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過去
「歌音…ずっと黙っててごめん…歌音の彼氏が、しつこく迫ってくるの…言えなくてごめん。歌音が先輩に夢中な姿を見るほど、苦しくて…」
頭に重い何かが降ってきたような、そんな衝撃が走った。
でも私は何故だか安心していた。
これでもう、わたしはわたしを取り戻せるのだ、と安心した。
このとき、もう先輩は大学生。
高校では部活で活躍していた先輩も、都内の大学では、レギュラーになれずにいた、と別れたあとに噂できいた。
わたしは、浮気をしようとしたことよりも、わたしを虐げ続けた先輩を、ひどく憎んだ。
そして、わたしはそのまま3年生の春を迎えた。