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「おーい、アリー」
私を呼ぶ声に振り向いた。
ノックの音がして、その窓には手で挨拶をする人影が。
どうやらみんなが家にやってきたようだ。
さっき起きたばかりで、まだ出かけるには早い時間なのに。
「アリー、行ってきなさい」
朝ごはん中のパパに頷いて、私は急いで玄関へ向かう。
「ああほら、サンドイッチ持っていきなさいアリー! 夕方には帰るのよ!」
ママにバスケットを持たされてからドアを開けると、ザリが私の胸に飛び込んでくる。
カミラがママたちに挨拶をして、さっき窓から覗いていたオレグが寄ってきて私の頭を撫でる。マーシャにフーゴに、マルク。エルザが居ないみたいだけど、今日もぞろぞろ大勢だ。
空を見上げると、まったくの快晴。こんなに晴れやかな日だ。どこか遠出でもするつもりなんだろう。
「今日はどこに行くの?」
私が尋ねると、オレグが親指で向こうの方を指す。
「隣町の丘だぜ」
続いて、フーゴがその肩に担いでいた釣り竿とレジャーシートを浮かせて笑う。
「ピクニック。それと釣りもどうかなって。オレグが言うから僕ん家からの荷物がこんなにさ」
「頼んどいて自分は持たないわけ? うわーオレグサイテー」
マーシャがからかい、フーゴが笑い、オレグが頭を掻く。
私もつられて笑みをこぼしていると、階段をどたどた駆け下りる音が聞こえた。ラウラだ。
それと、妹に無理矢理手を引かれて来た、眠そうなお兄ちゃん。
「お姉ちゃんわたしたちも連れてって!!」
もちろん私はオーケーして、二人に歯を磨くように言った。エドはぼさぼさ寝癖でかなり面倒そうだけど。
「遅くなってごめん!」
外の方から、遅れて来たエルザの声がした。
傍まで来た彼女の肩をカミラが迎え、さてようやく勢ぞろいか。
二人の準備ができると、いよいよお出かけだ。
マルクが隣にやってきて、私の手を引いた。
「行こう」
頷くと、私たちはパパとママに手を振って出発した。
最近はずっと雨続きで、みんなと遊べていない。
本当に久しぶりの外出日和に、私の胸は躍った。
今日もまた、素敵な一日がやってくる。
私は、あたたかな草の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。
それじゃあ、いってきます。