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十七

日曜日のお昼時、壱、圭二、プラス紅が道場にいた。

今回は圭二、紅が組手をして、それを壱が監督することになった。


「では、二人とも組手を始めろ」

「はい」

「........」


お互い向かい合って、相手に向かって跳ぶ。

腕同士をぶつけ合う、力勝負。

しばらく押し合い、後ろに飛んで互いに間合いを取る。


紅が圭二に走り出し、正拳突きを繰り出す。圭二はそれを避けて、カウンター。

だが、紅はそれを片方の手で受け止めて関節技を決めようとしたが、圭二は上手くすり抜けて掌底打ちを脇腹に打ち込む。

よろけたところをさらに追撃で蹴り飛ばす。


吹き飛んで転がって行く紅。

紅は何とか体勢を立て直し、起き上がる。

もう一度圭二に突っ込もうとしたところを壱に止められる


「そこまで!」

「っ!」

「はい」


いつの間にか壱の横には華子が立っていた。


「お昼ご飯にしましょ?」

「うん」

「うん」


3人とも道場を出て、家に入る。

リビングのテーブルには壱、紅の椅子も並べられていて、二人がちゃんと馴染んでいるのが分かる。


各自座る場所に焼きそばが並べられていて、みんなでいただきますをして食べ始める。

すると華子が何かを思いついた様に話を始めた。


「そうだわ!紅ちゃん今、私の服を着てるじゃない?」

「うん」

「今日日曜だし、近くのショッピングモールで紅ちゃん用に服を買おうかと思うんだけど、どう?」

「いらない。悪いし」

「お金の事なら心配いらないわ!私がしたいのっ」

「........」


断られても食い下がる華子に、申し訳なさそうにする紅。

そんな紅に圭二は、


「悪い紅。お母さん、娘が出来たらこういう事したかったみたいなんだ。ここは首を縦に振ってほしい」

「...わかった。じゃあ頼む」

「やったぁ!じゃあ食べ終わって準備したら車で行くわよ〜!圭二、荷物持ちで付いて着なさい」

「え!僕も行くの...」


巻き添えを喰らって面倒そうにする圭二。圭二は今日を壱と過ごそうかと思っていたらしい。


「壱様は、行きませんか?一緒に」


圭二はどうしても壱と一緒にいたくて、聞いてみる。すると、


「ん?妾も行って良いなら良いが」

「良いですとも!行きましょう!良いでしょ!?お母さん!」

「ええ、大丈夫よ」


そんなこんなで、圭二、壱、紅、華子は、車で街に向かった。

休日ともあって人はたくさんいる。

圭二はまた壱の手を握って歩く。それがまるで自然の様に。


「あらあら〜ラブラブでいいわねぇ〜」

「こうしないと壱様ここら一帯更地にしかねないんだよ」

「...何があったの?ここで」

「いいな」


紅は羨ましそうに壱と圭二を見てる。

多分今度大国主としようとしているのかもしれない。


余談だが、紅の親の事とかややこしい事情は、全て正直に話して華子と雄二は納得して紅を家に滞在させている。

もちろん保護者が大国主なのも。


ショッピングモールに着いて、レディースファッションの階に行って、服を見ていく。ちょうど大特価セール中で、大量に買えそうだ。


「これとかいいんじゃない?」


と言って華子が選んだのは、白シャツだった。


「真っ白な紅ちゃんにピッタリだと思うな〜」

「下にスキニーパンツだね、シンプルな感じで行こうよ」

「そうね」


ファッションは、シンプルと決まったところで、どんどん選んでいく。


「赤のニットワンピと黒のストッキング〜」

「いいと思う。どう?紅」

「やだ」


気に入らなかったのか紅は首を横に振った。

華子が何故なのか聞いた。


「どうして?ダメ?」

「白がいい」


ファッションではなく、色が気に入らなかったらしく、白を推してきた。

もしかしてと思い、圭二が紅に耳打ちした。


「もしかして、大国主様が白が好きだから?」

「...うん」


紅は少し恥ずかしそうに頬を赤くして答えた。

好きな人が好きな色の服を着たい、そんな可愛い思考が紅にあったとは、圭二も驚いた。

だが、大国主の前の紅を見たら納得するものがある。

シンプルかつ、白を基調とした服を選んでいくことになった。


「はいっ!白のマキシ丈スカートに、(こん)のノースリーブ!」

「どう?」

「うん、いい」


どんどん選んでいき、買っていって、もう金銭的に限界になりもう帰ろうという事になった。

のだが、壱がいない事に気づいた。


「あれっ?壱様は!?」

「どこ行っちゃったのかしら?」

「探す」

「僕が探すよ。二人とも車の方へ戻って荷物置いてきて」


二人と分かれて、圭二は壱を探しにショッピングモールを走り回る。


(ちっ、無駄にデカイ...。全力で走ればもっと...、っ!あれは!)


今圭二のいる場所から大分遠いところに、壱がいた。

走って向かうと、壱が何かを見ていた。


「はぁ...、はぁ...壱様!ここにいらしたんですね?」

「おぉ圭二」

「探しましたよ?何を見てるんです?」


壱の見ているショーケースを見ると、アクセサリーがあった。

ピアス、ネックレス、指輪、ブレスレットなどが並べられていた。


「もしかして、欲しいんですか?」

「ん?あ...いや...」

「欲しいんですよね?」


もう一度聞くと、壱は小さく頷いた。

どうするかと悩んだが、圭二は買ってあげる事にした。


「どれですか?買いますよ」

「え?良いのか!?」

「いいですよ、どれです?」

「これ」


壱が選んだのは、ハート型のネックレスだった。

少し高かったが、壱は嬉しそうにしていた。圭二も壱の笑顔が見れて満足そうだった。


車に戻ると、華子が安心した様な顔をしていた。心配していたのだろう。

夜、紅のファッションショーをした。華子は嬉しそうにして、雄二も楽しそうだった。

紅はいっぱい可愛いと言われて、無表情だが嬉しそうにしていた。

圭二は、一人壱の元へ向かった。壱は珍しく池のほとりで歌を歌っていた。

池のほとりで歌うのが好きなのだろうか?圭二は池を挟んだ反対側で見つけたので、遠くから壱を呼んだ。


「壱様!」

「〜〜♫、ん?」

「いいですか?そちらに行って」

「良いぞ」


圭二はもう自分の身体能力に慣れて、跳んで池のほとりへ向かう。

圭二の手にはアクセサリーケースがあった。


「壱様、これ」

「おぉ、今日買ったやつ!」

「付けさせて貰ってもよろしいですか?」

「ああ、頼む」


そう言って長い後ろ髪をあげて、後ろを向く。

付けるために、首に手を回す。

壱のうなじは綺麗で、いい匂いがするし、肌もスベスベしている

付け終わって、髪を下ろそうとする壱の手を掴んで、止める。


「ん?圭二、どうした?んっ...」


壱のうなじに圭二はキスをする。

突然のことで驚く壱。

後ろを振り向き、圭二の顔を見る。

圭二はハッと我に帰り、申し訳なさそうな顔をする。


「壱様っ!すみません!失礼な真似を...」

「いや別に構わぬが、意外だな。圭二がこんな事をするなんて...」

「ごめんなさい...自分でも何故こんな事を...」

「構わんて、別に嫌でも無かったしな」

「それは...良かったです」


まだ申し訳なさそうな圭二のために、話をネックレスの方へ変えた。


「そんなことより圭二、ネックレス?だったか?この飾りは。とても気に入ったぞ」

「ほんとですか?喜んで貰えて嬉しいです」


そういえば、と言って圭二はポケットからもう一つリングのネックレスを取り出して、それを自分の首につけた。


「ん?そなたも買ったのか?」

「いえ、もともと二つで一つです。ペアネックレスというやつですね」

「なるほど...なんというかそれは...嬉しいな...!」


フニャッと笑う壱。

今までこんな笑顔を見たことのない圭二は、少し驚きながらも壱に微笑む。

二人の首元に光るネックレスは、二人の絆を表していた。


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