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四十四

素戔嗚に連れられて、須佐神社に着いた圭二と紅は、素戔嗚に修行をつけてもらう事になった。

素戔嗚は二人を離れの山奥に連れて来た。


「んじゃ、まず手合わせだな、来い圭二」

「はぁ...」


素戔嗚は圭二に木刀を渡して、自分も木刀を構えた。

圭二は一呼吸おいて、素戔嗚に突っ込んで行った。


「........」

「おっ!(はや)いねぇ!」


圭二のスピードに難なく付いてくる素戔嗚。さすが武甕槌と互角にやりあえると言われているだけある。


「あっははは!壱もただ甘やかしていただけじゃないみたいじゃないのぉ!」

「........」


素戔嗚が楽しそうにしているのに対して、圭二はまるで素戔嗚を殺そうとしているかの様に、凄まじい剣幕で攻撃する。


(重い、そして思った以上に...疾い!)


組み合い始めてから圭二のスピードと攻撃の重さがどんどん早く重くなって来ている。


圭二は横薙ぎに木刀を振るうと、素戔嗚は刀を地面に突き刺してその刀を受け止める。

圭二は驚いて一瞬動きが止まった。


「ほいさぁっ!」


素戔嗚はその一瞬を見逃さず、突き刺した木刀に腕を反動にしてジャンプして、圭二を蹴り飛ばした。

蹴り飛ばされた圭二はすぐに体勢を立て直す。


「........」

(表情変わんねぇし、ダメージ受けてるのか分からんなぁ...)


圭二はまた素戔嗚に突っ込んだ。

と思ったら素戔嗚の目の前で消えた様に背後に回る。

素戔嗚は察知して背後に木刀に“横薙ぎ„に振るうと、圭二は先の素戔嗚と同じ様に木刀を地面に突き刺して、受け止め、素戔嗚を蹴り飛ばした。


「ぅおっ!?」

「........」


素戔嗚は自分と同じ様に攻撃して来た圭二に驚きながら蹴り飛ばされていく。

圭二は飛ばされた素戔嗚に見向きもしていない。常に何かを考えているかの様に上の空というか、そんな雰囲気。


(おいおいこいつ...取り込んでやがらぁ)


素戔嗚は今ので分かった。

圭二は自分が受けた攻撃や相手の防ぎ方を全て取り込んで自分の物にしているという事に。

恐ろしいほどの観察眼と模倣の早さが、先ほどから圭二の強さが上がっていた理由だ。


(敵の戦い方が上手ければ上手いほど、自分の戦い方を高めていく。しかもただ見るだけでほとんど模倣される。それでも分からなきゃ受けて真似てくる...)


圭二は小声で何かを言っている。その後また素戔嗚に突っ込んで攻撃をする。


「ここ...右足...半歩、前へ」

「こなクソ!!」

(まだ成長しようてしてんのかぁ!?)


圭二の猛攻を防ぎながら、一瞬出来る隙を探す。

そして見つけて、素戔嗚が反撃をする。


「おらぁっ!」

「........」


圭二は素戔嗚の木刀を自分の木刀の根元から切っ先に掛けて滑る様に(つたわ)せて、ガラ空きになった腹部を木刀の柄で叩く。


「っ!」

「甘いねぇ、圭二ぃ!」


素戔嗚は圭二の攻撃を器用に膝で受け止めた。

素戔嗚はそのまま圭二を蹴って、間を取る。

木刀を下ろして、戦う意思が無いことを圭二に知らしめる。圭二もそれを察して木刀を下ろした。


「分かった、圭二お前さんは戦場にいたら一番に殺しておいたほうがいいタイプだ」

「........」

「その戦い方、誰から?」

「もちろん、壱様から。『ただやられるだけで終わるな、戦いは宝庫だ。奪えるものはすべて奪え』と」

「だよな、似てるよ。壱と、流石だ」


素戔嗚がそう言うと、圭二は少し嬉しそうに微笑んだ。

いつだって圭二を支えているのは、他の誰でも無い壱だったということだ。


「とりあえず、圭二のそれを活かしていこう。そんで、さらに上の段階を目指そう」

「分かった」


今後の方針は、圭二のランクアップということになった。


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