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二十七

「じゃ、行ってくるね」

「ん、行ってらっしゃい」


今日の朝から明日の夜まで華子と雄二は温泉旅行で家を空けることになった。

朝から二人を見送ったあと、二度寝した。


圭二が目を覚ますと、壱が馬乗りになって圭二の顔を見下ろしていた。


「...?おぉ!?」

「起きたか?」

「え?あ...はい。あれ?今何時だ...?」


圭二は周りを見渡して時計を確認する。

時計の針は11時を刺そうとしていた。


「あー11時か...ちょっと起きるんで...」

「おお、悪いな」


壱は馬乗りをやめて圭二とベッドから降りる。

そこで気づいたが壱がいつもの着物ではなく、ショートパンツにTシャツというラフな格好をしていた。髪もいつものおろしているのではなく、後ろ髪を髪留めであげていた。


「珍しいですね、壱様のそんな格好と髪型」

「圭二と二人きりになれるということでな?圭二はどんなのが好きなのか聞いたら、華子がこんなのが好きだと言っていたから、用意してもらったのだ」

「あー...なるほど」

「で、どうだ?似合うか」

「新鮮で良いと思います」

「んふふっ...!」


壱は顔を手で抑えながら嬉しそうにしている。

そんな壱を落ち着かせながら、部屋を出て行く。


「さて、洗濯でもするかなぁ」


そう言って圭二は洗濯をし始める。洗濯機に服を入れて洗濯が終わる時間まで待つ。

するとソファでテレビを見ていた壱が圭二を呼んできた。


「圭二、ちょっと来い」

「はぁい?」


ソファの背もたれ側から身を乗り出して壱の顔を覗き込んだ。すると、チュッと頰にキスをしてきた。位置はその後何もなかったかの様に澄まし顔でテレビを見続けた。

突然のことで呆けていた圭二がやっと正気を取り戻した。


「はっ!な、何するんですか!?」

「遅かったな反応」

「びっくりしたぁ〜...何に影響されてるんですか?」

「今やっていたのだ。恋人に今のをされるのが嬉しいらしい」

「...いやこれ僕が、やる側ですよ」

「む?そうなのか?」


壱は何か考えている様な顔をして、


「じゃあ、はい」

「え?」


壱が圭二の方を向いてきた。

一瞬どういう意味か分からなかったが、すぐ理解した。


「あ、え!?今のをですか!?」

「ああ、そなた今自分がやる側だと言ったであろう?」

「え、でも今は...ちょっと...恥ずかしいですって」

「嫌なのか...?」


壱はシュンとして落ち込んでしまった。

慌てて弁解をするが全然立ち直ってくれない。圭二は諦めて、チュッと壱の頰にキスをした。


「...おぉ」

「なんでやれっていた本人が照れてんですか?」


壱は思った以上に恥ずかしかったのか顔を赤くしている。

圭二もつられて赤くなって、気まずい空気が流れ始めたところで、洗濯完了の音が鳴り始めた。


「あ!洗濯物干してきますね」

「お、おお。行ってこい」


恥ずかしさを紛らす様に洗濯物をベランダで干していると、壱が後ろから覗いているに気づいた。


「どうしたんですか?」

「.......」


何事か聞いた圭二に壱が近付いて後ろからギュッと抱きついた。


「お、おぉ...」

「.......」


突然のことで驚きはしたが悪い気はしなかった圭二は、そのままの状態で干すのを続ける。


「どーしたんですか〜?急に甘えて来ちゃって」

「...なんとなく」

「なんとなくって...」


壱の行動の原理に笑いながら、洗濯を終えた。

終えたところでちょうどお昼時だったので、お昼ご飯を作ることにした。


「圭二のご飯を食べるのは、初めてだな」

「そう...ですね」

「何を作るのだ?」

「焼きうどんですっ!僕の焼きうどんは定評がありますよ〜」

「ほほぅ!期待大!」


壱はソファで期待に胸を踊らせてぴょんぴょん跳ねている。

圭二も壱に振る舞うとあって気合いを入れて作った。

出来上がった焼きうどんと、サラダを食卓に並べて、向かい合って座る


「いただきます!」

「いただきます」


気になる壱の感想を、圭二は緊張しながら待つ。

壱は一口すすって、咀嚼して飲み込んだ。すると壱の顔がパァッと明るくなる。


「うむっ!うまい!」

「ほんとですか!?よかったぁ〜」


安心して自分も食べ始める圭二。

二人はお腹いっぱい食べて、ちょっと眠くなったのか食べ終わるとすぐお昼寝をしてしまった。




続きます

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