422
「それは子供とは未来そのものだからです。まずはこれが答えのひとつめです」と氷川さんは言った。
「ひとつめ?」
「はい。もうひとつ答えがあります。それはむーくんが私によく似ているからです。もしかしてむーくんには私と同じように『竜の声』が聞こえるのではありませんか?」と(満面の笑顔で)氷川さんは言った。
「竜の夢はよく見ます。でも自分が竜になるのではなくて竜と友達になる夢です。とても楽しい夢で、とてもリアルな夢です。でも、声は聞こえません。僕は竜とお話をすることができません。夢の中でも竜はしゃべったりはしません。ただ空を飛び、大地に降りて、水を飲みます。動物たちと友達になって、一緒に遊びます。そんな夢です」むーはいう。
「素敵な夢」氷川さんは言う。
「むーくん。あなたはすばらしい素質をもっています。今の心を大切にして自分の中でしっかりと育ててあげてください。それから、夢の中でお友達の竜に声をかけてあげてください。そして、竜の声を聞いてみてください。きっとむーくんなら竜の声を聞くことができるはずです」むーのスケッチブックを閉じて、むーにそれを返しながら氷川さんは言った。
「もう一つ質問いいですか?」くーはいう。
「はい。なんですか? くーちゃん」氷川さんは言う。
「氷川先生はどうしてそんなに綺麗なんですか?」と興味深々といった顔でくーはいった。
氷川さんは「まあ。うれしい」と言って、(太陽のように)にっこりと笑った。




