二十四
天照との戦いから二日経とうとしていた。
壱は未だ目を覚まさず眠ったまま。
圭二はそんな壱に寝ずに付きっきりで看病をした。紅に寝たらどうかと聞かれても、大丈夫だと言って断った。
そして三日目の朝、ついに壱が目を覚ました。
「ん...ぅっ!」
「壱様っ!」
目を覚ました壱が起き上がろうとしたので圭二は慌ててそれを止める。
再び壱を寝かせて、話をする。
「無事だったか圭二」
「はい、壱様やみんなのおかげです」
「そうか...、守りきることが出来なかった...すまない」
「そんな...壱様が最初に来てくれて、僕嬉しかったです」
「だが...」
壱が喋ろうとしたところに、圭二は壱の口を優しく口を閉ざした。
圭二は微笑み、首を横に振る。
「........」
壱は諦めて何も言わず黙った。
大国主を呼びに圭二はその場を後にした。
壱は天井を見上げて、戦いを振り返る。
(手も足も出なかった...。圭二を最後まで守りきれなかった。圭二は何も言ってこなかったが、妾に助けられたかったはずなのに...)
悔やんでいると、圭二が大国主と紅を連れて帰って来た。
「よぉ、調子ぁどうだぃ?」
「大国主、すまなかったな。迷惑をかけた」
「あー、俺が欲しいのぁ感謝の意なんだがな」
「...ふっ、ありがとう」
「あぃよ」
紅も心配そうにしていたが、大国主と壱との会話で、無事を確信した。
その後、大国主の診察の結果あと一日で問題なく動けるみたいなので、もう一日出雲大社で世話になった。
次の日の昼、帰る準備は整った。大国主がまた屋形船を出してくれるそうなのでそれで帰る。
二人は大国主と紅にお礼を言って、出雲大社を後にした。
「圭二」
壱の方を向くと、ポンポンと膝を叩いて呼んでいた。
その意味を理解して、圭二はそれに応じなかった。
「ダメですよ。怪我人に無茶はさせられません」
「無茶ではない。それに、妾がそうしたいのだ」
「いけません」
「........」
壱は寂しそうな顔で圭二を見る。圭二はしょうがなく壱に膝枕をされて寝転がる。
壱は満足そうにして外を眺める。圭二もつられて微笑む。
家に帰ると、華子が泣きながら迎えてくれた。一日もかからないところを四日もかけて帰って来た為、随分と心配したという。雄二も泣いてこそいないが、二人の無事を確認すると、安堵の表情を浮かべていた。
不眠不休で壱の看病をしていた圭二は、帰って来てベッドへダイブするとすぐに眠りについてしまった。壱も本殿で安静にした。
その日の夜、圭二は風呂に入った後、涼もうと桜の木の下に座り込んだ。
すると上から圭二を呼ぶ壱の声がした。
壱は降りて来て圭二の隣に座る。地面で汚いと言ったのだが、それでも動かなかったので圭二は諦めた。
「圭二、今一度謝罪する。こうなってしまって本当に申し訳なかった」
「そんなっ!謝らないでください。壱様は悪くありません。僕の自己管理がなってなかったんです」
「だが...妾も気にかけてそなたを見ておれば、あんなことには...」
悔やむ壱になんと言えば分かってくれるのかと考えた結果に圭二はあることを思いついた。
「じゃあもういいです。壱様が悪いということで」
「...すまぬ」
「てことで、明日僕に付き合って下さい」
「...ん?」
「明日、壱様が僕に一日中付き合ってくれたら、この件は水に流します」
「それで...許してくれるのか?」
「はい、もちろん」
壱は少々考えて、その提案を受けた。
「分かった。では明日そなたに付き合おう」
「ありがとうございます」
圭二は、壱に満面の笑みを浮かべた。壱もその笑顔につられて微笑む。
(明日は壱様とデートだっ!)
明日が楽しみで、圭二はすぐには眠れなかった。




