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リア0to10   作者: ウイクエ
5/8

第4幕 当日

翌日、嘉館家の食卓。


成人、水城がテーブルを囲み、冴沼と明日葉が側に控えている。


「いよいよ今日ね〜。ああ、緊張する!」

水城は椅子に腰掛けつつ、うずうずしている。


「仕方ないさ、僕だってかなり緊張している。でも、僕らは一人じゃない。お互いに支え合おう、これからも。」

成人は水城を励ます。


「うん、ありがとう成人!」

水城は表情をパッと明るくする。


そんな和やかな、カップルの様子をよそに。

「ああ……結局今日を迎えてしまったが、策は何もなし、か……」

冴沼はそわそわしている。

結局成人を振り向かせる策は、何も思いつかなかった。


「さて、そろそろ行くか。冴沼、車を頼む。」

「あ、は、はい!」

成人が腰を上げ、冴沼がそれに応じようとする。

その時、冴沼の頭にひらめくものが。


「そうだ、何故今までこんなことに気づかなかったんだ?車を運転するのは私、乗るのは坊っちゃま! ならばあれをやるしかない。そう……駆け落ち! むしろこれは、私にはできる! 水城様にはできない! 見てろよ水城様…… いや、フィアンセ野郎! これからは、私のターンだ!」



冴沼は(あくまで心の中で)高笑いをする。

「さ、私たちも行きましょう。」

「はい。……冴沼さん。」

「は、はい!」

行こうとした明日葉に呼び止められ、冴沼は姿勢を正す。


「今日はとても大切な日。くれぐれも、道を踏み外されることないよう……」

「は、はい! ……え?」

明日葉、水城はそのまま外へ出て行く。


場所は変わり、屋敷の外にて。

冴沼は車を支度し、成人を待つが。

先ほどの明日葉の言葉が、どうにも気になる。


「おいおい、まさか君澤さんに見抜かれている……? で、しかも今日に限ってSPもやけに多いとなると難しいな、かけ……」


「かけ、何だ?」

「ああ坊っちゃま! か、かけ蕎麦でございます。」

気がつけば成人が既に乗り込んでおり。

言いかけた言葉を冴沼は、ごまかす。


「何だ、食べたいのか?」

「いやー、今日はやけにSPが多いですね〜!」

「ん? そういえば、やけに多いな……」

なんとか話を逸らすことには成功し。

冴沼はほっと、安堵するが。


「は、はい! そうだ、今更何を迷っている!?

ここはもう、let's駆け落ち!」

「冴沼?」

「い、いえ! さあ、発進です!」

思わず一人言が漏れるも、冴沼は気をとりなおして発進させようとするが。


突如、近くで爆発音が響く。

「うわああ! 一体何だ!?」

冴沼が驚いていると。


男二人が車の中に乱入し、成人に銃を突きつける。

「さっさと出せ!」

「な、成人様!」

「聞こえねーのか!」

「は、はい!」

冴沼は成人の身を案じるが、心配している暇すら与えられず。


男の一人が命じるままに車を、発進させる。





屋敷の門の前に、火宮が立っている。

「気にするなとおっしゃりながら、このSPの数……やはりあの手紙は……」

と、考えを巡らせていると。

上尾が、血相を変えてやって来る。


「執事長〜!」

「何だ!? 騒々しい!」

いつも通り騒がしい上尾を、叱り飛ばす火宮だが。

上尾の次の言葉には、耳を疑う。


「ぼっ、坊っちゃまが……誘拐されました……」

「何!? お前は何をやっていた! ……いや待て、坊っちゃまについていたのは冴沼……冴沼め、側にいながら何をしていた!? あいつは今どこだ!」

火宮ははっと気がつき、冴沼はどこかと周りを見渡すが。


耳を疑う報告は、未だ続く。

「そ、それが冴沼も一緒に……」

「何!? 何故そんなことが起こった!」

火宮は興奮収まらず、問う。


「そ、それが……丁度坊っちゃまを冴沼が車に乗せた時に、どこからかすす爆弾が降ってきてSPがそれにかき乱されてる内に……」

「抵抗する間もなく車諸共……だと!? そんなことが理由になるか!」

()()()()()()上尾を叱っても仕方ないが、火宮は声を荒げる。


「俺に怒らないで下さいよ! そもそも、こんな厳重な警備が安安と突破されるなんて、おかしいですよ!」

「だが実際問題! ……確かに妙だな、一体どうして……」

火宮は一瞬、考え込むが。


「分かるわけないでしょ、俺に訊いたって!」

「もとからお前には聞いていない! それで、現場保存は?」

「あ、確かやったと……」

「思う、じゃないよ! 早くやれよ!」

「へい〜!」

上尾は素早く、現場へはけていく。


火宮は携帯を片手に、考え込む。

「会長にも知らせなければ。何を言われるか分かったもんじゃないな。しかし、何故この警備が安安と突破されたんだ?まさか……」

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