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四十

時刻は朝4時、空はまだ暗い時間。

圭二は静かに起き上がり荷物をまとめて、そっとコテージを出た。


「もう行くのかい?」

「っ!幸太郎」

「寝起きは良くてね。そんなことよりもう行くの?」

「まぁな、もうここにいる必要はない。世話になった」

「あっ!」


圭二はその場から跳んで消えた。

幸太郎は置いていかれて、まだもう少し話を聞きたそうにしていた。


身にまとった黒い布をたなびかせながら、木々を伝って走る。

眠って疲れを取ったからなのか、すぐに山を越えられた。


(体が軽い、幸太郎と瞳子には感謝しなきゃだな)


あとどれくらいかを考えていると、圭二は背後に誰かが立った気配を察知した。


「........」


後ろを見るととても嫌な、求めてすらいない知り合いがいた。


「お久しぶりね、圭二」


そこに立っていたのは、天照大神だった。




天照は壱を失くしてしまった圭二がどうなっているのかを聞いたところ、行方不明になったと聞いて飛んできたらしい。

天照は圭二を見て、


「随分と変わり果てた姿になったわね、圭二」

「別に何も変わっていないだろ」

「私が言っているのは、内の方ですわ」

「あ?」


天照は圭二に近づき、顔を近づけよく見る。


「あなた、壱を亡くしたショックでだいぶいけないところまで行ってますわね」

「いけないところ?」

「魔道って知らないかしら?神や神使が踏み入れてはいけないその名の通り魔の道。踏み入れればまず戻ってこれないと言われていますわ」

「それに俺が踏み入れそうだと?」

「ええ、あなたが今動いているのは何故?壱を殺した武甕槌を殺す為でしょう?」

「当たり前だ」

「ダメですわ。そういった負の感情が、魔道に導く要因になりますわ」

「で?あんたはそんな俺を止めに来たと?余計な事をするな、俺は武甕槌を殺す」

「変わってしまったわね...でも、まだ引き返せますわ。まぁ今日で説得できるとは思ってなかったし、これからの旅は私が同行しますわ」

「必要ない」

「まぁまぁ、色々便利だと思いますわ?私なんと言っても高天原最高神ですわよ?融通効きますわよ?」

「...分かった。好きにしろ」


圭二はしばらく天照と同行することにした。

天照は壱が死んでから初めて圭二に会って見た瞬間、だいぶ危ないと感じた。


天照が持っている能力の一つで、相手の内側を見る能力がある。本来それは嘘をついているかそうでないか、相手の行動の先読みなどによく使われる能力だったのだが、今回それを使って圭二の内側を見たらしい。


(魔道にだいぶ近付いていますわね...この子の中で壱という存在はどれだけ大きかったんですの?言葉遣い、雰囲気もまるで別人、もはやあれは執念と殺意で動いている様なもの...ですわね)


見えたのは、圭二を纏う殺意が黒い霧の様に見えた。すぐに治る様な代物ではないと察した天照は、武甕槌と対峙するその日までに圭二をどうにかする、そう決めた天照だった。


後ろを振り返ることなく圭二は天照に話しかけた。


「あんた、どうしてここが分かった?」

「誰かが私の領地に入ったらすぐ分かる様に結界を張っていましたの。それで分かりましたわ」

「領地...そうか、ここは三重か」


しばらく歩くと、伊勢神宮が遠くに見えて来た。

三重を一望出来るところまで山を登ると、海も見える。


「少し、私の社に寄って行きません?赤福、ございますわ」

「休んだばかりだ。そんな暇はない」

「まぁまぁ良いではないですか、それくらい」

「...少しだけだ」

「ありがとうございます」



圭二が了承すると、天照が先導して伊勢神宮についた。平日のはずなのに観光客はたくさんいる。

その観光客たちの真上を跳びながら進み天照大神の社、皇大神宮についた。

中に入ると、懐かしい二人がいた。


「よぉ圭二」

「久しぶり」

「大国主様、紅...」



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