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今日は圭二は学校に行ったようで、本殿に一人でちょこんと座っている壱。


「ふぅ...暇だのぅ」


つまらなそうな顔で、本殿から見える木々を見つめている。

木々に止まった小鳥を呼び寄せ、手に止まらせる。


チュンチュンと鳴く小鳥の首元を指でくすぐる。

嫌だったのか、小鳥は飛び立ってしまった。


「昔ほど、人は家に籠らないのだな...。華子は働きに行き、圭二も学校とやらに行っておる...。おるのは雄二だけだが、妾の為に何かしておるようだし、邪魔できぬ...」


壱はまた大きなため息をついた。


「圭二は何をしておるのだろう...?」



一方圭二の方は、


「えー、ルイ13世は〜」


歴史の授業を受けていた。


(この時代だったら、壱様は生きているから、もしこの時代にこの国にいたら、実際に会ってるかも...)


なんて歴史と壱の人生を照らし合わせてみる。

そんな妄想をしていると、横から友達の瀬川(せがわ)という女子が話しかけて来た。


「ねぇ、何で最近学校休んでたの?風邪?」

「ん?いや違うよ」


この瀬川とは、高校からの友達で教科書やらを貸してくれたりする親切な生徒だ。


「何だよかった」



授業は終わり、昼休み。

別クラスの男友達の柴崎(しばさき)がやってきた。



「圭二〜、昼飯一緒に食おうぜ〜」

「ん」


圭二の席の周りの生徒は誰もおらず席が空いていたので、適当に座って弁当を食べる。すると瀬川も一緒に食べたいと言いだし、三人で食べることになった。


「圭二心配したぜ?一週間くらい学校来なかったからよぉ」

「まぁ色々身辺がごたついてな」

「家の方で何かあったの?」


『実は、神様が出てきて、命の契約結んだりしてたら一週間も休んでたんだよね〜』


(なんて、誰が信じてくれるんだ...)


「まぁ色々とだよ」

「変に隠すねぇ、怪しい...」

「やましいことは何もないよ、ちょっと飲み物買ってくる」


圭二はこれ以上追求されないために席を外す。

帰ってくると二人は特に話をぶり返すこともなく談笑していた。


学校も終わり、家に帰る。

圭二の家は知っての通り一大社でもある為、少し長い階段を登ることになる。

圭二は小さい頃からずっと降ったり登ったりしてきたので、まぁそれなりの体力はついている。

階段を上がりきってすぐ大きい鳥居が見えてくる。その先に本殿がある。

敷地内には、紅葉の木や桜の木、梅の木などがあり、四季を愛でるにはうってつけのスペースがあったり、池、竹が生い茂る所に一本道が通っていたりしている。

そのためか、参拝客や、写真を撮りたいというカメラ好きの人がよく来る。


その鳥居の下に壱が待っていた。


「壱様、何かしてたんですか?」

「いや、そなたの帰りを待っていたのだ」

「え?ここで、ですか?ずっと?」

「ああ、暇であった...そなたがおらぬとつまらぬのぅ...」

「はぁ...、それはそれはお待たせしました」


ぺこりと頭を下げて謝る。


「よいよい、して学校とやらはどうであった?楽しかったか?」

「いえ、毎日行ってるものなので、大して変化はないんですよ?」

「む?そうなのか...」


荷物を置いて、制服から部屋着に着替えて本殿に行き、壱と喋る。


「あ、そういえば、ここ一週間。壱様の為に休んだじゃないですか?」

「うむ」

「今日友達から、その一週間何をしていたのかって話をされまして、さすがに壱様の事について喋るのってダメ...ですよね?」

「そなたが話したいというのであれば、話すが良い、妾は一向に構わぬ」

「分かりました。では言わないでおきます」

「ん?話さんで良いのか?苦労するのではないか?ずっと隠し続けるのは」

「僕がそうしたいのです。壱様」


圭二は優しく微笑んでみせる。


「圭二っ!」

「ぅわっ!?」


急に抱きつかれ驚く圭二。と同時に壱をちゃんと支える紳士な対応。


「何だ何だ〜?妾を誰にも知られたくないと申すか〜?愛い奴よのぅ?」


なでなでと頭を撫でる壱。

嬉しいような恥ずかしいような顔をして好きにさせる圭二。

そんなことをしていると、


「あらあら仲良しでいいわねぇ」


華子が帰ってきた。

手にはスーパーの袋と買った商品がいっぱいだった。

荷物を持つため華子の方へ歩いて行く。


「帰ったか、華子」

「壱様、ただいま帰りました。今日はご飯は食べて行かれますか?」

「うむ、いただこう」

「じゃあ壱様、うちに行きましょう」

「うむ」


今日も壱は一家のご飯を食べて行った。


お風呂から上がった圭二が一大社の敷地を歩いていると、桜の木のある場所に行き着いて、桜の木の下にある木製の椅子に座って涼む事にした。


「ふぅ...」

「蒸気した頰が色っぽいのぅ、圭二や」

「っ!壱様」


上から声がしたと思ったら、壱が桜の木に登って木の幹に座っていた。


「よっ」


ふわっと木から飛び降り、圭二の隣に座る。


「いつもここに?」

「たまに登っているのだ。もう花は散ってしまったが、満開の時に登ると、それはそれは綺麗なのだ」

「ほぉ、それは是非僕も見たいですね...」

「まあこれから先いつでも見れる」

「そうですね、何てったって僕は壱様のもの、ですからね」


圭二がニコッと笑いかけると、壱もまた笑いかえす。

少しだけ、圭二は壱を可愛らしいと感じてしまった。


そろそろ戻ろうという事になり、壱は本殿へ、圭二は家に帰る事にした。


「ではまた明日、圭二」

「はい、おやすみなさい、壱様」

「おやすみ」


そう言って二人は分かれた。



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