生徒会室にて
放課後、後輩との約束を果たすために生徒会室へ向かった。
生徒会室に辿り着くと、既に我が後輩は部屋の中にいたのだった。
「珍しいな。今日は早いじゃないか」
いつもだったら藤平さんは最後の方に生徒会室に来る生徒だったのに、珍しいこともあるもんだと思った。
「エヘヘ。そんなに褒めても何も出ませんよ?」
「何かは出してくれ。そうでないと俺、このままこの学校で生活出来る気がしない」
このままエミと不仲のまま終わりたくなかった。……あれ? でも思えば、おじさんの了承を得ている今、そんなことを気にする必要ないのではないだろうか。
「何悩んだ顔しているんですか。まったくもう」
怒られた。
「先輩、一先ず……あたしは先輩とエミ先輩の間を取り持つことをすればいいんですかね?」
「ああ、そうしてくれると助かる」
「でも先輩、あたしエミ先輩と仲は別に良くないですよ?」
「えっ、女の子って皆友達ってわけじゃないの?」
「それは偏見です。というか、そんな偏見持っている人初めて見た。先輩、意外と世間知らずですね」
「褒めるな褒めるな。何も出んぞ」
「あたしは……先輩に何も出してほしくはないです」
なんだよそれ、寂しいじゃないか。
「だって、なんだかグロテスクな表現じゃないですか、それ」
「……?」
わからん。何を言っているんだ、この人。
「ああもう。先輩って本当に……。そんなんだからエミ先輩に避けられているんですよ」
思わず落ち込んでしまった。そんなにはっきり言わなくてもいいじゃないか。
「先輩、意外と落ち込みやすい人ですね。もっとクールな人だと最初は思っていました」
「それは偏見だ。そんな偏見持っている人、初めて見た」
「はいはい。話が進まないので、そろそろいいですか」
「うん、そうしよう」
と、言う茶番を経て、俺達はエミとの関係修復のための談合を始めたのだった。
藤平さんの指示で、俺は今日までのエミとの関係修復のためにしてきたことを報告した。藤平さんは最初から最後まで、なんでか不機嫌そうな顔で俺の話を聞いていた。
一体、何故なのだろう。
「え、先輩。エミ先輩の家に押しかけたんですか?」
「ああ、隣だからな」
藤平さんは、俺が最近起こした行動。エミの家に押しかけると言う行動に、大層驚いていた。
「なんでそんなに驚くの?」
「だって、それもう無理やり話せる状況作れているじゃないですか」
「でも、会えなかったぞ」
「じゃあ、次の日もう一度行けばいいじゃないですか」
「……またおじさんに会ったら、気まずい」
そっぽを向いて子供みたいなことを言うと、藤平さんが大きなため息を吐いた。
「先輩、もう一度エミ先輩の家に行ってください」
「えぇ、嫌だ」
「気まずいとかそんなこと言っている場合ですか?」
「うぐ……」
確かにそうなのだが……おじさん、ナイスガイだが怒ったら怖いんだよなあ。それでいてしつこい人とか嫌いそうだし……。
部活で帰るのが遅いエミが家にいる時間には、多分おじさんだっているだろう。
「先輩」
藤平さんの声が、いつになく真剣だった。まあ、いつになくとか言えるほど深い間柄ではないのだが。
ただ、顔を見れば彼女の真剣さは一層感じることが出来た。真剣な顔を……俺なんかのためにしてくれていた。
「……後悔してもいいんですか?」
また、それか。
彼女、これまで相当後悔してきたのか。後悔することを嫌いすぎだろう。まあ、俺も後悔とか好きではないが。
……ただ確かに。嫌なことを乗り越えないと、エミとの関係修復は出来ないのだろう。
うぅむ……。
やっぱり、駄目だ。だって俺、意固地なんだもの。そんな言葉一つで自分の気持ちを翻すほど、軽率な考えをしているわけではない。正しいか正しくないかは別として。
「わかりましたよ、先輩」
遂に藤平さんは折れてくれた。良かった。……本当に良かったのか?
「先輩、じゃあ選んでください」
「ん?」
ただ藤平さんは、どうやら転んでもただでは起きないガールだったらしい。
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