三十一
学校帰りに華子から連絡があった。内容はジャガイモを買って来て欲しいとの事だった。
帰りにスーパーに寄り、ジャガイモの入った袋を片手に石段を上がると、頂上に壱が立っていた。
だがなにやら慌てているご様子。
「おや、これまた嬉しいお出迎えで」
「け、圭二!雄二の気が触れた!いきなり庭で火をつけ出した!」
「え?」
壱に連れられるまま庭に行くと、雄二が火を焚いていた。キャンプ用のコンロに。
圭二はすぐに状況を理解して、壱に説明をする。
「えーと、あれは別に家を燃やそうとしているのではなくて、バーベキューをするためですね」
「ばーべきゅー?」
「焼肉ですね。あれにお肉や野菜を乗せて焼いて、食べるんです。美味しいですよ?」
「む?あれは料理の一種か?」
「そうですね」
そんな会話をしていると、華子が来てジャガイモを持って行った。ジャガイモはじゃがバターにして食べるみたいだ。
そして準備が出来て華子が呼びに来たので、庭のベランダにみんな集まった。
「ほいではバーベキューをは〜じめましょー!」
「「いぇーい!!」」
「おー...」
壱は一家のノリについて行けずとりあえず、ノってみる。
肉を焼く当番は圭二と雄二で、待ってる壱と華子は酒を飲みながら談笑していた。
肉を焼いた圭二が肉を一つの皿に乗っけていく、それをどんどん食べて行く。
一口食べて壱はとても幸せそうにお肉を食べている。
「うま〜」
「そりゃよかったです」
「満足してもらえたみたいでよかったわ〜」
「いつもよりちょっといいお肉使った甲斐があったな!」
パクパク食べて行く壱、その食べっぷりにつられてみんなも食べて行く。
のだが、
「買い過ぎた...」
「以外に余ったな」
「........」
壱の為と思い大量にお肉を買ってしまったのが仇となった。そもそも壱は女性だったのでそこまで胃は大きくなかったのだ。
「食べ物を残すと保食神に怒られるからな」
「保食神?」
「食の神だ、助っ人を呼んでおいた。もう少しで来るであろう」
「助っ人?」
「いきなり呼ぶんじゃねぇよ」
「焼肉、久しぶり」
突然空中に襖が現れ、開いたかと思うと大国主と紅が出て来た。
突然のゲストに驚いた一家。
「大国主様と紅!?」
「久しぶりじゃねぇか圭二」
「圭二も、久しぶり」
壱が呼んだ助っ人とは大国主と紅の事だった。
現れ方が特殊過ぎて驚いたが、焼肉パーティーは再開した。
「じゃがバター出来たけど、食べるのかな...?」
「食べると思う、紅、大国主様じゃがバター食べますか?」
「食べるわ。もう腹減ってんだわ」
「食べる」
人数が増え、賑やかになって来た。
壱、大国主、華子、雄二の大人組は世間話に花を咲かせ。圭二、紅は同い年ながら話を弾ませた。
「学校、楽しい?」
「まぁね、それなりに楽しいかな」
「いいな」
「行きたいなら来ればいいじゃん」
「大国主様いるから」
「ま、紅のしたいようにすればいいさ」
作ったシメの焼きそばを食べ終えて、二人は大人組の会話に入るのも面倒だと思い、道場へ向かった。
組手をして食後の運動を始めるつもりだった。
「そんじゃ行くよ」
「来い」
圭二と紅は組手をしながら、会話を続けた。
「ねぇ紅」
「なんだ」
「大国主様といれて幸せ?」
「当たり前」
紅は圭二の顔めがけて蹴りを入れるが、圭二はそれを受け止め、足を掴んだまま投げる。紅が受け身をとってまた圭二に突っ込み、正拳突きをするが圭二はそれを受け止め二人の動きは止まる。
「圭二は壱様の事好き?」
「...あ、えっと...」
「嫌い?」
「この話は終わりっ!」
圭二は背負い投げで紅を投げ飛ばし組手を終わらせた。
その際ボソッと紅に小声で逃げたと言われたが、無視して家に戻った。
片付けは始まっていて、大国主たちも帰るという話になった。
「じゃあまたな、あー...いつだっけ?」
「はぁ...一週間後だ。また忘れたら紅に聞け。紅、一週間後に大国主と会う約束がある。覚えておいてくれ」
「分かりました」
「なぜ会うんです?」
「圭二は気にしなくてよい」
「........」
「...ただの世間話と確認しておきたいことがあるのだ。そなたを連れて行くわけにはいかないんだ。分かってくれ」
「分かりました、我慢します。紅と一緒に」
「そうだな、紅。その日は圭二のところにいてくれ」
「分かった」
そんなこんなで第一回焼肉パーティーは終了した。
第二回カミングスーン!(嘘)




