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私には好きな人が二人います
浮き足立っていたのかも知れない。
恋人以外の人が自分を愛しているという、その状況に酔いしれていたのかも知れない。
あれが本物の愛だったのか、と聞かれると、はっきりと自信を持って 首を縦に振ることは出来ない。
それでいて、私はあの人を手離せずにいたのだから、どうしようもない。
自分のことを愛してくれる人がいるというのは、何とも人を弱くする。
いや、ちがう。
自分のことを ちやほやしてくれる人、だ。
二兎を追うものは一兎をも得ず、とはよく言ったもので、2つのものを手にしようとすると、その2つは自分を見限るようになっているのだから。
それでもあのときの私は、そのふたつをどうしても手離せなかった。