2本目 スポーツドリンク
部室で休んでいる裕也の所へスポーツドリンクを片手に走る。少し乱暴にガチャっとドアを開ける。裕也が褐色のおでこに冷却シートをぺたりと貼ってこっちを見ていた。裕也の周りには氷のうやタオルが置いてある。
「あっ真奈」
「あっ真奈じゃない!あれだけ熱中症には気おつけてって言ったのに!心配したんだよ!」
「ごめんって幼なじみのよしみだろ?」
「はぁ…次から気おつけなよ!はい、これ!」
「は〜い!おっさんきゅ!」
裕也に持っていたスポーツドリンクを渡す。来る途中にポケットに入っていた200円で自販機で買ったばかりの冷たいスポーツドリンク。裕也は自分のほっぺたに冷たいスポーツドリンクをあてる。
「あ〜つめたくて気持ちい〜!」
「よかった。」
「なにが〜?」
「元気そうで。心配して損した〜。」
「えぇ〜心配してよ〜!損じゃないよ!」
「もう!心配してるよ…いつも…好きだから…」
「えっ?」
「あっ…えっと…と、友達としてだよ!」
「あぁ〜なんだ友達としてか〜そうだよな〜」
「そうだよ!」
「だよな〜友達として以外ないもんな〜!」
あははと笑う裕也。私は心の中で友達以外ないのか…と少し辛くなった。
「あっ、そろそろ行かなきゃ!」
「わかった〜スポドリさんきゅ〜な!」
「うん!じゃ!」
そう言って部室を出た。扉の隣の壁に背中をつける。涙が出そうなのを必死に堪える。
「気付けよ…裕也のばか…」
「お〜い!真奈!今から準備だよ!」
「は〜い!すぐ行く〜!」
走ってほかのマネージャー仲間の元へ行った。