七
学校にて、
「あー、誰か一の家に明日提出のこのプリント持ってってくれる奴いるか〜?」
担任の先生が教団でプリントをヒラヒラさせて、人員を募集していた。
放課後教室に残った少ない生徒の中に瀬川もいた。瀬川は、家も知ってたので快くその任を請け負った。
「はい、私が行きます」
「おーじゃあ頼んだ瀬川。明日までだってことちゃんと言っといてくれや」
「はーい」
プリントを受け取り、圭二の家に向かう。
圭二の実家のインターホンを押すと帰って来ていた華子が出て来て、
「あー多分今壱s...ごほんっ、池の方にいるんじゃないかしら?自由に歩き回っていいから、探してみて」
「ありがとうございます」
プリントは渡したが、圭二の顔でも見ていこうと瀬川は圭二を探しに最初に言っていた池の方に向かう。
(広いなぁ、桜の木もあるしお花見とか困らないなぁ...。あ、でも参拝客とか来るか)
そんな事を思いながら探す瀬川。
周りには参拝客や、カメラを持った人たち、外人の観光客が少しだがいる。さすがに大社と言うだけあって、それなりに信仰はあるみたいだ。
しばらく歩いていると、池が見えて来た。
策に手を置きながら、周りや遠くを見ると、ほとりに座る男の子の姿を見つけた。
「あ、圭二だ!........ん?」
見つけた瀬川は、目を疑った。
なぜなら池を挟んだ向かいの方に、“一人で„何かを抱いているかの様な格好をしている圭二を見たからだ。
「え、え?あれ?圭二...だよね...?え?何してんの?」
本気で困惑している瀬川はとりあえず、圭二を呼んでみることにした。
「けーじぃーー!!」
その声に気付き、圭二がパッと瀬川のいる方を見る。
あちらも不思議な顔をしている。
とりあえず瀬川は手招きをして圭二をこちらへ呼び寄せた。
圭二がやってきて、
「何でいるの?瀬川」
「何してたの?圭二」
二人でお互いの疑問を解こうとする。
まずは圭二の疑問から瀬川は答えた。
「私は明日提出期限のプリントを先生に頼まれたから届けに来たの」
「あーそれはそれはご迷惑をおかけしました」
「あ、いえいえ」
圭二がお辞儀をしたので、それに瀬川もし返す。
「で、圭二は?」
「僕は...、えーと...、あれは〜...」
圭二は何て答えればいいのか、悩んでいると、
「遠目からでよく見えなかったけど、何かに抱きついてなかった?その何かは見えなかったけど...」
「えーとね...、猫...そう猫だよ!」
「猫?」
「うん!あのぉ〜よく出るんだよ。あそこらへん!」
「え?でも猫なんて見えなかったような...」
「猫なの!」
「...分かったよ。そんな強く言わなくても...」
「あ、ごめん」
あまりに強く言いすぎて若干引いてる瀬川に謝る圭二。
その後瀬川と他愛ない話をして、瀬川を帰らせた。
見送って桜の木の下に行って木の上で景色を眺めている壱を呼ぶ。
「壱様〜、少し良いですか?」
「ん、待っておれ、今降りる」
フワッと圭二の目の前に降りる。
「あの、もしかしてですけど...周りには壱様って、見えないんですか?」
「うむ、もちろんだ。だがお前たち一家は霊感が強いので見えるし話せるがな」
「言ってくださいよぉ〜!僕一人で何かを抱いてる感じがみんなに丸見えだったってことじゃないですかぁ!」
「まぁ見えていたとしても、あんなところで何をしているのだ。って感じだがな」
「えぇ...」
「まぁ良いではないか、神を抱きしめるなど本来は出来ないぞ?」
「あ...えと...その節は本当に申し訳ありません...」
さっきまでしていたことが、だいぶ恥ずかしい事だと気づき、赤面する圭二。
「いやいや可愛かったぞ?圭二。またしても良いぞ?」
「うぅ...」