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メドゥーサ
目覚ましい進捗だ。
既にほとんどの大手奴隷商には根が回り、契約件数も長期契約で安定してきた。
軍備も奴らの指定限界まで整え、頭数はじきに五十となる。
資金も潤沢、万事想定通りだ。
力ある者を統べ、ハイラントフリートは今や王権すら口を噤む地位を占めた。
そのはずだ。奴隷産業と上級市民は、やつらにとっての腹肥やしに他ならない。王はこれに反発されることを望まないだろう。
更に我々と憲兵とが争う事態にでもなれば、防衛力の半壊は免れない。
実効的情勢は、完全に我が手中に堕ちた。
私は全ての手綱を、この手に握ったのだ。
あとはそうだな――
馬を駆るだけといったところか。