスが、心配そうにそう告げる。


「はっ温室育ちな日本人を舐めるな、ナイフもライターもない島でサバイバルなんてできねーよ。 一週間持たねーんじゃねぇ」

「ソンナニ、ヒ弱ナノカ!?」

「今まで搾取しかしてこなかった奴等だからな。 男手一は動けねぇ、男手二は喪失状態、女手一は役立たず、女手二は身内でない上に裏切り者だ。 奴等にとって都合のいいサンドバッグがいない今、互いに殴り合ってくれると面白いんだがな」

「アンナ手間マデカケタノニ、ソンナ結果デイイノカ?」

「まぁ、万が一にも無事に五年生き延びたら、海に叩き込んで乙羽と同じように溺死させてやるさ」

「……多分、溺死スル前ニ鮫ガ来ルゾ」


 その視線につられて海を見れば、エンジン音を聞きつけ鮫が遠巻きに集まって、ボートの周囲を回遊しているではないか。


「……お前らが、餌やりすぎなんだろ」

「コレガ一番手ッ取リ早クテ、後始末ガ必要ナイカラナァ」


 マフィアのボスはカラカラ笑いながら、右近の背を軽く叩いて船内に戻っていく。

 右近は煙草に火を点け咥えながら、今はただの点となって見える島を暫く眺め、やがて自分も船内に足を向けた。




 クソ婚家共を島に置き去りにして、今日でちょうど一週間。

 右近は目を開け腕組みを解くと、懐から自分のスマホを取り出しアプリを開く。

 すると画面に四つの心電図が表示され、心拍を刻んでいた。


「へぇ、中々頑張るなぁ」


 アイツ等の心臓の心膜には、鼓動が分かるチップを埋め込んでおいた。

 ペースメーカーみたいに対処するわけじゃない、生きてるか死んでるかが分かればいいから、ペットに埋め込むみたいに長細い注射でやっといた。

 画面をおとしスマホを懐にしまうと、再び目を閉じ車の座席に深く背を凭れる。

 

「因果応報、自業自得、目には目を歯には歯を……精々長生きして、苦悩と後悔と恥辱に塗れ藻掻き苦しんで欲しいがねぇ」


 まさに極悪と言われるような笑みを浮かべながら、ぽつりと独り言ちた。

現代はこれにて終了です。

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[気になる点] 【妄想劇場】 ≪夫≫はそこそこ良い地位にいたようで、会社ごとマスコミに叩かれ、株価が暴落した。
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