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013 森族の魔法戦士、ミシェルの旅立ち

世界樹ゲットです

 白の森、この森族の森は、そう呼ばれている。

 その由縁は、中心たる世界樹が白い花を咲かせるからである。

 今年も白い花を咲かして居た。

「今年も素晴らしき実がなる事でしょうね」

 同胞達が期待に胸を広げている中、わたくしは、この森を護る魔法戦士、ミシェルは、えもいえぬ不安にさいなまれていた。

 この長寿の森族の中でも長老集に次ぐ長生きをしているわたくしだが、何度かこの様な虫の予感を覚えた事があった。

「前に感じた時は、魔族の大攻勢の時だったな」

 他種族を支配しようとする魔族による襲撃、当時は、まだ若造だったわたくしも戦い、その時、多くの名高き森族の戦士が命を落とした。

「やはりまた魔族が攻めてくるのか……」

 目に見えぬ脅威にわたくしが苦悩していると、森の外周から呼び出しがある事に気付く。

 わたくしが向かうと外周部を警戒していた若い衆と一人の少女が居た。

 遠目から見てもはっきり解る、その少女は、魔族だ。

 一気にスピードを上げて若い衆の前に出る。

「魔族、再びこの白の森を襲うつもりか! このミシェルが絶対にさせないぞ」

 それに対して少女は、落ち着いた様子で返してくる。

「あちきは、魔族、純魔族では、ありません。半魔です。名前は、コプンって言います」

「半魔だと?」

 今一度確認すると確かに純魔族とは、気配が異なる。

 そして何より気になったのは、その頭の上に鎮座しているチビ竜である。

 誇り高き竜族が半魔といえ、魔族の血を引くものと同行しているのが理解できなかった。

「そこの竜よ、如何なる理由があって半魔等と同行している」

 するとチビ竜が答えてくる。

『色々と世話になったのと、興味が湧いってって感じ。そうそう、僕の名前は、シーストップだ』

「シーストップだと、偉大なる古代龍様と同じ名前を付けるとは、お前の親竜は、正気なのか?」

 魔族の大攻勢の際に何度か竜族の救援があった。

 その中で一度だけ古代龍様の姿を見た事があったが、物凄く気高かったものだ。

『正直、正気じゃなかったじゃないかな。それより、あんたは、この森でも偉いんだろ、コプンの話を聞いてやってくれよ』

 わたくしは、とりあえずチビ竜のことは、おいておいて、半魔の方を見る。

「半魔の娘よ、何の目的の為にこの森に来た!」

 詰問するわたくしに半魔は、笑顔で答える。

「それは、白の森名物『純白の花吹雪』を見るためです!」

 それは、先ほども話題にした世界樹の白い花が散る際に起こる現象で、雪の様に降り積もるそれは、確かに一見価値は、あるだろうがしかし。

「半魔に見せる物では、無い!」

 そう拒否するが半魔は、少し困った顔をして話し続ける。

「ただ見るだけなのでどうかお願いします」

「絶対に無理だ」

 わたくしは、そう即答してその場を離れた。



 翌日、外周からまた報告があった。

 昨日の半魔がまだ居ると言うのだ。

「しつこい奴だ」

 わたくしは、実戦装備をしてその場に向かった。

「ミシェル様?」

 対応していた若い衆は、中途半端な顔をしていた。

 わたくしが来た事で助かった様にも更に困った様にも見えた。

「半魔、まだ諦めてないのか?」

「はい。まだ時間がありますし、もしも今年が駄目でも来年、また来ます」

 半魔の答えにわたくしは、魔族をも斬った槍を突きつける。

「帰らぬというのなら力尽くになるぞ」

『それは、無理だから止めておいた方が良いぞ』

 半魔の頭の上のチビ竜の言葉にわたくしが怒鳴る。

「舐めるな、森族屈指の魔法戦士、ミシェル、例え相手が魔族でも後れは、とらん!」

 頬を掠めるように突き出した槍を半魔は、あっさり掴んで居た。

「あのー暴力は、いけないと思います。言葉が通じるのですから話し合いをしましょう」

「黙れ、離せ!」

 わたくしの言葉に応じて半魔は、あっさり槍を手放す。

「今のは、お前がまだ幼いと手加減をしただけだ! 次は、本気でいくぞ!」

 魔族を貫いた必殺の連続突きを放ったが半魔は、平然とかわす。

「見かけによらず大した体術だ。しかし、わたくしには、まだ精霊魔法がある。『風の精霊、シルフィードよ、敵を切り裂け!』」

 風の精霊に問い掛け、精霊魔法を発動は、した。

「精霊さん、争いは、止めましょうね」

 しかし、半魔のその言葉で精霊が一気にやる気を無くして無力化した。

 それどころか、半魔の側に居た精霊が攻撃しようとした精霊と喧嘩を始めている。

 その輪は、広がるが、どうみてもわたくしの言葉に答えた精霊の方が劣勢だった。

「精霊さん、喧嘩したら駄目ですよ」

 半魔の一言で一発触発の精霊達が大人しくなる。

「何故だ? 何故半魔に精霊達が従う?」

 戸惑うわたくしにコプンが首を横に振る。

「別に従っている訳じゃないですよ。精霊さん達も喧嘩は、駄目って思っていたから止めただけですよ」

 精霊魔法の基礎にこうある。

 精霊魔法は、精霊が拒む事が起こせないと。

 精霊が嫌がる事は、精霊魔法使いでもさせられない。

 その理屈通りなのだが、半魔がそれをしている事実が納得がいかない。

「どうやってかは、知らないが精霊魔法も通じないみたいだが、わたくしは、まだ負けた訳では、ないぞ!」

「えーと勝負なんてしてませんよ」

 半魔が困った様子でそう口にするがわたくしは、若い衆に下がる様に命じた。

 森に侵入される事になるかもしれないが、このままでは、勝てない。

 森に誘い込み、そこで倒すしかない。

 しかし、半魔が入ってくる事は、無かった。



 翌日、わたくしは、半魔の前に居た。

「何故森に入ってこない?」

「こんにちわ」

 頭を下げてから半魔が続ける。

「まだ許して貰っていませんから、勝手に森に入ったら駄目ですから」

 正論だった。

 勝手に森に入ったら侵入者として森の力も借りて排除出来る筈だった。

 しかし、そうでなければ森も力を貸してくれないだろう。

 第一、現状では、一方的に攻撃しているわたくしの方が問題があるのだ。

 あの後、精霊達と話をしたが、敵意も害意もない相手に攻撃するのは、間違っていると指摘されているくらいだ。

 甚だ心外だがこの半魔が一切この森に対して害を与えてない以上、わたくしには、何もする権利は、無いのだ。

 それでもわたくしは、宣言する。

「魔族の血を引くものを森に入れるつもりは、無い」

「何もしませんから駄目ですか?」

 上目使いで聞いてくる。

 半魔なのだが、かなりの美少女でかつ年端も行かない子供にそんな顔をされたらかなりグラつくがこれだけは、譲れない。

「この森は、嘗て魔族によって大きな痛みを負った。その森に半魔を入れるなど無理だ」

 わたくしの言葉に半魔は、困った顔をして一生懸命説得しようとしてくるが、それ以上の事は、してこない。

 魔法戦士としての長年の勘がこの半魔は、とてつもない魔力を持っている事を察知させている。

 次の瞬間、消し飛ばされてもおかしくない。

 相手が今まで知っている魔族だったら、ここまで拒絶したら怒り狂って居ただろう。

『今年は、無理そうだね。今年は、大散花だからより良かったのだがな』

 チビ竜の言葉に残念そうな顔をする半魔。

「そうですね。でもまた来年があります」

「来年も来るつもりか?」

 わたくしの問い掛けに半魔が普通に頷く。

「はい。観ておきたいですから」

『大散花の翌年だから大変だと思うけど、よろしく』

 チビ竜の言葉にわたくしは、眉を寄せる。

「さっきから言っていますが大散花って何ですか?」

 短い沈黙の後、半魔が真剣な顔になる。

「もしかして千年以上生きた森族の人って居なかったりしますか?」

『もしそうだとしても伝えてないわけが無い。世界樹の再生の儀式は、森族にとっての生命線だぜ』

 チビ竜の言葉にわたくしが戸惑う。

「世界樹の再生の儀式ってなんですか?」

 チビ竜と半魔が顔を見合わせてそして半魔が何かを思いついた顔をする。

「魔族の大攻勢ですよ。あの時に全開の大散花の時の事を知っている森族の人達が居なくなったんだと思います」

『その可能性を忘れていたよ。えーとミシェルって言ったっけ? 世界樹の苗は、用意してあるか直ぐに確認しなよ。大散花って千年に一度、世界樹の代替わりの際に起こる一斉開花で起こる現象だよ。その時に出来た実を使って、老化した世界樹から新たな世界樹に代替わりさせるんだ』

 チビ竜の話にわたくしは、驚く。

「そんな話は、聞いた事がありません!」

「それは、予想外だったですけど、さっき言ったと思うんですが、魔族の大攻勢の時に当時の事を知っている森族が皆亡くなったと考えれば伝承が途絶えたとしても不思議じゃありません」

 半魔の言葉に怒りさえ覚えた。

「お前等が原因じゃないか! どうしてくれる!」

『おい、八つ当たりしているより先にする事があるんじゃないか!』

 チビ竜の言葉通りだ。

「お前等に関わっている時間は、無い」

 わたくしは、急いで同族の下に戻って確認を行った。



 結果、解ったのは、確かにその様な儀式があってそれが今年に当たる事が判明した。

 そして致命的な事も発覚したのだ。

「代替わりの為の世界樹の苗の準備が間に合わない」

 長老が苦々しくそう口にした。

「世界樹の苗が準備できてから改めて行う訳には、行かないのですか?」

 わたくしの問い掛けに長老は、首を横に振る。

「代替わりの為に世界樹が一斉に実を付けたその瞬間でしか代替わりに必要な満たされないのじゃ」

「もしも、代替わりの儀式が行えなかった場合、どうなりますか?」

 わたくしの質問に長老は、沈痛な面持ちで答える。

「老化と共に力を失った世界樹は、ゆっくりと枯れ、それと共に我々森族の生活も成り立たなくなる」

 森族にとって世界樹は、生活基盤である。

 それが失われてしまえばどうしようもない。

「くそう! 全て魔族がいけないのだ!」

 わたくしの言葉に他の森族達も怒りを燃やす。

「そうだ、森の外に半魔が居たな。奴等に思い知らせてやろう!」

 そういって森族の戦士達が出て行った。

「お前は、行かないのか?」

 長老の言葉にわたくしは、口を噤む。

「言わなくても解る。そんな事をしても何の意味も無いからな」

 長老は、立ち上がり何人かの若者に声を掛ける。

「他の森族に我が森の者を受け入れて貰う為の伝令の為の準備を始めてくれ」

 自分の無力さに拳を握り締める。

 魔族の大攻勢からも護った森をこの様な事で失う嵌めになるとは、とうてい容認出来なかった。

 しかし、手立てがまるで無かった。

 ふと外を見ると世界樹に今までに無い大量の白い花が開花していた。

 それが何を意味するかは、もう解っている時間が無いのだ。

 悔しさに俯いていたわたくしの横に森族の戦士が落下してくる。

「話は、聞きました。世界樹の苗の準備を急ぎましょう」

 半魔の少女が底に居た。

「何しに来た! お前等の所為でこの森が滅びようとしているのだぞ!」

 わたくしの叫びに一斉に敵意が半魔に向けられる。

 しかし、半魔は、全く動じた様子も見せずに告げる。

「もう一度言います。世界樹の苗の準備を始めましょう。花が咲いた以上、時間がありませんよ」

「間に合わない、それが結論だ! 全部魔族の所為だ!」

 わたくしの糾弾に半魔がチビ竜に視線を移す。

『そんな事を言っていても意味ないぜ。それよりも本題だけど、世界樹の苗の作成は、本来なら一年以上かかるがそこは、奇跡を起こせばなんとかなる』

「馬鹿な事を言うな、奇跡など起こるわけが無いだろう」

 わたくしの指摘にチビ竜が半魔の頭をポンポン叩く。

『それが都合の良い事にこいつが奇跡術を使える。世界樹の苗の即席栽培が可能なんだよ』

「冗談は、止せ! 半魔に奇跡術が使える訳無いだろう!」

 反発する森族に対して半魔が頭を下げる。

「ここは、どうか信じてください。そうしないと多くの人が困ります。どうか協力させてください」

「騙されないぞ魔族!」

 森族の一人が石を投げつけるが、半魔は、避けない。

 それを見て、他の森族も続く。

 そして一人の森族が精霊魔法を使おうとした。

「死ね!」

 その瞬間、精霊達が暴れだした。

 困惑する森族達を横目にわたくしは、精霊の怒りを感じた。

 善意を示す半魔に攻撃した挙句、自分たちの力で危害を加えようとした事に激しい怒りを覚えているのだ。

 そんな中、長老が半魔の前に立つ。

「本当に間に合わせる事が出来ますか?」

「皆さんの協力があれば」

 半魔の答えに長老が結論を出す。

「皆の者静まれ。今は、非常事態、わしは、この者を信じる事にする。そして世界樹の代替わりの儀式を行う。時間が無い、急いで準備をしてくれ」

 戸惑う森族を尻目に長老は、まだ芽しか出ていない世界樹の苗の元を差し出す。

「石を投げつけるなどしておいて虫が良いのは、理解している。しかし、君に頼るしか手段が無いのだ。お願いできるか?」

 半魔は、受け取ると笑顔で応じる。

「勿論です。人助けは、あちきの趣味ですから」

 そういった瞬間、半魔の背中に翼が生え、羽根が舞う。

『神の育みの力をここに集わせたまえ』

 芽しかなかった世界樹の苗がどんどんと生長し、確りとした苗に変化した。

「これなら間に合う。皆の者急いで新たな世界樹の為の準備を!」

 長老の言葉に森族が一致団結して行動する。

 元々、その場所は、用意されていた。

 古くからの言い伝えで、世界樹の隣にそれと同スペースの空間を確保していたが、この為だったのだ。

 中央に植えられた世界樹の苗、そして少女が仰ぎ見る中、白い花弁が次ぐ次と舞い落ちてくる。

「純白の花吹雪、次の世代に受け継ぐ為の動かぬ世界樹の全力の生き方なんだよね」

 その言葉にわたくしは、今まで何度も見た事があるそれが今まで以上に神聖で尊き物に見えた。

 同時にその言葉を発した翼を生やした少女も。

 実を付けた世界樹とまだ赤子とも言えぬ世界樹、その両者をわたくし達森族が精霊魔法で繋げる。

 実に篭った世界樹の力が新たな世界樹に継承されていく。

「あちきも手伝う」

 そういって少女が精霊に語りかけると、森族の誰もが見れるほどに精霊達が活発に動き、新たな世界樹は、巨木へと変化していった。

 そしてそれと引き換えに老いた世界樹は、生気を失い枯れ木へと変化する。

 長老が語る。

「老いた世界樹は、切り倒され、次の世界樹を育む大地とされる。皆の者、ここで提案がある。通常なら切り倒された世界樹の枯れ木は、我々森族の所有物として様々な物に加工される。だが、これをこの少女に渡したいと思っている」

 不満の声が当然上がった。

「そんな受け取りません」

 少女も遠慮するが、わたくしは、長老の言葉に同調する。

「本来ならわたくし達は、世界樹を失い、この森から立ち去らねばいけなかった。それを救って下さった者に捧げるのなら一番の使い道では、ないでしょうか?」

 わたくしの言葉に多くの森族が同意していく。

 特に精霊魔法を使える者達は、先ほどの圧倒的な精霊干渉力を見てしまっている以上、この少女が只者では、無いと理解できた。

 それを踏まえて考えれば少女がどれだけ譲歩をしていたのかなど考えるのも馬鹿馬鹿しい程だった。

 少女がその気さえだせば、この森が全て敵に回そうと何でも出来た。

 それなのに、少女は、何一つ強制せずに居た。

 その心がわたくしには、一番尊く思えた。

 それでもなお遠慮する少女だったが、頭のチビ竜が提案した。

『僕の持つ倉庫にしまって、そことの扉を開いておくから、そっちでも使いたければ使えば良い。もしもただもっていくのが嫌なら、代償になる物を引き換えに置いていくって事でどうだい?』

 少女が代償を義務化しないって事でその案が受け入れられ。純白の花吹雪を見た少女は、去っていった。

 長老は、旅の準備をしていた若者達をそのまま旅立たせることにした。

 一つは、我が森の様に伝承が失われている森が無いかの確認。

 もう一つは、半魔でありながらこの白の森を救ってくれた少女、コプン様を他の森でも森の友として扱って貰う様にと。

 あの神話のような出来事を多くの森族に伝えたかったから、その役目も参加する為にわたくしも旅立つのであった。



○あちき



 あちきは、草原を歩いていた。

「もう直ぐ白の森だね」

『そう、ここには、前に来た事がある』

 シーストップの言葉にあちきが聞き返す。

「へーそれじゃあ、純白の花吹雪も見たことあるんだ?」

『残念だけどないね。前に来た時は、魔族の大侵攻の時だからね』

 シーストップの言う魔族の大侵攻って言うのは、多くの異界への渡りが行われ、各種族とも力を衰えた所を狙った様に行われた魔族の侵攻だったりする。

「あれって強い奴が居なくなった所を狙った弱いもの虐めだよね。我欲の魔王も白けきって参加してなかったね」

『そうそう、もしも我欲の魔王が参戦していたら、この世界は、魔族の物になってただろうぜ』

 シーストップがそう軽く言ったのは、まず間違いなく参戦しないのが解りきっていたからだ。

 森の外周部に到着する。

「ここで待っていれば向うから接触して来るよね?」

 あちきの言葉にシーストップが頷く。

『森族は、森に近づく者を見逃さないからね』

 少しすると森族の人達が現れた。

「貴様、魔族か?」

 あちきは、首を横に振る。

「違います。半魔です。名前は、コプンです。目的は、もう直ぐ起こる世界樹の花の開花と共に発生する純白の花吹雪の見学です」

「半魔がか?」

 疑いの眼差しを向けてくる。

 基本、魔族は、そういった物には、一切興味が無いと言われているから当然かも。

『我欲の魔王は、珍しい現象があるってだけで国や一つの種族を攻め落とすした事もあったけどね』

 そんな記憶も確かにあるけど、あちきは、そんな乱暴な事は、しません。

 話が出来る者同士、話し合いをしました。

 残念な事に中々通じ合えず、途中出てきた年配の森族の人もきたがやっぱり駄目だった。

 二日経っても同じだったが、話の途中で白の森の森族は、世界樹の再生の儀式の準備をしていない事が解り、初日から来ていたミシェルさんが慌てて戻っていった。

『かなりやばいかも。世界樹の苗は、一日二日で出来る物じゃないぜ』

 シーストップが心配そうな顔をしあちきは、森を見る。

「世界樹の再生が出来なかったらこの森は、失われるんだよね?」

 シーストップが頷く。

『この世界でここまでの森を維持するには、どうしても世界樹の恩恵が必要だからね』

 心配する中、森族の人達が襲ってきた。

 放たれる矢も武器もかわし、精霊魔法に関しては、防ぐ前に発動しない。

『自暴自棄になってる。やっぱりここの森族だけでは、どうしようもないんだ』

「助けが必要って事ですね」

 あちきは、覚悟を決めて森に入る。

 当然、森族の人達が止めてくるので、逆に魔力で捕まえて一緒に移動して、世界樹の所までいった。

 そしてあちきは、この世界樹の代替わりの手伝いを申し出た。

 石が飛んでくる。

『コプン、黙らせて良いか?』

 少し怖い顔をするシーストップに首を横に振る、あちきは、ただただお願いを続けると長老さん世界樹の苗の元を持ってきて尋ねてきた。

 あちきは、自分に出来る全力で応える事にした。

 そして世界樹の苗が出来上がり、代替わりの儀式の準備の中、純白の花吹雪が始まった。

 本当の雪の様に大量の花弁が散っていく。

「本来ならこんなに同時に花弁が散るって事は、ないんだよね」

『うん、世界樹がこの後の再生儀式に実の力を必要としているから。植物は、動かないから、気付きづらいけど、世界樹だけじゃなく、同じ種で一斉に開花したりして精一杯に生き行こうとしているんだ』

 シーストップの言葉にあちきは、生命の力強さを感じた。

 森族達の精霊干渉による継承を手伝い、無事に世界樹の再生が終わった後、どうしてか元の世界樹があちきの物になる事になった。

 またシーストップの倉庫に頼る事になったけど、独占するつもりがないから、この森の人も自由に使える様にした。

 それなのに、何故か切り分けられた世界樹の木片と引き換えに森族が作った品物が置かれていく。

「別に自由にもっても良いのに?」

 首を傾げるあちきのシーストップが気楽に言う。

『別に良いと思うよ、こうすれば無駄に世界樹を使わずに済むから、長持ちするよ』

 あちきもそう考えることにするのでした。

アミュレットの素材その2、世界樹の木片です。

他にも森族、エルフにしか作れない貴重な素材が勝手に増えていく予定です。

次回は、14歳、獣人たちの祭りに参加です

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