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004 精霊魔法使い、トラッセの順応

チートその二精霊魔法です

 あたいは、目の前のモンスターが控えていた。

 今回の仕事は、塔に住む邪悪な魔法使いの退治。

 現在は、その配下のモンスター達と戦いながら塔を進んでいる。

『サラマンダー』

 炎の精霊を召還して、一気に焼き殺そうとした時、後ろから声がした。

『シルフィード』

 風の精霊がサラマンダーを追い抜き、モンスター達を吹き飛ばして通路を確保する。

 振り返るとそこには、三歳になったコプンが居た。

「お仕事の邪魔をしないの!」

「えーでも、無駄な殺生を見逃すのは、善良じゃないよー」

 コプンの言い分にあたいは、頭を抱える。

 確かに無駄な殺生は、良くないだろう。

「それでも、力を無駄遣いしていたら、ボスまで保てないわ」

「それだったら大丈夫、あちきの魔力だったら無尽蔵だから」

 平然とそういうコプンは、あたいと一緒に居る間に精霊魔法の殆どを習得していた。

 精霊魔法は、精霊に好かれなければいけない特殊な魔法なのだが、どうも殆どの精霊になつかれまくっているらしく、制限無しで使いまくっている。

「これは、あたいの仕事。貴女の力を借りるのは、あたいのポリシーが許さないの」

「うーん、そうなの?」

 コプンは、寂しそうな顔をしながらも従ってくれる。

「今は、ついてきてくれるだけでも嬉しいから一緒に行きましょう」

「うん」

 嬉しそうな顔を見せるコプン。

 暫く歩きながらふと思ったが、そういえば前から襲撃が結構あるのに後ろからの襲撃は、無い。

 深く考えるのは、止めよう。

 だいたい、三歳児が普通に大の大人の後ろに歩いてついてこれる時点普通じゃないんだから。

 問題の魔法使いは、あたい達を見て怒鳴る。

「そんなガキを連れて何の冗談だ!」

「そうは、言っても宿とかに預けても色々と面倒なのよ」

 最近は、コプンの安全を気にするのは、止めた。

 あたいが指示する前に勝手に精霊達が守護に入るし、本人に居たっては、額の眼の一睨みで無力が出来る。

 そんな訳で問題なのは、撃退された追手の後始末。

 コプンは、良い子なので出来るだけ怪我させないようにしてくれるのだが、コプンが何かする前に攻撃してくる馬鹿の連中は、精霊の反撃で大ダメージを食らってしまう。

 あたいとしては、コプンに、幼い子供にいきなり襲い掛かる連中なんて死んでも構わないと思うのだが、一応は、祖国の兵士、ほっておくわけもいかない。

 あたいが慣れない回復魔法で癒してから開放している。

 そういえば前回は、コプンが全員治していたな。

 洒落抜きで日に日に出来る事が増えているな。

 そんなどうでも良い事を考えているとコプンがズボンの裾を引っ張る。

「あの魔法使いさんが話を聞いて欲しそうだよ」

「この手の奴は、最初いいたいだけ言ってるだけだから無視しても大丈夫よ」

 あたいの経験を語るとコプンが手を叩く。

「ああ、勇者が戦う前に色々意味不明な事を言うのと一緒?」

「そんなもんね」

 あたいが肯定するが魔法使いが怒鳴る。

「違う! 良いだろう! お前たちがその気ならば見せてやろう我欲の魔王に匹敵すると言われる強大な魔力を!」

 そういって長々と呪文を唱え始める。

「我欲の魔王に匹敵するって?」

 あたいが視線を向けるとコプンが眉を寄せる。

「別に気にしないもん」

 気にしている気にしている。

 まあ、そんな可愛い姿を眺めながら詠唱が終わるのを待つ。

『ヘルクリムゾンフレイム』

 ご大層な名前がついてるが、単なるファイアーボールだった。

 炎の精霊に頼んで消して貰う。

「ば、馬鹿な我の魔法を防ぐなど!」

「馬鹿なって言われてもね……」

 今回の依頼は、ある意味大当たりである意味論外だった。

 簡単なという意味なら当たりだが、依頼内容とは、全く異なる実態だった。

「さっさと終わらせて帰ってご飯食べましょうね」

 そういってあたいは、雷の精霊を召還して、あっさり問題の魔法使いを気絶させるのであった。




○あちき


 今日は、トラッセさんの仕事に付き合って塔に登っています。

 モンスターがいっぱい居る様ですが、あまり争う必要も無い様なので、ちょっと細工をした。

 塔全体を風の精霊さんにお願いして空気を凄く薄くします。

 そうすると、行動が制限されてあまり襲われません。

 それでも襲ってきたモンスターには、あちきが無力化しようとしたけど、トラッセさんに自分の仕事だからって止められました。

 あちきとしては、お手伝いをしたいんだけどなーと思っているとトラッセさんは、優しく声を掛けてくれる。

 こういう細かい気遣いが出来る人で助かってる。

 その後も、少し戦闘もありましたけど、平穏に塔の最上階まで着いた。

 でも、どうしてこういう人達って最上階に居るんだろうか謎である。

 あちきを見て文句をいって来るけど、トラッセさんが気にもしてないと怒り出して詠唱を始めた。

よくよく聞いてみるとおかしな呪文だった。

 何がって、呪文の大筋であるファイアーボールを発生させる呪文とは、全く異なる言霊が籠められていたからだ。

 魔王印を輝かせて思考拡張してチェックすると面白い事が解った。

 この魔法使い、魔族の良い玩具にされていた。

 下に居るモンスターもその魔族の物だろう。

 長々とした呪文の正体は、玩具にしている魔族に自分や術に巻き込まれた者の魂を捧げる者。

 まあ、魔法自体は、ファイアーボールだからトラッセさんは、あっさり無効化しちゃったけどね。

 こういった事を好きな魔族も魔王印の知識に入っている。

 我欲の魔王の配下の一人。

 気をつけてみてみるとそこかしこにこっちの魂を掠め取る為の細工がある。

 さてさて、どうしようか、こんな奴にトラッセさんの魂をとられるのは、嫌だから抵抗してみよう。

 業とかかって細工を発動させた。

 当然、あちきの魂を吸収しようと魔力のラインが繋がる。

 そこにあちきの魔力を強引に流し込んだ。

 直ぐに反応が途切れたけど、多分、向うでは、全身を痙攣させてのた打ち回っていると思う。

 まあ、ある程度の症状が治まったら、多少は、魔力があがるからそれでおあいこって事にしてもらおう。

 そんな事をしている間に電撃で痺れさせた魔法使いを精霊に運ばせ始めたトラッセさんが笑顔で言って来る。

「今日は、依頼料で贅沢しようか」

「わーい! 美味しいもの食べるのだ好き!」

 そう、この頃は、食べるのが好きになった。

 昔は、どんな豪華なご馳走もろくに味を感じなかったが、今は、大抵の料理が美味しく感じられる。

 それは、きっとトラッセさんと一緒だからだろう。

 夕飯を二人で考えながら塔をおりていくのであった。

三歳で普通に歩いていますよこの無敵ヒロイン。

精霊魔法は、トラッセが使っている所為で自然に覚えてしまい、魔王の魔法知識と伴い、最強レベルの使い手になっています。

次回は、五歳、成長する剣のゲットです

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