過去
私には、恋愛をする意味がわからなかった。
それは、高校一年生の秋に遡る。
人生で初めての彼氏ができた。手も繋いだ。口付けも交わした。
ただ、それ以上は怖くて したくないというのが本音だった。
相手は二つ上の先輩。スポーツ推薦で入学した、学校で有名な先輩だった。
彼は、わたしを虐げることで欲求を満たすのが好きだった。
あれは、付き合って3ヶ月の冬。
先輩の部室に呼び出された私は、そのまま処女を捨てた。
苦痛だったことしか、覚えていない。
「先輩っ…やめて!!!」
必死の抵抗も、すべて彼の前では無駄だった。
「俺のこと好きだよな?」
そう言われると、なにも言葉がでなかった。
この人に捨てられたくない。
その一心ですべてを受け入れた。
この人に捨てられた後のわたしが怖くて、愛されなくなることが怖くて、もう何でもした。
それが、愛だと信じていた。
案の定、彼はどんどんつけあがり、わたしはもう奴隷と化していた。もう麻痺していた。
彼は、出来の悪いわたしを、SNSで非難した。
名前こそ出さなかったけれど、私にしか分からないように私を責め立てた。
わたしが少しミスをすると、わたしが泣くまで追い詰めた。
その代わり、わたしが尽くす姿を見ると、好きだよと甘い言葉を吐いた。
わたしは自分を狂うほどに責めた。そして、彼に褒められると狂うほどに舞い上がった。
「歌音、お前はずっと俺のそばにいればいいからな?」
まるで、聞き分けのいい飼い犬のように、わたしは彼のご機嫌をうかがっては しっぽを振っていた。
彼は、わたしを必要としている。そうに違いない。そう思うことで、脆い糸を必死に繋いでいた。
そして、付き合って一年半が経った春の日。
彼は、わたしの親友に手を出した。