二十八
ちょっと刺激的な内容?になっています。
苦手な方はご理解願います。
圭二が目を覚ますと、壱の顔が至近距離にあった。
壱はすでに起きていて、圭二が目を開けてすぐに目が合った。
「おはよう圭二」
「おはようございます壱様」
時刻は16時になって空は夕焼け色に染まっている。遠くからはカラスの鳴き声が聞こえて来ている。
壱と圭二はソファから起き上がり、壱はそのまま座ってまだ眠そうにして、圭二は冷蔵庫の中身を確認する。
(んー...卵に、鶏肉、玉ねぎかぁ。よしっ!アレが出来る)
圭二は夕飯のメニューを“親子丼„に決めた。
早速作り始めるが、
「あっちゃ〜、醤油が残り少ないの忘れてた...」
あるにはあるのだが二人分作るとなると、心許ない量なので近くの店に、先に買いに行くことにした。
「壱様、ちょっと出て来ますんで、留守番してくれますか?」
「妾も行く」
「あ、そうですか?じゃあ一緒に行きましょう」
「うむ」
石段の手すりに乗って滑る壱の手をスピードが出過ぎない様に繋いでおく。
壱は手すりを滑るのが好きらしい。一回もつっかえたり止まらずに行くと、少し嬉しそうに地面に降りて満足気になる。
そのまま手を繋いだまま店に向かう。
「醤油〜♫醤油〜♫」
店に着き、壱は楽しそうに繋いでる手を大きく振る。圭二は好きにさせながら調味料コーナーで醤油を探す。
「あ、圭二あったぞ!」
「じゃあそれ取ってください」
「うむっ!他に何か買うものはあるのか?」
「んー...アイスでも買いましょうか?」
「あいす?」
「冷たいお菓子ですね、食べたことありませんか?」
「氷菓子のことか?」
「それです」
アイスのコーナーに行くと、壱は不思議そうに見ている。
今更だが壱の格好は大分刺激的な格好をしているので、圭二は自然と真後ろに立ってしまう。
「圭二、これは?これは何の味がするのだ?それにこの...ばにら?は、何だ?」
不思議そうにしながらも楽しそうにアイスを選ぶ壱。そんな壱に圭二は丁寧に説明して行く。
が、
「圭二のオススメは何だ?」
「僕は、これですね。ハー◯ンダッツ、少し高いですけど、美味しいですね」
「うぅむ、高いのか...。じゃあ他のものに」
「気にしないでください。壱様の初アイスという事なので、今日は奮発しちゃいましょう」
「ほんとか!?」
食べたかったのか、壱はとても嬉しそうな顔で圭二を見る。
壱と一緒にレジに並ぶと、壱がそわそわし始めた。まさかと思い、
「壱様、お会計してみますか?」
「っ!いいのか?」
「はい。これお財布です」
「お、おぉ...」
壱は圭二から財布を受け取り、レジで会計に挑戦する。
「966円になります」
「お、おぉ、少し待て、えっと...、ん?」
「壱様まずお札を出しましょう」
「おさつ?あ、この紙だなっ!?」
「はい、次は66円出しましょう、この前10円と1円玉を教えましたよね?」
「じゅ、10円玉を...6枚と、1円玉も...6枚っ!」
壱はたどたどしくお金を出すと、店員さんは優しく微笑みながら、お釣りを出してくれた。
壱は興奮して圭二に自慢して来た。
「どうだ!?圭二!出来たぞ!妾おかいけー?出来たっ!」
「はい、よく出来ましたね」
「んふふ〜」
圭二は壱の頭を撫でながらそう言うと、壱は嬉しそうにそれを受け入れた。
あの店員さん不思議な人がいるもんだと思っているんだろうなぁ。なんて感想を圭二は抱いた。
家に帰り、調理開始。
圭二が鼻歌を歌いながら料理をしていると、壱がまた後ろから抱きついて、圭二の肩に自分の顔を乗せてきて、まだ料理はできないかと確認しにきた。
「あとどれくらいだ?」
「まだもうちょっとかかりますね、お腹空いちゃいましたか?」
「うむ」
「じゃあ何か食べられるもの漁ってもいいですよ?」
「やだっ!」
そんなにお腹が空いているのなら間食でもさせようかと思って提案したが、それは拒否されてしまった。
「どうしてです?」
「圭二がせっかく作ってくれておるのに、もったいない」
「.......」
壱の理由に照れながらも嬉しくなってしまう。
「じゃあもう少し我慢してください。すっごい美味しいの作りますから」
「うむっ」
返事をすると壱が圭二の肩にグリグリと頭を擦り付けた後、またリビングに戻って行った。
(幸せだなぁ...)
ふとそう感じた圭二だった。
そして料理は出来上がり、壱はすぐ席に着いて親子丼を頬張り始めた。
「どうです?」
「んまいっ!」
「お米飛びましたよ、落ち着いてください。でも良かった気に入ってもらえて」
「圭二のくれる食べ物は全て美味しいなっ」
壱はすぐに食べ終わって、満足そうにお腹をポンポン叩いている。
その後アイスを食べると、また目を輝かせて感動していた。
夕飯を食べた後、お風呂に入っていると、テレビを見ていたはずの壱が一緒に入ると言い出してきたので、それを止めるのに体力を使った。
(まったくリラックス出来なかったけど...まぁいいか)
テレビを一緒に見ていると、もう23時になっていた。寝ようということになり、圭二は自分の部屋に、壱は本殿に帰る。
はずだったのだが、
「妾も圭二と寝る」
「いや、ベッド狭いですし...万が一落としてしまったら」
「大丈夫だ」
「でも...」
「寝る」
これ以上引き下がらないと思った圭二は諦めて一緒に寝ることにした。
(これはまた...)
圭二と壱の顔の近さは鼻先がもう少しで当たりそうなくらいの近さで、相手の吐息が聞こえるくらいだった。
同じボディソープを使ったはずなのに、それ以外でいい匂いがする。
(女の人の匂いってこんな感じなのかな...、というか、まつ毛長っ!唇ぷるぷるしてるし、肌もスベスベしてそうだなぁ、ってバカか俺!!??)
自分の良くない妄想が始まりそうだったので、自制した。
すると、壱が起きてしまった。
「ん、んぅ...?けぇじ?」
「あ、すみません、起こしましたか?」
「いや、ん...寒い」
そう言って壱は圭二の胸元に顔を擦り寄せてきた。
圭二は心臓がバクバク鳴っているのがバレてしまうと思い平常心を保とうと頑張るが、
「ふふふ、圭二の心臓、うるさい」
「そりゃあ、うるさくもなります...」
壱はジッと圭二を見つめた。その視線に圭二も気づき、壱を見つめる。
「.......」
「.......」
見つめ合って、何を合図にするわけでもなく二人は吸い寄せ合うように、唇を重ねた。
「...ん」
「.......」
思ったより長く重ね合っていたので、圭二が唇を離すと、壱の息は切れていた。
「はぁっ...はぁ...」
「い、いち...さま...」
もう一度、と言って圭二は壱の顔を手繰り寄せ次は少し強い大人のキスをした。
「ん...んぅ...っはぁ」
啄ばむような圭二のキスに、ところどころ漏れる壱の吐息が、圭二をどんどん深みにはめて行く。
(何だろう...この感覚、めちゃくちゃに壊したいのに、大事にもしたい...。堕ちていくのに、足元はフワフワと浮いているような...そんな感覚)
圭二はもう、何が何だか分からなくなっていた。
圭二は壱に馬乗りになって、お互いに見つめ合う。
窓から漏れる月明かりが壱の顔を照らすと、壱の顔は赤く蒸気しているのが分かった。息使いも荒くなっているが、苦しそうではなくどこか色っぽい。
「壱様」
「ああ...」
「駄目だって分かってるのに、抑えられない...。今拒んでくだされば、僕は...僕は...」
「圭二、良いぞ」
その言葉に圭二は蕩けるような笑顔で微笑んで、ゆっくりとまた二人唇を重ねた。
朝、小鳥のさえずりで目が覚めた。
圭二の隣には、まだ寝ている壱がいた。相変わらず綺麗な寝顔で。
昨夜の余韻に浸っていると、壱が起きた。
「ん、んうぅ...」
「壱様」
「圭二...?」
「はい」
「おはよう」
「はい、おはようございます」
壱はまだ少し気だるそうだった。
そんな壱のおでこにそっとキスをした。壱は欠伸をして、気だるそうにしている。
そんな壱を気遣って、
「まだ眠いなら寝てて大丈夫ですよ?」
「圭二も...」
「はいはい」
圭二はまだもう少しだけ寝たいと甘える壱に付き合って二度寝をする。
お互いを大事そうに抱きしめ合いながら...。




