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これは復讐のお話
私は復讐者だ。
奴隷は躙られ、凡下は笑い、貴族は富む。
我らを鎖につないで殴り、穢し、売り飛ばす商人。買い取り先の貴族や小金持ちも同様に我らを凌辱する。
そして薄笑いの皮をかぶった偽善者どもは、ひとしずくの焦燥もなく安寧のうちに暮らしている。
他人の苦渋など露知らず。知ろうともせず。また知っていながらに虐げる。
いいや、そんなことはどうでもいい。
私の苦痛の前では、そんな不条理すら霞んで消える。
私は、奪われた。
私は、あの日死んだ。
私は、貴様らを許さない。穢れたその眼を許さない。
神すら許したその汚濁も、この手で必ず浄化して見せよう。
くだらない地上に、悲嘆の声を。
くだらない王国に、破壊の惨劇を。
価値無き世界に、死の雨を。
己の血液と無力にまみれながら、全ての命よ、消えてしまえ。
無様な豚共よ。
その盲目に篤と焼き付けるがいい。
翠眼の魔女、アウレリアの復讐を。