~~退院したよ~~
「ただいまああ!!退院してきたよお!!」
『おかえり。リサ。』
「ごめんね!坂本さん。ご心配おかけしまs」
『本当だよっ!!!!!』
「ヒェッ!!」
『・・・・どんだけ心配したと思ってんだ・・・・。』
「・・・坂本さん?」
『それに、謝るのは僕の方だ。』
「どして??」
『なにもできなかった。本当に、なにも。』
「うん」
坂本さんは涙を流していた。幽霊なのに。
『布団をかけてやれなかった。』
「うん」
『管理人さんを呼ぶことも出来なかった。』
「うん」
『電話をかけることも出来なかった。』
「うん」
『着信をとることも出来なかった。』
「うん」
『リサを起こすことも出来なかった。』
「うん」
『インターホンに返事することも出来なかった。』
「うん」
『ドアをあけることも出来なかった。』
「うん」
『リサを助けることが・・・・・僕には出来なかった!!!!!』
「うん。そうだね。」
『こんなにも!死んだことが!自分の無力さが!嫌になったことはなかった!
なんで、死んだんだろうって!くだらない理由で死んでリサが助けられないんじゃ・・・
その、あの、死ななきゃよかった!!!』
坂本さんは本気で泣いていた。
なんか、支離滅裂だし、顔もいつもの倍くらいキモくなってるけど。
本気で泣いていた。
「私ね、坂本さんが必死だったの少しだけだけど、覚えてるよ。」
『え?』
「ちくしょう!とか、くそったれー!とか、」
『お、おう。言った気がする。』
「うおおお!とか、うごけええ!とか、」
『なんか、恥ずかしくなってきた。』
「充電しろ!とか、エグザ○ル!とか、」
『カオスになってきたな。』
「告白・・・・とか。」
『・・・・・』
沈黙のあと坂本さんが、嫁自慢の顔になって、こっちを見た。
「あ、その顔、キモッ」
『出鼻挫くのホントやめろや!!』
「ごめんねw」
『リサ・・・・』
「はい・・・」
『僕、お前のことが、リサのことが、好きだ。』
「真夏ちゃんと、どっちが好き?」
『ぐっ!!いきなりそう来るの!?予想外過ぎるわ!』
「ほらほら、答えて?答えてみそ?」
『それはもう、リサのほうがずっと。あ、いや、ちょっとだけ。半歩くらい好きかな。』
「すっごい接戦ですやん!!判定までもつれた感じですやん!!」
『でも伝わって!この想い!!思いじゃなくて想い!!』
「うん。伝わってるよ。」
『本当にリサのことが好きなんだ。』
『私もね、坂本さんのこと大好きだよ。」
『そうか。死ぬほど嬉しいよ・・・・・・死んでるけど。』
そう言った坂本さんが、どんどん薄くなっていった。
『リサ、ごめん。僕、成仏するみたい。』
「うん。なんとなく分かってた。」
『僕、絶対生まれ変わってリサに会いにいくよ。』
「うん。待ってるよ。ずっと、待ってるよ。」
『そのときまで、またね。』
「うん。またね。」
少し眩しい光と共に坂本さんは居なくなった。
車のパッシングと同じくらいの眩しさだった。この情報はいらないか。
「待ってる・・・・からね。」
少し、泣いた。




