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恋と自販機  作者: 江菓
8/10

8本目 サイダー

 3時間目の授業中。夏のためプールが使われ、今はだれもいない体育館。そんな体育館の倉庫で備品整備をしているあいつの元へ行く。右手には一階の自動販売機で買ったばかりのサイダーを持っている。

 倉庫を覗くと丁度バスケットボールを出しているところだった。

「おーい!」

「あっ先輩。」

「頑張ってるなー」

「頑張ってますよ。」

「そんな後輩君に差し入れをあげよう!」

後輩君に持っていたサイダーを渡す。笑顔で「ありがとうございます。」という。のどが渇いていたのだろう、お礼を伝えるとキャップを開け、サイダーをゴクゴクと勢いよく飲んでいる。よく見ると後輩君のおでこや首筋には汗が流れている。風通しの悪い夏の体育館でいれば汗だくになるのも無理はない。

「先輩と同じ学校の先生になれてよかったです。」

「なんだよ急に」

サイダーのキャップをしめ、後輩君が唐突にそんなことを口走った。

「いや~先輩みたいに気が利く人がいないと俺たぶんここにいません。」

笑いながら後輩君はそんなことを言った。

「だろ~!」

「はい。あの先輩。」

「なんだ?」

「先輩って、彼氏とかいますか?」

「いや、いない・・・。なんでできないんだろう・・・」

「たぶん先輩の男勝りな所じゃないですか?気が利くところはいいと思いますけど。」

後輩君がバスケットボールの群れから一つ取り、磨き始めた。

 少しして、後輩君が口を開いた。

「先輩。」

「ん?なんだ?」

「・・・もし俺が、告白したらどうしますか。」

「後輩君が私に告白か・・・仕方によってはオッケー出すかな~!」

「なるほどな~」

「なに?告白してくれるの~?」

「どうでしょうね~」

二人で笑い合っているとチャイムが鳴った。

「あっ次授業だから!」

「頑張ってくださいね。」

「うん!後輩君もな!」

後輩君に手をふり、体育館を後にする。

「なんだよ・・・好きだから待つけど・・・遅いと私から行くからな・・・」

ニヤケそうになる顔をパンパンと叩き、授業の準備物を取りに職員室に向かった。

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