闇と腕と(仮)
ボチボチ書いていきます。
「ただいまーっ」
玄関に入ると、靴を脱いで階段を駆け上がる。
しかし、どれだけ駆け上がっても目的地に着く気配は無い。
上を見ると闇が広がり、先が見えない。
闇の向こうに何があるのかは分からないが、僕は駆け上がり続けた。
闇を目指して駆け上がっていると、突然闇の中から太い腕が2本現れた。
僕は駆け上がるのを止め、逃げるように駆け下り始めた。
後ろには2本の腕が迫っている。
上がる時は果ての無かった階段も、降りる時にはちゃんと目的地に着いた。
ホッとして、でも警戒しながら玄関のドアノブを握ろうとした時、僕の体は何かの力で押し倒された。
仰向けに倒れた僕の目の前には闇と2本の腕があり、僕の首に伸びてきた。
「イヤだーっ!」
そう叫び、腕を前に出すと、その手を温かいものが握る感覚があり、闇も腕も目の前から消え去っていた。
「翔太君、翔太君!」
呼ばれて目を覚ました僕の目の前には、心配そうな看護師さんの姿があった。
僕の手を握っていた看護師さんは、僕が目を覚ました事に安堵すると、
「大丈夫?」
と聞き、僕の額の脂汗をティッシュで拭ってくれた。
「悪い夢でも見たの?」
そう訊かれて、僕は頷き、息を整えるように深呼吸をした。
「どんな夢だったのかな?」
「腕に追い掛けられる夢。そして、首を締められそうになる夢」
夢の事を口に出した瞬間、吐き気が込み上げてきて、僕は起き上がり、掛け布団の上に嘔吐した。
胃液しか出ない嘔吐。
看護師さんは、何も言わずに僕の背中を摩ってくれた。
何度も何度も嘔吐を繰り返し、収まった頃には僕は疲れきっていた。
「ごめんなさい……ごめんなさい」
涙が後から後から頬を伝った。
「布団なら大丈夫!洗えば良いんだから!それよりも、この状態だと、食事も取れなそうだから、点滴打つからね」
看護師さんは、そう言うと、掛け布団を持って部屋を出て行き、再び入ってきた時には、点滴のパックなんかを載せたカートの様な物と点滴のパックを引っ掛けて歩ける物をを引いて来て、僕の枕元に吐瀉物を受ける容器を起き、手早く点滴を僕の腕にさした。
「吐き気止めも入ってるから、吐き気も少しは楽になるからね。あと、布団はちょっとだけ待っててくれるかな?すぐ持ってくるから」
僕が頷くと、看護師さんは、
「寝るの怖い?」
と心配そうに見てきた。
「怖いです。でも、起きてるのもしんどいです」
「それなら、ベッドの頭の方高くして、よし掛かっていたら良いわね。ちょっと待ってね」
枕元の物を近くの棚に起き、ベッドの足元に行くと、看護師さんは、何かを操作し始めた。
すると、上半身がゆっくりと起き上がり、ちょうど本を読んだりしやすい位の高さになると、
「これ位で良いかな?」
と、看護師さんは僕の側に来た。
「大丈夫?」
と言う看護師さんに、頷いてみせ、
「これなら、本も読めるし、ちょうど良いです。ありがとうございます」
と言うと、
「翔太君、笑顔素敵ね。これからもっとその笑顔見せて貰えるように頑張るね!」
と看護師さんは、嬉しそうに部屋を出ていった。
近くの棚から本を1冊出して読んでみる。
お気に入りの本。
本を読んでいる時は、苦しい事を忘れていられる様な気がした。
はじめましての方もそうでない方も読んで下さりありがとうございます。
上手く書けているか不安になります。
サブタイトルも満足に浮かばないしorz
着地点までとりあえず突っ走れるまで突っ走って、それから加筆なりなんなりしようと思います。
では、次の作品でお会い?しましょう。
ここまで読んで下さりありがとうございました。