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転校することになったから、好きな彼女に本心を全て話そうと思う。  作者: ミソネタ・ドザえもん
関係を修復させたいが、関係は修復出来ないらしい。
13/21

昼休み、現れるあの人

 朝、エミと一緒に登校し、教室に辿り着いた。さっきまで楽しい気持ちでいっぱいだった今日だが、今初めて少しだけ憂いを感じていた。

 嗚呼、また今日も転校による惜別ムードが始まるのか、と。


 エミとじゃれていたせいでいつもより遅くなった登校。教室は廊下からもわかるくらい喧騒としていた。その中に入っていくのか、と思うと更に気が滅入った。


 ガラガラと扉を開けると、視線が一気にこちらに向けられた。

 始まる。少し覚悟をした。いつまでも慣れない惜別ムードが始まる。


 覚悟を決めるように歯を食いしばって、


「おめでとうっ! ツヨシ!」


 何故だか俺はクラスメイトから祝福されたのだった。


 ……これは、あれか?

 お前が転校するやったぜ! おめでとう! サヨナラ!


 的なことだろうか?


 だとしたら軽く彼らを軽蔑するし、何なら既に腸が煮えくり返りつつある。酷い! なんて酷い奴らだ!


「いやー、お前はやると思っていたよ。ツヨシ!」


 あまりよく知らない会田君が俺を褒め称えてくれた。そんなに褒めても怒るだけだぞ。


 そろそろ怒ろうか。

 そんなことを考えていた頃、


「いやー、まさかお前がエミ先輩と付き合うだなんてな」


 俺は先ほどまでの彼らへの無礼を詫びていた。

 

 ……。

 

 意地はってごべーん!

 おれが悪がったァー!


 頼むから、俺を船から降ろさないでくれ。


「って、なんで知っているんだよ。そのこと」


 しばらくして俺は気付いた。

 なんでクラスメイトは俺とエミのことを知っているのだろう。


 て、それも言ってから気付いた。


「なんでって、あんなにたくさんの人の前であんなにしていればね」


「確かに」


 ぐうの音も出ない。

 その通り過ぎる。


 さすがにあの状況ならば、吹奏楽部の皆から俺とエミのことは伝わっていくのだろう。


「いやあ、良かったよ。二人がキチンと結ばれて」


「ねー。ツヨシ君、転校する前に結ばれて良かった。おめでとう」


 いつか名探偵みたいな推理力を見せた女子達が祝ってくれた。


 み、皆……。


 なんて優しいんだ。彼らは。こんなに優しい彼らに対して、怒るとか言っていた糞野郎がいるらしい。


 ……。


 意地はってごべーん!

 おれが悪がったァー!


 そんなこんなで朝の一幕を終えて、授業が行われ、昼休みがやってきた。


 今日はどこで昼ご飯を食べようか。

 そんなことを考えながら、ぼんやりと外を眺めていた。


「ちょっとちょっと、ツヨシ君」


「へ?」


 一人の女子に呼ばれた。扉の前にいる彼女の方を見ると、そこにはエミが立っていた。

 クラスメイトが湧きたつ。完全なる野次馬だ。


「どしたの」


 俺は尋ねた。


「やっ、ツヨシ」


 少しだけ気恥ずかしそうに、エミは言った。


「お昼どうするつもりだった?」


「え?」


 どうするって、いつも通りだけど。

 いつも通り……あ。


「弁当忘れた」


 というか、いつもなら置いてあるはずの机に置いてなかった。母親め、俺のご飯を作り忘れたな。


「おばさんに言ったの」


 エミが言った。


「何を?」


「ツヨシのお弁当は、あたしが準備してますって」


「へえ」


 ……つまり?

 俺はこれから、エミの手料理を食べる。そういうこと?


 ほほう。


「行こっ」


 エミに手を引かれ、教室を飛び出した。

 背後からヒューヒューと俺達を茶化す声がした。

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